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【ワンパブ・オープン社内報 vol.19】 いよいよ感動のフィナーレ!『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』編集長が番組テキストの想い出を語る

第2メディアプロデュース部
『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』編集長 広田 美奈子

【ワンパブ・オープン社内報】は、ワン・パブリッシングで働く人を通して、会社・雑誌・メディアが、いまどのような新しいことにチャレンジしているかをお伝えしている連載です。今回は、4月1日(金)放送分で27年間の歴史に幕を下ろす『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』の編集長・広田美奈子さんに、上沼さんとの想い出や今後の目標などを聞きました。(所属や肩書は取材当時のものです)

【社員プロフィール】
広田 美奈子(ひろた みなこ)
商社勤務から、株式会社学習研究社に転職。
『ル・クール』『サイン』『ラ・セーヌ』『おはよう奥さん』『メイクアップマガジン』などの雑誌編集を経て、2012年に料理書編集部に異動。以降、料理雑誌やムック、書籍の編集制作に携わっている。
2014年『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』編集長に就任。番組終了に伴い、この3月発売号で最終号を迎える。


上沼さんの愛のあるダメ出しに感激…収録時の想い出

―ついに、4月1日で『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』がフィナーレを迎えます。今の率直な感想を聞かせてください。

やっぱり感慨深いですね……。私が編集長になってから丸8年。本当にたくさんの想い出があります。

―広田さんご自身も、大阪での番組収録に参加されていたとのことですが、何か印象的なエピソードがあれば教えてもらえますか。

視聴者の方も感じていらっしゃると思いますが、収録中の上沼さんの話が、とにかくおもしろいんですよね。放送されている分の3倍以上はお話をされるので、カットされてしまうのがもったいないなと思っていました。

そんな上沼さんのトークの中で特に印象的だったのは、先生のお料理をダメ出しした回。お料理を試食したときの上沼さんの表現って、本当に素晴らしいんです。ただ「おいしい」だけじゃなくて、「今、梅の味がきましたね」とか「しっかりと生姜が効いていますね」とか、具体的な食材や調味料の感想を述べるから、すごくわかりやすい。しかも、上沼さんならではの表現なので、唯一無二の感想です。読者からのハガキを見ても、上沼さんのコメントは毎号すごく好評でした。

それがあるとき、一口食べた後に表情が少し曇り、「先生、イマイチですね!」と……! ちょっと現場のスタッフもざわついていました(笑)。そのときのゲストの方は「おいしいです」と食べていたんだけど、上沼さんは「そんな気を遣わなくてもいいですよ!」って。先生も、苦笑いしながらちょっとションボリされていました(苦笑)。

でも、その次に同じ先生が出演されたときは、「先生、やりましたね! すごくおいしいです!」とフォローされていて、上沼さんの愛を感じましたね。長年の信頼関係と絆の深さがあってこそのダメ出しだったので、少しビックリはしたけれど、嫌な感じはまったく受けませんでした。後にも先にも、ダメ出しをしたのはあの回だけじゃなかったかな……いや、もう一回ありました(笑)。でも私が記憶しているのは、2回だけですね。

―それはかなりのレア回でしたね! 確かに、上沼節と言うのでしょうか……試食後のコメントがすごく的確で、でもよくある表現とは違った、上沼さんならではの言い回しなので、いつも楽しみにしていました。

番組がラストに近づくにつれて、上沼さんも少し寂しくなってきたのでしょうか、試食のとき涙ぐんでいるように見えた回もありました。でも、最終回である4月1日の放送は、最後まで明るく元気な上沼恵美子さんで、華やかなフィナーレでしたよ!  清々しくて、かっこよかったです。

テキスト最終号では、想い出のシーンや特選メニュー、ありがとうの一皿などを特集。永久保存版にしてほしい1冊に仕上がっています。

さらに、これまでに放送された約7000品の料理の中から、厳選した300品のレシピを紹介する、総集編のムックも発売しました。27年間の集大成です。ぜひテキストと合わせてご覧ください!

書店の料理書コーナーをワンパブの本で埋め尽くしたい

―無事に『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』の最終号が発売されて、少しホッとされているところだと思いますが、早くも編集部では次の企画に向けて進み始めていると聞きました。今後、料理書編集部として、どのような展開を予定していますか。

料理書籍のラインナップをさらに充実させたいと考えています。プロの料理家の先生はもちろんのこと、レシピサイトやインスタで人気の料理家の方の本もいろいろと企画・制作中です。料理書編集部が特に力を入れているのが、レシピサイト「Nadia」のまとめ本である『Nadia magazine』。

「Nadia」は最近人気のレシピサイトで、「Nadia」スタッフの厳しい審査を通過した「Nadia Artist」といわれる人だけがレシピを載せられます。ワンパブでは、このサイトのまとめ本を定期的に発行しており、最新刊はvol.5になります。おかげさまで、とても好調です。

また、これまでは雑誌とムックだけだったのですが、昨年からは書籍にも参入しています。料理書は各社注力しているジャンルですが、料理書チームスタッフで力をあわせて、新しい風を吹き込みたいですね。

―ちなみに、雑誌やムックと書籍とでは、どのような違いがあるのですか?

まず、売り場が違います。雑誌やムックは料理雑誌コーナーに置かれますが、書籍になると、料理書コーナーに置かれるんですよ。料理好きな人は、やはり料理書コーナーに向かいますから、より本格的に料理をする人、料理好きな人にもアプローチできる点がメリットだと思います。

あとは、書籍になると著者別で置かれることも多いので、料理家の先生のファンにも届けることができます。これまで以上に幅広い読者にアピールできるのが、書籍の魅力じゃないでしょうか。

ワン・パブリッシングは新しい出版社なので、まずは名前を覚えてほしいですし、「ワンパブって料理の本をたくさん出しているね」と認識してほしい。できれば、「ワンパブと言えば、料理本だね」と言ってもらえるようになったらうれしいですね。各書店さんの料理書コーナーに、ワンパブの書籍がたくさん並ぶ日を夢見ています。

商社から出版社の編集職へ。数々の女性誌を経験してきた今、抱く想い

―ここからは、広田さんご自身のことをお伺いします。商社から出版社に転職されたのですね。

そうなんですよ。商社も楽しかったですが、マスコミの仕事にずっと興味があって。「経験は問いません」という募集条件に惹かれて、当時、新雑誌創刊につき採用募集をしていた学研に応募しました。その後、編集のイロハを学び、数々の雑誌を担当させてもらいました。ファッション、小物、美容、コスメから節約記事まで、女性誌で特集されるテーマは、ほぼ担当してきました。

―そして、2012年からはずっと料理書を担当されているのですね。もともと料理はお好きだったのですか?

はい、昔から好きでした。料理教室に通ったり、料理雑誌を買ったりしていましたね。実家暮らしが長かったので、平日に料理をする機会がほとんどなく、腕前はまだまだですけど。ただ、読者目線という点では、料理が得意でないことが活かせているかもしれません。自分がわかりづらいと感じる表現は、読者にとってもわかりにくいということなので、別の表現に変更するなど工夫しています。

―そんな広田さんが、仕事をしていて楽しいときやうれしい瞬間を教えてください。

最近はコロナの影響もあって機会が少ないのですが、取材でいろいろな場所に行って、たくさんの人に会えるのは、すごく楽しいです。常に新しい経験ができるので。かつては、海外にも取材に行きました。イタリア取材とか、楽しかったな……また機会があったら行きたいですね。

あとは、苦労して作った本が完成したときは、やっぱりうれしいです。以前、旅先で立ち寄った書店さんの料理書コーナーを覗いたとき、そこに置かれていた本がほぼすべて、私が担当したものだったんです。かなりテンションが上がりました!

―反対に、仕事をしていて大変だと感じるのは、どんなときですか。

締切との戦いは、毎度大変ですね……。どうしても今日中に、ということがあると、夜中まで仕事をしなくてはいけないですし。とにかく、体が資本だと感じます。あとは、編集の仕事って正解がなく、私が良いと思っても、他のスタッフは良いと思わなかったり、その反対もあったりで、調整が難しいときがあります。常に読者目線を忘れないことが、ここでも大切になってきますね。

―最後に、今後作りたい本や挑戦したいことを教えてください。

ワンパブの料理書に注力していくことはもちろんですが、それ以外で言うと……私ね、サッカーが好きなんですよ。ちなみに、筋金入りの横浜F・マリノスファンです。これまでにもサッカー関係の本に携わったことがあるのですが、もしワンパブでサッカーの本を出すときは、ぜひ声をかけてほしいです!

あとは、旅行も好きなので、一度旅行関連の本を作ってみたいなという思いがあります。今はインターネットで何でもリサーチできる時代だけど、だからこそ、旅行書に挑戦してみたいですね。プライベートでも、また海外旅行に行きたいです。早く前みたいに、自由に国内外を行き来できるようになってほしいですね。

これまで携わってきた中で忘れられない仕事を尋ねると、今回の『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』、そして、かつて女性誌で担当していた作家・内田康夫さんの連載エッセイと広田さん。広田さんご自身が内田さんの小説の大ファンで、企画提案して、連載にこぎつけたのだそう。「いつか会社を辞めるときの挨拶では、この2つの仕事の話をしたい」と語る一方で、「今後は、さらに思い出に残る仕事をしていきたい」という決意も聞けました。これから広田さんが手掛ける本から目が離せません。広田さん、ありがとうございました!

(取材:水谷映美/撮影:我妻慶一)

『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』最終号https://www.amazon.co.jp/dp/B09TMYQJMV/

『上沼恵美子のおしゃべりクッキング 永久保存版 BESTおかず』
https://www.amazon.co.jp/dp/4651202152/


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