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【ワンパブ・オープン社内報 vol.12】 ワンパブでしか出せない『知って楽しい物語』を! GetNavi web編集者の熱きマンガ愛に迫る

メディアビジネス本部 第4メディアプロデュース部 玉造優也

【ワンパブ・オープン社内報】は、ワン・パブリッシングで働く人を通して、会社・雑誌・メディアが、いまどのような新しいことにチャレンジしているかをお伝えしている連載です。今回は、『GetNavi web』編集部でデジタル系の記事を手掛ける一方で、数々のマンガ連載やマンガタイアップを仕掛けている玉造優也さんにお話を聞いてきました。(所属や肩書は取材当時のものです)

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【社員プロフィール】
玉造優也
芸能マネージャー、クルマ雑誌、モノ・ガジェット誌、マンガ誌の編集を経て、2017年に学研プラスに入社。
以来、『GetNavi web』編集部にてデジタル系の記事とマンガ連載を担当。


『GetNavi web』とマンガの親和性とは

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↑『印刷ボーイズに花束を』9/2(木)発売! Amazonページはこちらから

―玉造さんは、芸能マネージャーから様々なジャンルの編集まで、多岐にわたる経験をされていますが、現在の『GetNavi web』(以降、『GNW』)では、どんなジャンルの記事を担当されているのですか?

主にデジタル系の記事と、マンガの連載やタイアップなどを担当しています。実は小さい頃からの夢が、音楽雑誌かマンガ誌の編集者でした。ご縁あって『GNW』編集部に来たわけですが、大人になった今でも自分がもっとも興味があり、チャレンジしたかったマンガに携わりたいと相談したところ、ありがたいことにマンガ連載を担当できることになりました。

しかも最近は、音楽ライブイベントの運営にも関わっていまして……ちょっと遠回りしましたが、昔からやりたかったことが実現できていると感じています。

―現在、『GNW』では複数のマンガ連載が進んでいます。中でも、9月2日に発売になるコミックス最新刊『印刷ボーイズに花束を』が話題ですね。ワンパブSNSでも、「面白そう!」「チラシや名刺などで印刷会社さんにお世話になっているから、楽しんで読めそう」などのコメントが寄せられています。

ありがたいです。『GNW』の連載「今日も下版はできません!」をコミックス化した「印刷ボーイズ」シリーズは本作で3冊目なのですが、今回は原点に戻って、ありとあらゆる印刷業界の知識・あるあるネタをすべて詰め込みました。大げさではなく、これ1冊で印刷に関わるすべての業界の方に楽しんでもらえると思います。

また、表紙から裏表紙(業界用語としては『表1・表4』ですね)まで、さまざまな箇所に、紙に携わる人なら「おっ!」と反応する仕掛けが用意されています。そもそも「印刷ボーイズ」シリーズって、その特性からか、誤植とか版ズレを読者の方が必死で探してくださるんですよ。作ってる側としては、常に胃が痛いのですが……(笑)。

でも今回は、あえての印刷ミス風仕掛けがどこかに隠されています。印刷会社さんに「こことここは、あえてのミスですので修正せずにお願いします!」と伝えました。そんな指定をお願いするのも、この本でしか経験できないことでしたね。ぜひ探してみてください!

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↑赤字だらけの表紙……印刷ミスではありませんのでご安心を! こんな仕掛けがたくさん盛り込まれています

―連載のほかに、マンガを取り入れた企業コラボ(例:ファーウェイタブレット)も増えてきていますよね。これは、『GNW』だからこそ、成功した事例だとお考えですか?

そうですね、ある面ではそう言えると思います。『GNW』が得意なのは、1つの商材に対する情報を再構築して、記事やコンテンツに乗せていくことです。それらをマンガのストーリーに落とし込むことで、メーカーが発信したい情報や、読者の知りたい情報に、より深みのある「物語」を加えて魅せることができる。単なる商品紹介記事ではなく、また、おそらくマンガ専門誌では作り得ないユニークなコンテンツになっていると思います。

「情報を『知る』楽しさを、面白い『物語』で伝える」ようなマンガコンテンツ、それが軸ですね。『GNW』という数多な情報を欲して集まってくるプラットホームで配信できるという点も、強みなのではないでしょうか。

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↑『GNW』のマンガ連載ページはこちら

―反対に、『GNW』でマンガ連載を展開しているなかで、ここが弱いな、足りないなと感じている点はどこですか?

作家さんにとって、『GNW』でマンガを描く意義というかメリット提示が、まだまだできていない点でしょうか。メディアとしては大きいですが、現段階では、マンガ家としてのステイタスを確立できるような環境とは自信を持って言えないかなと思います。

自分の作品をいかに世の中に届けるか?というのが、作家さんにとって一番重要な点ですよね。広告タイアップのお仕事をお願いすることで、『GNW』だけでなくクライアントさんのサイトやPR施策の中でもマンガの露出ができますので、その点を魅力だと感じてもらえたら、自分としてはうれしいです。

あとは、ただただ好きなものを描いていたいという作家さんも少なくないんですね。仏像の情報を世の中に広めたいから、仏像の絵をひたすら描いていたい、とか。そういった好きなものへの探究心、それを作品にする熱量ってものすごので、クオリティも半端じゃないんです。

だから、こういう作品はもっと世に広めていかないともったいないって思います。ニッチではあるけれども、そんな作家さんの要望にも応えていけるような仕組み作りを目指しているし、心がけています。

夢はワンパブでのマンガビジネス確立

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―お話を聞いていると、マンガビジネスは大きな可能性を秘めていると感じます。今後はどのように展開していきたいとお考えですか?

ワンパブ全体としてマンガビジネスにチャレンジしていきたいです。うちの会社って、IP(知的財産)を「まわしていく」ことに長けていると思うんですね。出版機能もあるし、webというプラットホームもある。それこそジャンルも、エンタメから趣味雑誌、子ども向けメディアまで幅広いじゃないですか。これだけのジャンルを網羅しているところって、あまりないんじゃないかなと思います。

ですので、マンガを『GNW』専属のものではなく、ワンパブが持つすべてのメディアの一武器になるようにしていきたいです。それは、クライアントさんにとっても作家さんにとっても、大きなメリットだと感じてもらえるんじゃないかな。

いま、全4回の連載として、JICA(独立行政法人国際協力機構)の協力のもと制作をしている『僕はなぜ走るのか――南スーダン陸上選手アブラハムの物語 特別マンガ連載「Running for peace and love」』を展開しているのですが、このように「人」にフォーカスしたマンガ制作ができることもお伝えしていきたいです。

東京2020オリンピックにも出場した南スーダンの陸上選手を主役にした物語なんですが、ストーリーを作る前に、まずは南スーダンの歴史的背景を知る必要があったので、作家さんと一緒に必死で勉強しながら作り上げていきました。たくさんの方に読んでいただきたい作品です。

―媒体の枠を超えた素晴らしい展開ですね! そういえば、以前このオープン社内報の取材で、mer編集長の清水さんが「ワンパブで本気のマンガを出したい!」と熱く語っていらっしゃいました。

読みました! ぜひご一緒したいですね。清水さん、何か一緒にやりましょう!

―noteを通してラブコールを贈るって、新しいですね(笑)。他に、組んでみたい媒体はありますか?

すでにマンガも展開されているようですが、お手伝いしてみたいのは『月刊ムー』ですね。ムーで描きたいって作家さん、めちゃめちゃ多いと思います。

あとは、『POTATO』のような強いファンを持っているメディアは、マンガも絶対向いている媒体だと思います。ファンの方が求めるものが明確で、作品作りの方向性がイメージしやすいので、すごく愛される作品を作っていける可能性を感じます。

―ゆくゆくはこんな姿を目指している、という目論見などあれば教えてください。 

マネタイズについてもしっかり考えていかないといけないので、かなり先の話になっちゃうと思いますが……絵は描けないけどストーリーのアイデアは持っている人と、マンガは得意だけどストーリーを作るのが苦手な作家さんとのマッチングができないかなと常々思っているので、それを実現できるようなアプリなりプラットホームなりを作りたいです。

将来的にはPCとかタブレットとかデバイスを選ばずに、どこででも誰でもマンガが描けて世の中に発信できる、しかも世の中の誰かと「共作」しながら……そんなサービスを作りたいなとひそかに企んでいます。

そのためにはまず、マンガのコミックスでヒットを出して、さらにGNWでしかできないタイアップをもっともっと広げていって、たくさんの作家さんを獲得して……GNW中心にマンガの存在感を拡大していきたいですね。

【実録】マンガ編集者の1日

―ここからは、玉造さんの普段の生活についてお聞きします。読者の中には、編集者に憧れているという人も少なくないと思います。また、”ワンパブでマンガ”ということを新鮮に感じている人もいると思うので、普段どんなお仕事をしているのか、ざっくりしたお仕事内容や休日の過ごし方を教えてもらえますか?

需要ありますかね(笑)。たとえば、マンガのお仕事でいうと

・マンガ家さんとの作品打ち合わせが主(『GNW』で作っている連載は「情報-エンタメ」のバランスが難しいので、そこの塩梅をすり合わせながら、プロット・ネームを見たりします)
・作品作りに必要な取材の段取りなど調整
・写植
・記事公開作業
・コミックス化のための企画作り
・新たなマンガ家さんとの打ち合わせ

こういったところが主ですね。

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↑(左)マーケティング部の方と販売戦略について激論を交わす/(右)マンガのセリフで使うフォントや、その大きさを指定する「写植指定」作業中

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↑(左)見本誌を作家さんに送るため、丁寧に梱包/(右)在宅勤務中に作家さんとオンライン打ち合わせ

プライベートでは、なるべく「よく食べ、よく寝て、よく遊ぶ」を心がけています。マンガの物語を作家さんと作る上で、多くの経験や知識が必要なのは編集者も一緒。そのための体づくりと健康が何よりも大事です。徹夜やハードな仕事ばかりしていては、絶対にいい物語は作れません。

……ということを常に頭に思い浮かべながら、「よく食べて、仕事に追われる」ばかりしているのが実態なのですが、一応プライベートを書き出すと以下の感じです。これ、ホントに需要ありますかね?

・2時間ランニング&筋トレ(とにかく太りすぎたので、肉体改造中です)
・バンド練習にいそしむ
・一日中マンガを読んだり、YouTubeでひたすらラジオを聴いたりする
・自分でラジオもやる
・銭湯や健康センターに行って、激しくサウナに入ったりもする
・映画も観に行ったりする
・その他、楽しみながらマンガ作りのヒントとなるようなことに積極的に挑戦する(先月、勝浦のキャンプ場でひたすら焚き火しました)

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↑(左)編集者は体が資本。モリモリ食事中/(右)ここ3か月で10キロくらい太った(!)ので、週2~3日で走り込みを

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↑(左)筋トレはほぼ毎日! メニューは腕立て・腹筋・スクワット20回×5セット/(右)トレーニングの合間にもマンガ記事をチェック

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↑(左)ハードに体を追い込んだ後は、お楽しみの銭湯/(右)日がな一日、ギターを奏でる日も

―The・編集者みたいな過ごし方ですね! やはり、作家さんとの打ち合わせが多いのですね。

はい、それぞれの作家さんとマンツーマンで打ち合わせをします。とにかく、打ち合わせが大事ですね。あとは、新しい作家さんにも声をかけています。『GNW』の場合、タイアップをきっかけに「連載しませんか?」と声をかけやすいので。うちで描く意味を感じてもらえるような提案を続けています。

―ほかに、玉造さんが仕事をしていて、大変だなと感じるのはどんなときですか?

相手の心というか、想いがつかめないとき、でしょうか。僕は勘ぐり深いというか、相手のことを考えすぎてしまう傾向があって。相手には相手の狙いがあって、それを100%知ることは不可能だとはわかっているんですが、不安になることがあります。

何か言いたいことがあるなら言って欲しいけど、それを言わないってことは、それなりの理由があるんだろうし……みたいな感じで、悶々としてしまうのがちょっとしんどいですね。

体力的にキツイとかっていうのは、もうどこかのタイミングからぶっ壊れました(苦笑)。もう少し、バランスをとって仕事に取り組まないといけないかな。一緒にマンガを担当してくれるスタッフが増えたらうれしいです!

―では、仕事をしていてもっとも楽しい・うれしい瞬間はどんなときですか?

作家さんもそうですが、一緒に仕事するスタッフや誰でも、人から頼りにされたとき。ディスカッションしながら作品をつくりあげていく過程。あとはやっぱり、読者の声が届いたときです。

―いまはSNSもありますし、読者からの声が届きやすくなってきました。こんな読者に届けたい!という想いはありますか?

先程、ニッチなところを狙っていきたいという作家さんのお話をしましたが、読者の中にもそういう方っていると思うんです。たとえば……自分の趣味があまり周りに共感されなくて孤独を感じている人とか、ニッチな体験や趣味、情報を求めている人とか。オーロラを見に行って、オーロラにはもちろん感動したけど、その道中でひょっこり顔を出したペンギンの姿が一番心に残っている、みたいな。あ、わかりにくいですか?(笑) 

万人受けする内容ではないかもしれないけれど、確実にいるはずの一人に届く本をたくさん作っていきたいなと思います。僕の普段の記事作りも、そんな感覚に近いです。天の邪鬼なのかもしれません。

SNSといえば、つい先日、マンガ専用のアカウントを作りました! ゲットナビのマンガ部【公式】@getnavi_comic ぜひフォローお願いします!

―最後に、今後の夢や作りたい本などを教えてください。

やはり、10万部、100万部といった、いわゆるヒット作を作りたいです。あとは、『GNW』でしか、ひいてはワンパブでしかこういうマンガは描けない、面白い仕事はできないと作家さんに思ってもらえるような領域を確立したいですね。

プライベートでは、学生時代からやっているバンド活動を、気の合う友達と死ぬまで続けたいです。将来的には、小さなアパートかマンションを買って、『めぞん一刻』の響子さん的な管理人になりたいですね。90年代トレンディドラマみたいな老後を過ごしたいです!(笑)


―聞けば聞くほど、玉造さんの熱いマンガ愛が伝わってきて、気づけば予定時間をオーバーしていた、とても楽しいインタビューでした。個人的に「印刷ボーイズ」シリーズも大好きなので、最新刊が楽しみです。これからも、ワンパブでしか出せない作品を期待しています! 玉造さん、ありがとうございました!


【印刷ボーイズに花束を】
著者:奈良 裕己
定価:1,430円(税込)
https://www.amazon.co.jp/dp/465120144X


(取材:水谷映美/撮影:我妻慶一)

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