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クリエイターを知ることで、芸術はもっと面白くなる

演劇・ミュージカル好きの人間が周囲の友人から質問されること第1位が「何を観たら良い?」ではないか、と思うのですが、演劇が好きになればなるほどこの質問への回答にいつも頭を悩ませます。

演劇にハマり始めた当初は「もうとにかくまず『レ・ミゼラブル』観て!」と言っていたのですが、様々な友人を実際に連れて行ってみたところ、どうやら全人類が『レ・ミゼラブル』を観て号泣するわけではないらしいのです。

よく考えればそりゃそうで、どんなに大ヒットドラマだ、名作だと言われた作品でもハマらないものはハマらない。絶対にこれがおすすめ、というのはなかなか難しいものです。

しかも演劇は「試す」ことができません。YouTubeやVODのようにつまらなかったら途中で見るのをやめたり、倍速で見たりすることができないし、事前情報もめちゃくちゃ少ない。なのに高いお金を払って、携帯も見られない劇場の椅子に2時間〜3時間座り続けなければいけない。しかも人気作品は半年以上前にチケットを取らなければいけない。

現代において、なかなかにハードルの高い芸術です。

じゃあどんな作品をおすすめすれば良いのか。一番わかりやすいのは、「俳優」で選ぶこと。演劇というのは数十人から多くても2千人弱のキャパシティなので、かなり近い距離で、しかもリアルタイムの、生の演技を見ることができます。もし好きな俳優が出ている作品なら、「俳優が目の前で芝居している」だけで感動があるでしょう。

でも、どんなに良い俳優が出ていたとしても、物語の展開に納得がいかなかったり、演出の仕方やBGMが好みじゃなければ楽しめないのは、ドラマや映画と同じ。

だからこそおすすめしたいのは、「自分が好きなクリエイターを知る」ということ。

演劇は豪華なCGやセットがあるわけではないので、いかに観客を「想像」させるかが重要であり、また醍醐味とも言えます。例えば舞台上に白い箱しか置かれていなくても、それがリビングの和やかなテーブルになったり、切迫した会議室の机になったり、電車の椅子になったりする。それを「イヤイヤ白い箱やん」と冷めさせないようにするには、脚本の言葉、演出家が引き出す演技プラン、音響や衣装、照明などの世界観…などクリエイターの手腕が必須なのです。

そこにはもちろん様々な表現が存在して、受け取り手にも好みがあります。だからドンピシャで好みの世界観!ということもあれば、独特で自分にはない表現だけど興味深い!ということもあるし、全くわけわからん…ということもある。

でも、演劇はまだまだクリエイターの名前が知られていません。例えば宮藤官九郎さんとか、三谷幸喜さんとか、ドラマ等でも活躍されている脚本家ならいます。もちろんそう言った方々の作品は最高に面白いのだけれど、もっと若手で、自分と同じ時代を見てきた同年代の人が、今の社会を捉えて描く演劇というのも面白いです。本当に演劇は「時代を映す鏡」なのだなと実感させられます。

そんなクリエイターさんをもっと知って欲しくて、コミュニティアプリ「Creators with Audience」というものを立ち上げてみました。

若手脚本家の連載や、舞台に出演する俳優の稽古日記、演劇に携わるクリエイターとのオンライントークイベントなどを開催していく場所です。

若手脚本家の皆さんは、「連載を持つのが夢だった!」と喜んでいただいていて、やっぱりそう言った機会って少ないよなぁと思ったり。いち演劇ファンの私が観劇して、「この人すごい!」となった人に書いていただいています。皆さんお若いです…才能…。(1人1人への思いはまた改めて語りたいですがここに紹介記事を載せておきます→https://engeki-audience.com/article/detail/9752/

稽古日記は第1弾でなんと俳優の小出恵介さんに書いていただいたのですが、様々な舞台・映画・ドラマに出演してきた小出さんも、稽古場の様子をリアルに、自分の言葉で綴る日記は初めてだったそうです。

皆さんの言葉を読んでいると、熱い気持ちが沸々と込み上げてきて、やっぱり演劇の世界って素敵だなと純粋な気持ちに立ち戻れます。

月額制の有料ですが、19日までに入会するとなんと1ヶ月無料ですので、ひとまず登録して覗いておいていただくことをおすすめします。

クリエイターのことを知っていくと、その1人1人の技術と情熱が結集した舞台演劇をより深く、楽しむことができます。それは間違いないです。

今ドラマでは「あの作品を作った脚本家が手がける新作!」など、クリエイターが評価されてきているように感じます。演劇もそんな風になったら良いなと思うし、単純に観客としても、クリエイターを知ると、より自分が面白い・好きだと思える作品に出会いやすくなります。

たくさんのエンタメがある今だからこそ、クリエイターを知って欲しいです。そしたらきっと、人生を変えるような、もしくは自分の人生はこれで良いんだと思えるような、そんな一生モノの大切な作品に、出会えると思います。

https://butaiura.fan/community/audience/

演劇のことをもっと知ってほしい!という思いで、メディアもやっております。こちらでは作品の紹介はもちろん、作品の時代背景だったり、歌詞の深掘りだったり、俳優さんへのインタビューだったり、ゲネプロのリポートだったり、様々な観点から演劇を知れる場所になるように、記事を毎日アップしています。こちらもぜひ、覗いてみてください。→https://engeki-audience.com/




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