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学校事務の仕事と自作解題 ~学校事務と保健室(養護教諭)のワンオペLIFE~

まさかの学校事務職員が歌う保健室の歌です。いつも通りTERUが歌っているものと、女性ヴォーカルver.の両方をYouTubeにアップしていますので是非両方を聴き比べてください。伴奏も、TERU ver.の方はエレキギターを入れて若干ロック味を増していたりと少々風情を違えています。


学校のワンオペ職種

保健室の先生は「養護教諭」という職名です。特別支援学級は昔「養護学級」という名前だったのでややこしかったのですが、いまは「養護の先生」といえば保健室の先生になります。私たち学校事務職員と一緒で、基本的には各校1人の養護教諭がいます。中には、「ウチは保健室の先生が2人いるよ!」という学校もあるかもしれません。小学校なら児童数851人以上で2人に増えます。もしくは、養護教諭が短時間勤務か何かのために臨時の先生がプラスアルファで来てくれているのかもしれませんね。学校事務職員とはそんな、ワンオペ職種としての共通点もあり保健室の歌もいつか作ろうと思っていました。
ワンオペなだけに、養護教諭がお休みの日は職員室も大変です。体調不良やケガをしたりした子どもの対応を私たち事務職員も含めて他の先生たちで行いますが、養護教諭が休みだからといってケガ人が減るわけでもなく、「いつも、こんなに多くの子どもの対応をしてるんだなあ」としみじみ思います。職員室と保健室はやっぱり壁を数枚隔てているので、やっぱり普段の様子を詳しく知っているかと言えばそうでもないんですよね。なので、冒頭の歌もあくまでヨソからわかる範囲で描いています。

全国の養護教諭の皆様へ 怒濤の456月お疲れ様でした

なぜこのタイミング(6月30日)で保健室の記事なのかというと、養護教諭の仕事が一つここで区切られるからです。

第五条 法第十三条第一項の健康診断は、毎学年、六月三十日までに行うものとする。

学校保健安全法施行規則

この法律にある健康診断というのはそう、学校で行うさまざまな健診です。おなじみの身長・体重測定、視力検査&眼科検診、聴力検査&耳鼻科検診、歯科検診、心電図なんかもあるしその他もろもろ内科検診。検尿もそうですね。
そんなにたくさんの健診を6/30までの3ヶ月でやれよ。というなかなかのムチャを法律では規定しています。

第六条 法第十三条第一項の健康診断における検査の項目は、次のとおりとする。
 身長及び体重
 栄養状態
 脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無並びに四肢の状態
 視力及び聴力
 眼の疾病及び異常の有無
 耳鼻咽いん頭疾患及び皮膚疾患の有無
 歯及び口腔くうの疾病及び異常の有無
 結核の有無
 心臓の疾病及び異常の有無
 尿
十一 その他の疾病及び異常の有無

学校保健安全法施行規則

別に456月は子どものケガ疾患が減るわけでもなく(冬は冬で感染症のリスクも高かったりしますが)、通常営業に加えてこれらの健康診断をこないしていかないといけないのでなかなかにハードです。1学期の、遠足や家庭訪問。いろいろなイベントが目白押しな中でも最優先で決めていくのが各種健診です。教頭先生たちとカレンダーをにらめっこしながら「〇日は△△健診!」と。
そして、最初に挙げたワンオペ。健診の日に養護教諭が不在だと職員室がかなりパニックになります。器具の準備から校医さんの対応、当日の運営や記録をどうしたらよいか。なので養護教諭の先生は健診の日に休めないというプレッシャーとも戦っています。替えがきかないという点では学校事務職員も共通ですが、〆切まで猶予がある仕事と違ってワンオペ日にち指定イベントが頻発する養護教諭のシビアさの比ではありません。なので、「あの日の保健室」ではやたら健診について歌い、ちゃっかり検尿のことまで入れ込んでいます。

健診をめぐるあれこれ

そんな学校健診も時代とともに移り変わります。「ぎょう虫検査」がなくなって久しい(2016年3月廃止)ですね。かつて担任をしていたころ、先輩に「プール開きするまでにこれをしとかんとアカンのや」と教わった記憶があります。けれども、検出率の低下によって「しなくてもいいんじゃない?」となったとのこと。長らく日本人は寄生虫に苦しめられてきましたが、学校健診からその項目がなくなったというのは一つ歴史的な出来事です。
座高の測定もなくなりましたね(2014年)。これは徴兵制度の産物というのは有名な話ですが、それが戦後もずっと残っていたという方が逆に驚きです。机やいすの高さを決めるのに必要なデータだったという話もありますが、座高の数値を使用して決めていたというケースは少なくとも周囲にはありません。
机の高さに関しては悩むところで、子ども各自の身長(座高)に厳密に合わせようとすると当然クラス内でバラつきが出てしまい、なにより人数分のその作業が大変です。一方、班活動なんかで机を合体してなんかやるときにはある程度机の高さがそろっていた方がやりやすかったりもします。机(椅子)の高さを調節するのは六角レンチを使ったけっこう力仕事でもあるので、器具を使わず簡単に上下できるような机いすを開発してほしいなと思います。

学校事務×保健室はいかに可能か?

そんな怒涛の456月を終えた保健室の先生にはあと一か月、夏休みを迎えたら少し息抜きしてもらいましょう。こんな忙しい保健室に対し、同じワンオペ職種の学校事務職員として何ができるのか。一つはリソースマネジメントです。
早くも忘れかかっているコロナ禍ですが、ここで学んだのがリソースマネジメントの重要さです。消毒用のアルコール、手袋、ペーパータオルやダスター、スプレーボトル、手洗い石鹸容器などの衛生用品。非接触体温計や中にはパルスオキシメータといった検査用品。アクリル板やカーテン、それにサーキュレーターや空気清浄機といった換気のためのグッズ。そして「密を避ける」「使いまわしを避ける」の名の下にさまざまなモノの必要数が2倍に増えました。学校事務職員はこれらの調達に奔走しましたが、その苦労を忘れずに今後も起こりうる感染症流行に対する備えをリソース面でバックアップしないといけません。
もう一つは、システムマネジメントです。保健室では児童の身体に関する莫大なデータを取り扱います。学校事務職員がそれらに触れるのはせいぜい、転校するときの書類のやりとりぐらいです。しかし、同じく子どもの学籍(基本情報)データを扱う学校事務職員は保健データ含めそれらを総合的に俯瞰し、より正確で効率的なデータ管理を目指すべきと考えます。すでに多くの自治体で導入されている「統合型校務支援システム」の運用がそれで、担当者ごとにばらばらに管理されがちなデータをこれだと一括して共有できます。
他職種との連携。というキーワードをよく耳にするようになりましたが、みなさんはぜひ音事検の歌を聴いて学校事務職員を。「あの日の保健室」を聴いて養護教諭の先生を。理解するきっかけにしてもらえたらうれしいです。


これからの音事検にご期待ください!