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スポーツのチカラを明らかにしよう。

理事 中村聡宏

「ブラボー!」
この2週間、私たち日本人の多くが「FIFAワールドカップ2022カタール」での森保ジャパンの大活躍に一喜一憂した。グループステージ初戦のドイツ戦で逆転勝ち。続くコスタリカ戦には敗れたものの、無敵艦隊・スペイン戦でも後半に見事逆転して劇的勝利。グループE首位通過を果たしたのである。ノックアウトステージでは、前回準優勝のクロアチアにPK戦の末敗れ、悲願のベスト8に届かなかったが、過去優勝国を次々に破った日本代表の姿はまさに「ブラボー」だった。

音楽であれば、最近の流行歌についていけない大人世代もいるだろうし、昭和歌謡を全く理解できない若者たちも少なくないだろう。趣味嗜好が細分化されるコンテンツが多いのに対して、スポーツは老若男女が一緒に共感できることが特徴だ。年齢、性別、言語の壁を超えて誰もが一緒に愉しむことができるのはスポーツの魅力の一つである。

単なる熱狂だけでなく、スポーツ×テクノロジーについても考えさせられるワールドカップとなった(写真:FIFA公式twitterより)
(写真:FIFA公式twitterより)
(写真:FIFA公式twitterより)

我が師、故・広瀬一郎氏との出逢いは2000年のこと。彼が電通を辞しスポーツポータルサイト「スポーツナビ」を立ち上げた際に、シドニーオリンピック特集を担当したことがきっかけだった。2002年に彼の著書『スポーツマンシップを考える』(ベースボール・マガジン社)の企画・編集を担当。その後も、彼の研究や書籍出版のサポートのほか、スポーツ経営人材を育成するための「スポーツマネジメントスクール(SMS)」の事務局長を担当してきた。彼の隣で刺激を受けながら、スポーツビジネスの世界で活躍する多くのみなさんとも出逢えたことは現在の私にとっての宝物だ。

2016年10月、広瀬一郎氏(写真右)とともに今年JFL昇格を決めた沖縄SVのゲームを観戦したことも懐かしい思い出だ。

また、これまで数多くの書籍・雑誌・WEBの編集や、イベントの企画・制作などを担当してきた。2012年からは日本オリンピック委員会(JOC)の広報誌『OLYMPIAN』の企画制作も担っている。これらの仕事を通して、多くのトップアスリートやビジネスパーソンとお話しさせていただいてきたことも私の大きな財産だ。

JOC広報誌『OLYMPIAN』(https://www.joc.or.jp/olympian/)

2015年には、ご縁をいただき千葉商科大学サービス創造学部に着任。「スポーツ・エンターテインメントサービス論」「ビジネスパーソンシップ論」「インタビュー法」といった講義を受け持つ。また、千葉ロッテマリーンズ、千葉ジェッツふなばし、ジェフユナイテッド市原・千葉、オービックシーガルズとの千葉県を本拠地とする4球団と連携して、学生が主体となりアクティブ・ラーニングを実践しながらスポーツビジネスを体験的に学ぶ「スポーツビジネス・プロジェクト」も担当している。

千葉商科大学サービス創造学部スポーツビジネス・プロジェクトの学生たちとともに

広瀬一郎氏亡き後、2018年に「日本スポーツマンシップ協会」を設立し代表理事会長に就任した。彼とともにライフワークとして取り組んできたスポーツマンシップ。そこには、私たちがよりよく生きるため、よりかっこよく生きるために必要な要素が詰まっている。その理解・普及と、実践・推進を通して、よりよき人を育み、よりよき社会づくりへの挑戦を進めていきたい。

2018年6月、日本スポーツマンシップ協会を設立(https://sportsmanship.jpn.com/)

協会設立後、オンラインも含めて全国各地で講演に登壇する機会も急増しており、スポーツマンシップを学ぶことに対するニーズの高まりを感じる。『スポーツマンシップバイブル』を上梓した際、スポーツビジネス界のレジェンド・川淵三郎氏から「スポーツマンシップは人生のバイブルだ」という言葉を寄せていただいた。この言葉と向き合うことの重要性を考えても、スポーツマンシップは今こそトレンドであり、「古くて新しい概念」といえるのかもしれない。

2020年2月『スポーツマンシップバイブル』を出版

「スポーツで稼ぐ」の実現が、私たちワンスポ沖縄の掲げるテーマ。めざすのは、“スポーツで沖縄を強くする”こと、そして、“「産業視点」でスポーツ・ヘルスケアを通じて社会課題を解決する”ことである。「誰もが一緒に愉しむことができる」スポーツだからこそ、そのチカラを最大限有効活用することで、よりよき社会づくり、よりよき世界づくりが実現できると信じている。

スポーツマンシップについて考えることは、スポーツの本質的価値を再確認し言語化する挑戦でもある。スポーツ×教育という側面はもちろんのこと、さまざまなコンテンツとのかけ合わせでより豊かなスポーツビジネスのあり方を考える上でも欠かせない視点であると気づくはずだ。スポーツのチカラを明らかにし、スポーツが社会に果たすべき役割について広く多様な視点で考えながら、沖縄×スポーツ関連産業の発展に貢献したいと思っている。