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「衣の安全」に貢献できるクリーニング屋さんを目指して

「うちんとこのクリーニングって、赤ちゃんの着る服を洗って本当に大丈夫なの・・・?」

という心の声に、当時「Yes!」と答えることができなかった・・・。というところから私たちone moreは始まっています。

それ以降、私たちは「石油溶剤はできるだけ使わない」「できるだけ水で洗う」「使う洗剤は天然素材から作られたものだけ」「洗剤の量もなるべく減らす」というモットーでクリーニングをしています。

どうやって生まれたの?というのは開発ストーリーをお読みいただきたいのですが、

実はこのone moreを始めるきっかけとなったエピソードがもう1つあります。

今日はそれをご紹介することで、「食の安全」ならぬ「衣の安全」について考えて頂けたらなと思っています。

「コスト削減で衣類が簡素化?」 補修の大ベテランKさんの悩み

私たちはクリーニング屋さんなので、服を洗うことが専門なのですが、その過程でほつれがあった!穴があった!ということがたくさんあります。

そんなとき、皆が頼るのが数十年わたりミシンを踏んでいるKさんの所

洋裁も和裁もお手の物で、お客様の中にはKさんファンがいらっしゃって、洋服のお直し屋さんではなく、「Kさんにお願いしたい!」とわざわざお願いしにいらっしゃる方もいるほどです。

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そんなKさんがある日、立ち尽くしているのを見かけました。

「いやぁねぇ、これ、どうしようか悩ましいのよ」

といって見せてくれたのはダウンジャケット。
「ダウンを入れてるポケットが破れて、羽が出ちゃってるのよ。」

確かに、羽が入っている膨らみの一つがほつれていて白い羽が飛び出ていました。

「これ、ちゃんと縫うには全部ほどかないとダメなんだけど、このダウン、ほどくと羽根が全部でちゃいそうなのよ。」

ほつれた個所をちょちょっと直せばいいのかなと思えばそうではなく、ちゃんとほつれないようにするには全部縫い直さないといけない。

でも、それをすると羽根が飛び散ってしまうので元通りにするのがとても大変だと。

「最近はこういうやつ多いのよねぇ・・・。」

Kさん曰く、昔の服はもっと長く着るのを考えて、補修しやすいように工夫がされていたらしく

羽根を別の小袋に入いれた上で、服の中に縫い付けられていたそうで、こんなことにはならなかったとのこと。

「それってつまり、コスト削減の為に服のつくりを簡素化しているってこと?」
と言いながら、私には最近聞いたある友人の話が思い浮かんでいました。

「どうせ俺らが悪い」クリーニング屋さんに漂うあきらめムード

「クリーニングに出すと石油の臭いがしてくる」
「クリーニングに出すと服がぺちゃんこになる」
「クリーニングに出すと服がベタついて返ってくる」

だから、「どうせクリーニングで傷むなら、私はクリーニングに出すような高い服、買わないんです!」と言っている友人がいたのです。

そんな馬鹿な・・・。
同じクリーニング屋さんとして胸が痛みました。

そして、どうしてそんなことが起こっているんだろうと疑問になり、クリーニング屋さんの事情に詳しい資材業者さんに聞いてみたことがあります。

今ねぇ、どのクリーニング屋さんも、水洗いを敬遠してるんですよ。最近の服ってすぐ縮んだりするでしょ?結局責任取るのはクリーニング屋さんですからねぇ。だから皆ドライクリーニング(石油溶剤で洗うクリーニング)で処理しちゃうんですよ。」

※ドライクリーニングは縮まないかわりに、石油の臭いがしたり、何回も続けるとべたっとした感じになってしまうのがデメリットです。

そういえば、この前うちの工場でも、水に入れただけで服が縮んでしまってクレームになった服がありました。

麻素材で作られた夏物のさわやかなブルーのジャケットでした。
素材にはレーヨンが含まれており、確かにレーヨンは水洗いをするときに注意をしなければいけません。

洗濯表示を見ると「水洗い×」の表示。こうなるとクリーニング屋さんが全面的に悪いということになってしまいます。

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ですが、汗をたくさんかくであろう夏物のジャケットを水で洗えないというのはどうなんでしょうか。。。

実際、多くの製品が水洗い×で作られています。

ドライクリーニングでは汗は落ちないというのは我々の中では常識です。でも、だからといって水で洗ってトラブルがあると全てクリーニング屋さんの責任になる。

クリーニング屋さんが「どうせドライ(石油溶剤)で洗っておけば無難なんだからそれでいいでしょ」とあきらめムードになってしまうのも分かる気がします。

「衣の安全」はアパレルとクリーニング屋さんセットで目指すもの

クリーニングの品質、そして、肌へのやさしさや環境への負荷を考えたら、ドライクリーニングよりも水洗いの方が絶対にいいに決まっています。

ドライクリーニングは、溶剤の種類にもよりますが、物によっては毒性があったりします。過去には乾燥が不十分で、残留した溶剤がお客さんの肌に化学やけどを起こしてしまう事故もありました。

(「ドライクリーニング 化学やけど」で検索すると事例がいくつか出てきます)

実際、溶剤の一種「テトラクロロエチレン」を扱うには多くの注意書きを工場内に掲示し、注意喚起をしなくてはなりません。

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全ての溶剤がこのように危険というわけではありませんが、衣の安全という点では、水洗いの方が絶対にいいのです。

しかし、多くの衣類が「水洗い×」として作られている以上、なかなか水洗いでクリーニングをしてください。というのは難しい状況です。

オーガニックで作られた野菜を化学調味料たっぷりで調理しても意味がないのと同じように、衣の安全もアパレル・クリーニング屋さんセットで実現していきたいものですね。

現状で水洗いをするなら、クリーニング屋さんが、もし事故が起きたらクリーニング単価の何倍もの賠償金を払うリスクを冒してでもやる!といった覚悟がないとできません。

リスクを冒しても安心・安全なクリーニングに挑戦したい

そんなリスクを冒してやるクレイジーなクリーニング屋さんの1つが私たちです。

繰り返しになりますが、私たちは

・ドライクリーニングではなく、水洗いでクリーニングをする
・洗剤を使う量を減らすために、水や温度に工夫をする
・使う洗剤はヤシなどの天然素材から作られたものだけを使う
・柔軟剤なども含めて直接肌につけてもいい物だけでクリーニングする。

ということに取り組んでおり、地元青森県では1年間で4000着程クリーニングをさせて頂きました。

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さらに、
・石油臭いにおいが一切しない!むしろ旦那の加齢臭まで落ちている!
・肌触りがすべすべしている!
・なんだか服もパリッとして元気になったみたい!

と喜びのお言葉を頂いています。

99.99%は大丈夫だったのですが、やっぱり失敗してしまうこともありました。生地・縫い糸・傷み方、いろんな組み合わせで縮んでしまったり、色が落ちてしまったり。

それでも、私たちは、リスクを冒してでも、これからも水洗いにこだわり、肌に付けてもいいような安心な洗剤にこだわり、洗剤を使わず水だけで落とせるような水にこだわっていきたいと思っています。

そして、いつか、我々クリーニング屋さんだけではなく、アパレルメーカーも一緒になって、「衣の安全」に取り組んでいけることを夢見ています。

あなたも一緒に「衣の安全」を少しでも意識してみませんか?

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

one moreのお申込みは https://onemore-cleaning.com/

安心・安全なクリーニングであなたの服がイキイキとするように丁寧にクリーニングさせて頂きます。


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