【ノートルダムの鐘】4回鑑賞して見えてきたこと。
オオウ…京都公演が終わってしまった。
観劇中の私の涙はまるで、これから遠距離恋愛が始まってしまう彼女のよう…
「は?じゃあ次いつ観れるん?東京までの交通費どうするん?は?無理やねんけど、は?エーーーン!!」
一言一句聴き逃すものかと全身に力が入り、終演後、背中はじっとり汗ばんでいた。
それでも、4回目ともなると次どこから誰が出てきて、どんな台詞があるかも大体分かるので、冷静に分析しながら観劇できるようにもなっていた。
計算しつくされた演出とフォーメーション
正直どのミュージカルも、計算し尽くされているとは思うが、ノートルダムの鐘に関しては自動装置が少なく、黒子もなし。ほとんどの大道具が人の手(しかも演者)によって用意されていく様は何度観ても、初めて観た時の感動を超える。壁やつい立てで人物の移動を隠すことなく、気づけばそこにエスメラルダのスカーフが落ちていて、気づけばローブを羽織ったガーゴイルがそこにいる。
4回目の観劇となった今回は、アンサンブルにも、かな〜り力を入れて観ていたので、よりその緻密さを感じることができた。あんなに少ない人数のアンサンブルが1人で何役もこなして、全ての小道具を「いつの間に?」と聞きたくなるほどナチュラルにセットする。
ほんの少しの誤差で全体のリズムが合わなくなりそうなのに、絶対に絶対に、ズレない。多分ズレても一瞬で修正出来てしまうくらい練習を重ねている事がダイレクトに伝わる。
これがロングラン公演の劇団四季のクオリティと知ってしまったら、もう抜け出せない。
でも…初めて観た時の、休まることのなかった心臓と
結末に落胆する脳みそはもう、戻ってこないんだネ。
だからまだ0回目というあなたは、真っ白な心で劇場に足を運んだらいい、何の予備知識も入れずに。リーズナブルな後ろの方の席でも、そこはもうパリのノートルダム大聖堂。
飯田達郎さんのカジモド
初めて観た時は飯田達郎さん。
2回目は寺元健一郎さん。
3回目は山下泰明さん。
偶然にも運良く3人全員のカジモドを拝むことが出来た私。でも、初めて観た時の、あの魂で演技してるみたいな、飯田さんのカジモドをもう一度観たい…と思っていたから週間予定キャストが発表され飯田さんがカジモドと知った時は「2023年の運、使ってもたかも」と思った。
とにかく声量、声の伸び、抑揚、どれを取っても
どこからどうやってそんな声を出しているか分からない。マジもんの楽器なんですよ。
「言いましたよね?僕は…強いって」
ラストシーン、フロローの首根っこを掴んで囁くカジモドの憎悪に満ちた顔。目をかっっっっっっぴらいて、太い両腕でフロロー投げ飛ばす。今まで観た中で1番怖かった。飯田さんも、野中さん(フロロー)も、こちら側の世界には戻ってこないんじゃないかと心配になるくらい。小さい頃オーケストラで見た佐渡裕さんの指揮を見た時も同じようなことを思った。「魂こもりすぎて、普段が想像できなくて、もはや怖い」って。
その時の感情と似ていた。
だから、髪を整え、絵の具を拭い、姿勢を正しエピローグを語る元カジモドの青年を見た時は何故か安心してしまう。
特に飯田さんはカジモドとのギャップや歌声の変化が顕著すぎて感情をグリングリンに振り回される。全身に、もうそれはスネまで鳥肌が立つ。最後に観られて本当に良かった!1回目よりはあっさりとした演技になっていたと思ったのは私だけでしょうか?
ここにきてクロパンの虜に
噛めば噛むほど味が出るスルメのような男、クロパン。
恐らく根っからのエンターティナーだから物語の中で唯一手拍子したくなる存在(笑)
危険を顧みずエスメラルダを脱出させたのも
フィーバスに「パリの人々よ〜こんなことを〜許すのかあ〜〜ー!!!」って歌わせたのも、彼を助けたクロパンじゃんね。フィーバスは女好きでキザだけどクロパンはそういう描写もないし影の主役。現実世界にいたら絶対モテる。結果、フィーバスより働いてる。
そんな話はさておき、ノートルダムの鐘の歌い出しもクロパンだし、最後カジモドから衣装を受け取るのもクロパンだし、とにかく重要な役を担っている。クロパンも住む場所を探して旅を続けているというのに…格好良い男である。あくまでミュージカルなので主要人物以外の心情は描かれていない部分も多い。だから情熱大陸や、プロフェッショナル、セブンルールなどテレビの取材があれば是非クロパンに、「奇跡御殿が見つかった時は正直、終わったと思いました?」「ジプシーをうまくまとめる秘訣は?」と質問してみたい。
もう数年は関西で観られない
1月からノートルダムの鐘を立て続けに観たけど
毎回、当日になるまで指折り日にちを数えていた。
家を出る前のメイクも、観劇前のランチも、いつもよりなぜか気合いを入れてドキドキしながら準備をした。
そんな高揚感も含めてやっぱり、ミュージカルは素晴らしい。8月まで続くオペラ座の怪人、12月から始まるバケモノの子に向けてまた、気持ちをリセットしなければ。
とは言え名残惜しさは変わらないのでどこかでタイミングを見つけてお金を貯めて、東京公演も駆けつけたいな。
少ない語彙力と集中力のなさのせいで全てを文字にすることは残念ながらできないけど、今後も観劇予定がびっしりなので気楽に記録していこう。
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
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