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この映画館があったから、今の私があります。

大学時代から、社会人1年目、ちょっと空いて社会人10年目前後の頃。
よく映画を観ていました。
大学時代は映画サークルに入っており、とにかく仲間の話についていきたいかったのが1つめの理由です。
2つめは自宅近くの駅前にあった個性的な映画館の存在でした。

今はもうありませんが、駅前(当時は駅裏と呼ばれるほど、少しさみしい方面でした)の小さな綺麗なビルの地下にその映画館はありました。
ロシア映画、スペイン映画、デンマーク、ドイツ、イタリア、韓国、南アフリカ等、、、アメリカ以外で作られた沢山の良質な映画に触れることが出来ました。

特にお楽しみは、この映画館が出していたパンフレットです。
3週間ほどの上映スケジュールが掲載されており、私はそのスケジュールとにらめっこしながら、「バイト後、1本観れるな」とか、「この日は3本まとめて観よう」など観る映画を計画するのが本当に楽しみでした。
パンフレットには館主さんのコラムが載っており、その内容からは館主さんの知性、こだわり、辛口な批評、時には映画館の経営事情など、お人柄も伝わってくるもので、いつも興味深く読んでいました。

「メランコリア」の不思議な世界に引き込まれ、「秘密と嘘」の登場人物のお洒落な会話に魅了され、「いつか読書する日」に数日興奮冷めず、「橋の上の娘」のダニエル・オートゥイユの渋さにため息が漏れ、「ノーカントリー」のハビエル・バルデムに怯え、「ミッドナイト・イン・パリ」のマリオン・コティヤールの美しさに胸があったかくなり、「田中さんはラジオ体操をしない」の田中さんから自分を貫きとおす生き方を知り、「霜花店(サンファジョム)」は2時間以上開いた口がふさがらず、、数えきれない極上の体験をさせていただきました。

最近、筆(キーボード)から離れてしまっていた為、ある映画館の思い出を書かせていただきました。また、映画を観る時間を持ちたいな。



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