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アナリストによる2024年前半戦全球団振り返り~パ・リーグ編~

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プロ野球は143試合のリーグ戦も折り返し地点が見えてきた。このタイミングでアナリスト宮下博志に今季のNPBがどう見えているのか語ってもらった。今回はパ・リーグ編だ。

X(旧Twitter)ー宮下博志
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ソフトバンク

ー現在の1位はソフトバンクです。14日終了時点で勝率は.690です。これほどの独走は予想されていましたか?

宮下:シーズン前から1位予想はしていましたが、ここまで2位以下に差をつけるとは思わなかったのが正直なところです。もちろん山川穂高の加入など戦力補強はありましたが、それでも大幅な戦力増にはなり得ないと見ていましたから。

ーとなると、ここまで独走している要因はどこにあるのでしょうか。

宮下:単純に既存のレギュラー野手が軒並み好調を維持しているという要素が大きいように思います。WARで全選手中断トツ1位の4.6をマークしている近藤健介を筆頭に、栗原陵矢(2.7)、今宮健太(2.4)、周東佑京(1.9)、そして離脱してしまいましたが柳田悠岐(2.3)と、野手WAR上位に多くの選手が名を連ねています。特に近藤は脅威ですね。1人でリーグバランスを破壊しているレベルの貢献度です。

ー今宮や栗原は近年故障などもあって低調な成績に終わっていた印象でした。

宮下:おっしゃるとおりです。不調や故障に悩んでいた主力クラスのコンディションが上手く整った結果、チームとしては最大限戦力を発揮できているという感じを受けますね。

ーなるほど。一方で投手も防御率が2.19で断トツですが、こちらはどう見ておられますか?

宮下:投手は特に大きく戦力が向上したわけではありません。ここまでの投手WARは5.0で12球団中5位ですし、先発に限れば3.8で12球団中7位、リーグだと5位です。先発投手陣という弱点は今季も変わっていません。

ーそうなのですね、少し驚きました。ではこれだけ優秀な防御率になっているのはなぜでしょうか。

宮下:野手陣は打撃だけでなく守備でも極めて優秀なためです。今季のソフトバンクはチームのUZRが41.4。昨季も15.6でリーグトップの守備貢献だったのですが、すでに昨季を遥かに上回っています。歴代最高レベルの守備に支えられていることで、投手陣の防御率がよくなっているのでしょう。

ーなるほど。ソフトバンク投手陣といえば、リバン・モイネロの先発転向が昨オフ話題になりました。ここまではどうでしょうか。

宮下:モイネロの先発転向はここまでに限れば成功と言っていい経過を見せています。ここまで11試合に先発登板し、76イニングでWAR1.2。これはチーム1位です。また、モイネロのキャリアハイは2022年に記録したWAR1.7ですが、今のペースで行けば上回るでしょう。数字上は先発に転向したことで、よりチームの勝利に貢献することができています。

ーただ救援時代に比べると投球内容にインパクトがないように感じます。

宮下:モイネロの今季のK%(奪三振/打者)は23.6%。これはキャリアで最も低い水準です。BB%(与四球/打者)は8.0%でそれほど悪くないのですが、やはり奪三振能力の低下はかなり如実に現れているように思われます。これは2巡目以降で奪三振能力を落としている結果ですね。

宮下:ただ、その一方でモイネロはすでにキャリアハイをはるかに上回るイニングを消化しています。質の面では確かにやや見劣りするかもしれませんが、投球イニングという量が増加した結果、総合的な貢献は増加しているのです。何よりもシーズン半分程度の現時点で、すでにキャリアハイである76イニングを投げていることに注目すべきですね。

日本ハム

ーそんなソフトバンクに次いで今季勢いがあるのは日本ハムですね。宮下さんは開幕前5位予想でしたが、この躍進は予想外ということですか?

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