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【ワンパブ・オープン社内報 vol.2】お城ブームは来るべくして来た―「100名城シリーズ」4代目担当編集が、お城の魅力を語る!

第2メディアプロデュース部 ムー・歴史チーム 早川聡子

ワン・パブリッシングで働く人を通して、会社が、雑誌が、いまどのような新しいことにチャレンジしているかをお伝えしていく【ワンパブ・オープン社内報】。今回は、第2メディアプロデュース部で歴史関連の書籍を担当している早川聡子さんにお話を聞いてきました。(所属や肩書は取材当時のものです)

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【社員プロフィール】
早川聡子
学研M文庫や歴史群像新書で、時代小説や歴史小説、大戦シミュレーション小説など、主に歴史系のフィクションを担当。「歴史群像大賞」の新人作家のデビューにも携わる。
その後、日本刀ブームの際に担当した完全英訳付きの豪華本『日本の美 日本刀 The Japanese Sward』は、海外にも輸出。2015年に4代目の「100名城」担当編集になり、現在は城や歴史ムックのほか、文系読者を対象とした科学本などを担当。


担当書は日本の歴史関連本をはじめ、数学入門書や家計簿まで!

―まずは、早川さんが現在担当している本について教えてください。 日本史関連の書籍が多いのですか?

そうですね。『日本100名城』や『日本城郭検定』書籍、城の鳥瞰・復元イラストの作品集や、山城や御城印のガイドブックなど、日本の城に関するものを中心に、お寺や仏教など日本の歴史に関係するものがメインです。

その他には、『図解 相対性理論と量子論』『図解 数学の世界』など科学・数学の入門書のシリーズや、今年からは家計簿も担当しています。

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―相対性理論に家計簿とは、ずいぶん幅広いジャンルですね!  ちなみに、日本史は昔から得意でした?

日本史についてそこまで詳しいというわけではなかったですが、もともと西洋史の小説は好きでした。歴史小説を担当していたこともあって、歴史が楽しいということは知っていたので、すんなり取り組めましたね。

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『図解 相対性理論と量子論』については……私はバリバリの文系ですが、文系の私でもわかるというコンセプトの本なんですよ。縦書きで、数式もほぼないという。理数系は苦手だけど、相対性理論ってどんなものかな? 概要くらいは知っておきたいな、という人にピッタリの内容だと思います。

ついに到来。お城ブームの理由とは

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―そして、いま大きなブームになっているのが「お城」ですよね。9月に刊行された『日本100名城』『続日本100名城』の公式ガイドブック、そして10月に刊行された『はじめての御城印ガイド』の販売が好調です。
ワンパブのTwitterにも、「100名城のスタンプをコンプリートしました!」「御城印をもらってきました!」といったコメントが寄せられるなど反響があり、「お城がアツイ!」と感じているところです。

『日本の100名城公式ガイドブック』『続日本の100名城公式ガイドブック』はその名の通り、日本城郭協会が監修したスタンプ帳付きのガイドブックです。それぞれ100城すべての歴史や見どころが、写真とともに詳しく紹介されています。シリーズ累計が82万部を超えていて、現在のお城ブームの火付け役と言っていただくこともあります。

公式のスタンプ帳がついているのが大きな特徴で、すべてのスタンプを押し終えたものを日本城郭協会に送ると、「登城完了認定」されて希望者は城郭協会HPでお名前が紹介されるようになっています。これは公式スタンプ帳にしかない特典で、2020年10月末時点で、日本100名城の登城達成者は3762名、続日本100名城は524名いらっしゃいます。

『はじめての御城印ガイド』の方は、各城の魅力と御城印に描かれた家紋や花押を簡潔に紹介しているガイドブックに、特別付録としてオリジナルの集印帳がついています。約1年前には御城印を扱っているお城の数は100程度だったのが、今や400を超えているんですよ!

―ものすごい勢いですね……! どちらも、コレクター魂に火がつきそうです。スバリ、お城の魅力とはなんでしょうか?

現在のお城ブームは、来るべくして来たと思っています。私が4代目編集担当として100名城本を引き継いだのが2015年なのですが、その頃くらいからお城ブームの到来を肌で感じるようになりました。姫路城の大改修が終わり白く塗り直されたことがテレビなどで取り上げられ、話題になりはじめたと記憶しています。よくよく考えると、お城って老若男女が楽しめるテーマパークとして魅力があると思うんです。

たとえば、世界遺産だったり、その土地一番の観光地だったり、歴史的合戦の舞台だったり、優れた日本の建築物だったり、好きな戦国武将ゆかりの地だったり、有名な映画や時代劇のロケ地だったり、桜の名所だったり、市民憩いの場だったり……誰もがなにかしら興味を持てる要素が、これでもかというほどあるんですよね。

壮大な天守は初心者でも知識なしで圧倒されますし、防衛の工夫などがわかればさらに楽しい。いくつか城に行くうちに、それがよくわかってくるのも、城めぐりが人気になった理由だと思います。

―具体的には、どの年代に受けているのですか?

核となるのは、50前後の方でしょうか。定年後の趣味として、お城をめぐりながら旅行するという人も多いですね。御城印が人気になってからは、若い女性も増えたように感じます。

お城は、一人でも、家族や友人とでも楽しめるという点が、とても今どきだと思うんです。それに、お城がある場所は観光地のところも多いですし、城下町があるので情緒がありますよね。

旦那さんは興味があるお城目的で、奥さんはお城にはそこまで興味がないけれど城下町の散策を楽しむ、というご夫婦もいらっしゃいます。最近は、戦国武将好きのお子さんも多いので、家族で楽しめるという点も魅力ではないでしょうか。

「日本初」=「世界初」の書籍を生み出していきたい

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―ここからは、早川さんご自身のことについて教えてください。仕事をしていて一番楽しい・嬉しい瞬間はどんなときですか?

嬉しいのは、やはり増刷が決まったときですね。自分が面白いと思った企画や作品が、多くの人に受け入れられたということですから。あとは、著者や関係者から「代表作の一つになった」「仕事の幅が広がって依頼が増えた」などと言ってもらえたりするのは編集者冥利に尽きます。

楽しいのは、面白い原稿を頂いたとき。それから、自分が感じた疑問をその道のプロ中のプロに直接答えてもらえることです。一生知らないで過ごしたかもしれないジャンルに関しても、第一人者の先生方に教えてもらうことができるのは、とても贅沢なことだと思います。

―反対に、大変だなと感じるのは?

進行が遅れているときはいつも(苦笑)。
真面目に答えると、城というジャンルは近年のブームもあるのか、発掘調査や復元も増えています。なので、公式ガイドブックといえども増刷時には常に情報更新があり、歴史といいつつかなり現在進行形で気が抜けないです。あとは、本に満足してもらいつつ、必ず現地にも行ってみたくなるようにするのは、毎度の課題です。

―ご自身でも、お城めぐりはされますか? おすすめのお城があったら、ぜひ教えてください。

行って面白いのが、『100名城』に掲載されている小田原城と、『続100名城』に掲載されている石垣山城。この2つは、豊臣秀吉の小田原攻めの舞台となった2つの城です。両方の位置関係などをチェックしながら、一緒にめぐると面白いですよ。近いので両方一日でまわれます。

―2冊を見比べて城めぐりをする……ちょっと上級者の活用法ですね! 点と点がつながるようで、楽しそうです。

そう、歴史の面白いところって、つながりがあるところなんですよ! 同じ武将がいろんな城の縄張(設計)をしていたりしますし。歴史的背景を少し調べると、よりお城めぐりが楽しめます。ひとつめぐるごとに知識が増えていき、ふたつめぐれば比較もできる、お城めぐりって奥が深いです。

―感染症対策を万全にして、私もお城めぐりをはじめようと思います!
最後に、今後の夢や目標、こんな本を作ってみたいという希望などありますか?

まずは、100名城公式ガイドブックシリーズの100万部突破! そして、城ブームをもっと大きくすること。本を作るという小さな仕事ではありますが、風を送って大きな流れを作り出すことはできると思っています。

あとは……「世界初」の本を今後もつくりたいです。じつは『はじめての御城印ガイド』も世界初なんですよ。日本史関連の書籍って、日本初のものをつくれば、自動的に世界初になることがほとんどなので(笑)。今後は「世界初」を意識して、企画を出していこうかなと思っています。

先月、オフィスが上野に引っ越しをして、会社周辺が歴史ある地域なのでとても楽しい!と早川さん。周辺を散策しながら、新たな世界初の企画が浮かんでくるかもしれませんね。楽しみにしています! 早川さん、ありがとうございました!

【日本100名城公式ガイドブック スタンプ帳つき】
公益財団法人日本城郭協会・監修
本体価格  ¥1,500(税抜)
https://one-publishing.co.jp/books/9784651200170/

【続日本100名城公式ガイドブック スタンプ帳つき】
公益財団法人日本城郭協会・監修
本体価格 ¥1,600 (税抜)
https://one-publishing.co.jp/books/9784651200187/

【はじめての御城印ガイド<特別付録>家紋デザイン オリジナル集印帳】
ワン・パブリッシング・編
本体価格 ¥2,000(税抜)
https://one-publishing.co.jp/books/9784651200316/

(取材:水谷映美/撮影:我妻慶一)

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