化学やけどを防ぐ水洗いクリーニング~NHK取材の舞台裏~
先日、宅配クリーニング one more の運営母体である、弘前ドライクリーニング工場がNHK青森放送局様の取材を受けました。
内容は、「化学やけどを防ごう!」という物で、クリーニングで年間数件発生している化学やけどにならない、完全水洗いクリーニングに取り組む企業として、取り上げて頂きました。
当日の放送内容は、下記より見ることができるようになる予定です。
え、クリーニングで化学やけど?と思われる方もいるかもしれませんね。
この記事では、
・クリーニングでなぜ化学やけどが起きてしまうのか
・なぜ化学やけどのリスクがあるクリーニングがなくならないのか
・自分達でできる対策は何なのか
等、NHK様の放送ではお伝えしきれなかったことをお伝えしたいと思います。
1.化学やけどとは何か?
化学やけどとは、苛性ソーダや次亜塩素酸ナトリウム等、薬品や溶剤が皮膚・目などに付着することで、皮膚が炎症を起こしたり、視力に異常をきたしたりすることを言います。
例えば、
・厨房・病院などの消毒業務中に次亜塩素酸ナトリウムを使用していて、薄める前の原液が誤って手に着いてしまった
・工場内で苛性ソーダを作業場で使用していて、誤って目に入ってしまった
といった事例があります。
2.クリーニングで化学やけどが起こる原因
では、なぜクリーニングで洗った服を着ることで、化学やけどが起きてしまうのでしょう?
答えは、ドライクリーニングというクリーニング手法にあります。実は、服をクリーニング屋さんに持ち込んでも、水で洗わないことがほとんどです。
代わりに、クリーニング溶剤という石油から精製された液体に服を入れて洗います。これが、水を使わないので「ドライ」クリーニングといいます。
当時は、水で洗えなかったスーツやセーターを縮まずに洗うことができる!として大変画期的な手法でした。当社もいち早く取り入れ、屋号も「弘前ドライ」と名前を付けるくらい、当時はクリーニングの代名詞となるような物でした。
そんな、画期的なドライクリーニングでしたが、デメリットもありました。
そのデメリットの1つが化学やけどで、溶剤が長時間肌に触れることで炎症が起きてしまったり、揮発した物を吸い込んでしまうことで、咳が出たりといった症状が起きてしまいます。
溶剤は揮発性が高いので、工場で乾燥時間を十分とることで服に残留することはありませんが、忙しさや不注意から乾燥が十分されないままお客様の手元に渡り、それを着用されることで化学やけどが起きてしまうという事例が残念ながら、毎年起きているようです。
特に、合成皮革・ポリウレタン・綿素材の服で起きやすいと言われています。
3.防ぐために心がけておくこと
溶剤は透明で目には見えません。なので、ぱっと見ただけでは残留しているかどうかを判別できません。
・服に触れてみて濡れている感じがする。
・カバーを開けたら強い石油臭がする。
といった場合、溶剤が残留していることがありますので注意が必要です。
そういった場合は、カバーから服を出して、風通しのよい所で臭いがなくなるまで干しましょう。
何時間も干してるのに、臭いがなくならない!という場合は、残留溶剤が原因ではなく、
出されたクリーニング屋さんで使用している溶剤が古く、溶剤に残った汚れが服についてしまっている。クリーニング落ち切れなかった汚れがある。等の原因が考えられます。
その場合は着用しても化学やけどになることはありませんが、、、あまり気分のいい物ではありませんね^^;
4.天然洗剤で洗う、水洗いクリーニングで赤ちゃんでも安心なクリーニングを!
当社では、業界にそんな現状があるのを当然知っていました。そんな時に代表である久保に子どもができた時、義母から
「昔、娘(私にとっては妻)が着たベビードレスがあるのだけど、、、これ、久保さんとこで洗ったらキレイになるかい?」と言われたときに
「今のクリーニングって、赤ちゃんの着る物を洗っても大丈夫なのかな・・・?」と疑問がよぎったことから
全ての衣類を、溶剤や合成洗剤を使わずに水洗いする。という取り組みを始めました。そうしてできたのが「天然洗剤で洗う 人と環境にやさしいクリーニング one more」です。
詳しい開発ストーリーは下記に掲載しています。
one moreでは、今までドライクリーニングでしか洗えなかったスーツ・セーターなども縮まずに水洗いすることができます。
水洗いすると縮む、と言われているウール製品もこのように、洗うことで新品よりもふっくらします。
5.なぜドライクリーニングがなくならないのか
そこまで水洗いできるなら、なぜ皆水洗いをしないのですか?ドライクリーニングをやらなくてもいいのでは?と疑問に思われるかもしれませんが、それには理由があります。
先日、当社に持ち込まれたこちらのニット帽子ですが
洗濯表示が全て×でした。つまり、メーカーは「洗わないでください」と言っているのです。これでは、クリーニング屋さんに持ち込んで断られてしまっても仕方ありません。
また、スーツなどのジャケットも「ドライクリーニングを指定」されていることがほとんどです。
こういった商品をクリーニング屋さんが水洗いをして、もし何かあった場合、メーカーがやらないでくださいといった洗い方で処理をしたクリーニング屋さんが全面的に悪いということになってしまいます。
メーカー、クリーニング屋さんのそれぞれの「責任をとりたくない」といった姿勢がドライクリーニングがなくならない背景の1つにあるかと思います。
また、ドライクリーニングも悪ではありません。このダウンはポケット部分などに油汚れによるテカリが起きていました。皮脂などの油汚れ・化粧品などはドライクリーニング→水洗いの工程を経ることで、とてもキレイにできます。
このように、ドライクリーニングも正しく使えば問題ないものであり、特定の汚れを落とすのには抜群の効果を発揮します。
6.つくる側・ケアする側を繋げて、服を大切に着る文化をづくりに向けて
私たちone moreでは、先述のニット帽子も水洗いでクリーニングをしました。
問題なくクリーニングはできましたが、これは私たちが独自の判断に基づいて行っていることであり、何かあった時は全面的に責任をとる覚悟でやっていることです。
できることなら、同じ服に携わる物同士、つくる側であるメーカー、ケアする側であるクリーニング屋が協業して、「服を永く大切に着られる文化づくり」ができたらなぁと夢見ています。
そんなことを話していた時に、東かがわ市の江本手袋さんという手袋やマフラーを作られているメーカーさんと知り合うことができました。
江本手袋さんでも、「永く大切にできる商品づくり、水洗いできる商品づくり」をコンセプトで商品を作っており、
江本手袋さんに、我々の想いをお話したところ、とても意気投合し、これから協業していくことが決まりました!
江本手袋さんのマフラーは自宅でもケアできるのですが、クリーニングさせてもらったところ、見事にマフラーの風合いを蘇らせることができました。
これから、永く大切に服を着られる文化、そしてケアできる環境づくりに向けて少しずつ歩めていけたらなと思っています。
これは、私たちだけではできません。たくさんの作る側・着る側・ケアする側の人たちが仲間として繋がって、一緒に取り組めていったらこんなに嬉しいことはないなと思っています。
是非、あなたにも仲間になって頂きたいです。
読んで頂き、ありがとうございました!
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◎宅配クリーニングone more公式サイト:https://onemore-cleaning.com/
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