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FDAが「CBDに関する草案」をホワイトハウスに提出 ―国の認証制度は成立するか―

こんにちは

ワンインチの柴田です。

まずは、弊社に関する報告となり恐縮ですが、ワンインチは、合同会社から株式会社へ改組しました。

近日さまざまなリリースを出してまいります、ご期待ください。

さて、今回はアメリカより驚きのニュースが入ってきました。

アメリカのFDA(連邦食品医薬品局)が「CBDに関するガイドライン策定」のための草案をホワイトハウス行政管理予算局(OMB)に提出したそうです。

このニュースを要約すると、「アメリカにおいてCBDの一律のルールが成立し、市場の健全化を図る第一歩になりそうだ」ということになります。

これの何が驚きであるか、そして、日本のCBD業界にとっても画期的で、なぜ大きな進歩になりうるのかについて書いていこうと思います。

前提:アメリカを取り巻くCBDの状況

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現在アメリカのCBD市場は2019年段階で4500億円程のマーケットとなっているとされています。(2018年比562%増・CBD以外の大麻製品を除く、Brightfield Groupより)

また、2025年までに米国のCBD市場は3兆円規模に達する可能性があると言われています。

現在アメリカでは、日本でいうところのマツモトキヨシのような「CVS」やAmazonのスーパー版の「ホールフーズ」にもCBD製品は置いてあります。
それほどCBDがアメリカ国民にとって身近で一般的だということがわかります。にもかかわらずCBDを取り巻く状況は混沌としています。

2018年以前のアメリカにおいて、CBDに関する製品は、連邦法で違法とされていました。
しかし、州によっては「1.全ての大麻関連製品禁止、2.一部解禁、3.解禁」の3種類の異なった州法が存在し、連邦法と州法で相違が存在する状態でした。

しかし、2018年、連邦法である農業法改正によって状況が一変します。
農業法改正によりTHC0.3%以下の大麻草をヘンプ(産業用大麻)とし、米国政府が正式に栽培を認めたのです。これによりアメリカ全土でヘンプの栽培は連邦法では認められたことになります。

しかし、これはあくまで栽培側の定義であり、CBD自体を製品として認めたとは言えません。
また、たとえ連邦法が成立したとしても州法を優先する慣習がアメリカにはあるため、全ての大麻関連製品を禁止にしている州は未だ存在しており、そのレギュレーションを採用しております。
州によって細かなレギュレーションが微妙に異なっており、これによりまさに「カオス」の様相を呈しているわけです。

このようなカオスの状況を逆手にとり、悪意ある形で利用する業者もいるのが現実で、市場は荒れに荒れているというのが現状であります。

ここでレギュレーションの曖昧さによって生じている課題を紹介させて頂きます。
・CBD製品に既定の含有量が含まれていない
・重金属や残留農薬などが含まれている
・供給が追い付かず中国原料に依存している
・THCが表示以上(もしくは以下)含まれている
・製品の品質がブラックボックス化している

上記の殆どが、レギュレーションの曖昧さゆえ、適切な検査が行えないことによるものだと分かると思います。一部の生産・販売業者は、独自で品質検査(第3者機関による)を行い、それを公表することで安全を担保しています。しかし、それは多数派でないのが事実です。

通常、他の食品ではここまでの荒れた状況にはなりません。それはFDAがきちんとレギュレーションを定め、認められた製品が販売されるからです。

FDAの立ち位置

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FDAとは、アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration)の略称で、アメリカ合衆国の政府機関の一つです。簡単にいうと日本の厚生労働省と似た働きをもつ機関です。

FDAは、食品、医薬品、動物薬、化粧品、医療機器、玩具などの安全性・有効性を鑑み、認証、規制をします。

CBDに関しては、製剤であるエビディオレックスのみFDAは承認しています。

つまりアメリカに溢れているCBD製品(食品や化粧品やVapeなど)は「FDAの認可のもとに販売されているわけではない」ということになります。

割と誠実なアメリカのCBDメーカーは、「この製品はFDAの承認を受けて販売されておりません。あらゆる医学的な効果や効能を謳うものではなく、疾患への効果も謳っておりません。」ときちんと明示しています。

FDAがこれまでCBDに関する対応に腰が重かった理由は、
・連邦法と州法との矛盾
・WHOの正式な見解待ち
・大統領のCBDに対する興味のなさ
・そもそもCBDが他のものと比べて優先順位の高いものではない

などといった認識によるものだと考えます。

FDAによるCBD施行政策草案の提出

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このような前提があり、今回、FDAはCBD業界を理解し、監督・規制を行うためにホワイトハウスにその草案を提出しました。

FDAによる認証制度が本格化していく見込みです。

草案には「FDAによるCBDに関する規制を策定する際に、FDAはCBDの研究を支援する」という契約の締結が盛り込まれています。
具体的には、
1、FDAは、市中にあるCBD製品サンプルを可能な限り集める。(1000-3000程度)
2、FDAは、公正な検査が可能な業者を選定する。

ということが提案されており、これにより市中のCBDの現状を把握していく構えのようです。
今後、FDAが「CBDの検査等を実施する請負業者を選定し、レギュレーションに合致したCBD製品を認証していく」ということを示唆していると考えて差し支えないと思います。

ただ、この成果が表れるまでに数年は掛かるであろう、と専門家は指摘しています。

今後の展望

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現時点でFDAによる評価(レギュレーション)が今後どのようになるのかはわかりません。

少なくとも市場に溢れているCBD製品の管理が、大変ずさんであることは明らかになるとは思います。(CBDの不含有、有毒物質の含有、THCの基準値以上の含有など)

これによりCBD製品全体が規制され、販売等ができなくなることが最悪なシナリオだと思います。
しかし、現在の市場規模を考えるとCBDを市場から閉め出すことは考えにくいと思います。
今後、考えられるシナリオは、FDA認証の検査機関が選定され、種々の検査を経たFDA認証のCBD製品が市中に残るのではないかと思います。

FDAのレギュレーションにより、医療と嗜好用など、目的にあわせた適正CBD含有量・含有率も明確化されていくのではないでしょうか。

このようなレギュレーションがきちんと整えば
・表記通りのCBDが含まれる
・有害物質が含まれない
・FDAの認証があり安心

と消費者にとって手に取りやすいものになると思います。また、FDAも適正なCBD製品の使用ガイドラインを国民に向けて発していくでしょう。

日本市場も徐々に盛り上がってきており嬉しいのですが、やはり基準がないことで、市場は好き放題荒れているような状況です。
このようなアメリカのレギュレーションが成立すれば、日本も追随し、大麻取締法・麻向法に準じた形で法整備がなされていくことと期待しています。

とにかく、腰の重いFDAが今回コロナ禍でCBDについての検討を行うことは大きな一歩だと思います。今後の状況を静観していきたいと思います。

参考資料


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