23/24シーズン終了
1.シーズン総括
23/24シーズンはリーグ戦をプレーオフ県内の5位で終え、スペイン4部への昇格をかけたプレーオフを戦うことができました。
(結果としてはホームアウェーともに負けてしまいましたが。)
数字上では、昨年の出場時間が753分であったのに対し、今シーズンは1661分と大幅に出場機会を増やすこともできました。
チーム内での立場も昨年とは異なり、ベテランのひとりとしてチームを引っ張る立場でした。
チームとして当初掲げていた目標のプレーオフ出場を果たすことができ、個人としても大幅に出場機会を増やすことができた今シーズンは一見すると上出来に思えますが、その内情は自分のキャリアのなかで最も困難で、ストレスに満ちたものでした。
一時はチームを離れることを考え、代理人に別のチームへの移籍の相談もしていました。
プレーオフ進出を決めたリーグ最終戦では、喜びよりも虚無感のほうが勝っていたほどです。
2.サッカーに見出す価値
以前の記事でも書きましたが、自らの価値観と対極に位置するような人間と共に過ごす時間は、ストレスが非常に大きかったです。
ですが、そのストレスは同時に自分の価値観をより浮かび上がらせるきっかけとなり、人生の方向性を示してくれたように思います。
自分がなぜサッカーをプレーしたいのか
その根底にある価値観が明確になった一年でもあり、自分自身のサッカーに対する向き合い方も変化したと感じます。
いまの自分にとって、サッカーとは「心技体を通じて、人と繋がる究極の手段」です。
そして僕自身が、サッカーを通じて見出した価値は「すべての人は、根底で心と体を通じて繋がっており、その繋がりこそが最大の喜びである」ということです。
直観や、深い愛、情熱、慈しみ、これらを大事にする人間というのは、その表情に、その目の奥に特別な輝きを持っているものです。
そして、その輝きは周りにいる人間をも同じエネルギーで包み込むものです。
創造性とは、問いに始まり、そして、情熱、愛、それらの過程に存在するものだと思います。
同じことを繰り返したり、目の前の課題をただこなす生き方ではなく、自分の思い描くビジョンを現実の世界に反映させていく生き方は、創造性がなければ難しいでしょう。
サッカーとはまさしく、創造性のスポーツであり、そこにはさきほど挙げた問いや情熱、愛が存在するのです。
自分がサッカーを大事にしたいと思う理由は、そのような生き方を大事にしたいと思うからです。
過去に縛られるのではなく、自らが描くビジョンや、大事にする価値観を現実に反映させていくこと。
そして、同じような価値観を共有する人間との時間を大事にすること。
ひと昔前のインターネットがなかった時代というのは、すべての人間が情報にアクセスすることができなかった時代ですが、現代は情報に誰でもアクセスできます。
そして、人と繋がることも簡単になりました。
ただし、私たちにとってノイズとなるような情報、価値観などが多いのも事実です。
仕事に忙殺される=人生の価値観を振り返る暇がない。
これらのことは自分が危惧する日本社会のテーマでもあります。
一度立ち止まって考えてみてほしいのですが、私たちは果たしてどれほど自分たちの価値観を理解しているでしょうか。
価値観は、文字通りあなたの人生の豊かさを左右する最も基本となるものです。
3.旅の途中で出会ったメキシコ人
マドリードにて一泊した際に同じホステルで出会ったメキシコ人のEstrellita.(ちっちゃな星という意味)
彼女は数年前まで建築関係の仕事をしていたそうですが、仕事のストレスにより以前から興味があったフォトグラファーやメキシコの食や自然を紹介する観光業に転身したそうです。
今の仕事はとても気に入っていて毎日アイデアが溢れてきては止まらないとのこと。
情熱に溢れる彼女の話しぶりから今の仕事を愛しているのが伝わってきました。
そんな彼女ですが、それほど愛している仕事を一度中断してヨーロッパに40日間の一人旅に来ており、その旅の最終日にたまたま自分と出会ったのです。
ホステルで同室になって、ひょんなことから会話をし始めたのですが、意気投合し、その後もたくさんのことを語ってくれました。
今回の旅の目的地はポルトガル、オランダ、スペイン。なかでも気に入ったのはオランダ。
街中にいながらにして車の音がほとんど聞こえず、鳥のさえずり、待ちゆく人々の会話や足音が聞こえるらしいです。
Coffee shopでは合法ドラックが試せて、みなリラックスしており、彼女に言わせれば街全体がまるで未来のユートピアそのもの。
他の国においてよく見られる人種間での労働機会の差が少なく、またすれ違う人たちはみな笑顔で挨拶をしてくれる温かい国民性だそう。
また日が落ちないんじゃないかと錯覚するほど日照時間が長く、そのせいあってか人びとはその大半の時間をストリートで過ごすそうです。
唯一の欠点としては、ごはんのバラエティーに欠けること。(ご飯は自分にとって大事なのでオランダに住むのは難しそうです笑)
彼女はそのほかにもメキシコの歴史、女性として働くこと、黒人、インディアンとしてのルーツ、貧困、家族への感謝、現代社会の課題、そういったことをvermutというスペインのお酒とaceitunaをツマみながら話してくれました。
彼女が話してくれたことは、自分にとって正解でもなく、不正解でもないです。
ただ、彼女が人生に感謝し、そして仕事や家族、旅、さまざまなことにすべてのエネルギーを注いで、彼女の人生を歩んでいる姿に、自分は人生を見つめなおすきっかけをもらいました。
自分の人生を自らの手で選ぶ。
彼女の言葉や表情から、彼女の生き方そのものがその日出会った見知らぬ自分という人間にポジティブな影響を与えてくれたました。
まったく異なる背景を持つ彼女と自分であったとしても、同じ価値観を共有したり、自らの価値観を考え直す時間を持つことができるということです。
いろいろと記すうちに長くなってしまったので、このへんにして終わりにします。
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