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犬のことなんでもリモート相談室

このnoteではOne for Dogのオンラインサロン「愛犬文化村」に毎日投稿している記事の中から、比較的刺激が弱いと思われるトピックを選び、辛味成分を調整した上でご紹介しています。サロンメンバーさんにおかれましてはマンゴラッシー感覚でお楽しみください。

いつもご利用ありがとうございます。
One for Dog の齋藤です。
この内容はラジオ放送「One for Dog Radio」で音声コンテンツとしても配信しています。"音声派"の方はそちらからもお楽しみいただけます。

それでは本題に入りたいと思います。

オンラインサロンの記事ですが、こちらは基本的に口外禁止としています。
その理由は何か悪巧みをしているわけではなく、オンラインサロンの僕は「本音」を売りにしているため、文脈を理解頂いていないと色々具合が悪いことになりかねないからです。

なので、このnoteではサロン記事の中から差し障りのない記事だけを抜粋してご紹介している次第です。

ただ、今回はあまりにも愛犬文化村で好評だった記事があり、またその内容はサロンメンバーさん以外にもお役に立てそうだったので、サロンオーナーの権力を振り回してご紹介したいと思います。

かなりの長文ではありますが、何かの精神修行だと思ってお読みください。


今回はちょっと毛色を変えて、とあるお客様とのやり取りをご紹介します。
長文になりますので、愛犬と約束したかくれんぼは済ませてからお読み下さい。
#あれ楽しいよね

先日、愛犬文化村のサロンメンバーさんからこんな相談があったんです。

「ペットショップで見かける9ヶ月の仔犬を迎え入れたい」

もともとはOne for Dogのトリミング、そしてお手入れ教室にも通われていた飼い主さん。
先住犬のことも知っていた僕にアドバイスを聞きたいとのご依頼でした。

今回特に重要なポイントが「9ヶ月になる仔犬」。
嫌な言葉で言うと売れ残りさんです。

そもそも2頭目に関しては積極的に探していたわけではなかったそうですが、9ヶ月にもなるのに店舗にずっといるその子が心配で気になって仕方なくなってしまったことでの相談でした。

・先住犬
・仔犬

それぞれに気を付けることはあるか、また、この選択は果たして正しいのか…
そんなお悩みだったんです。

で、一通りの情報を頂いた上で僕がお返しした内容が下記の通りです。

ちなみに今回の記事には飼い主さんのご厚意により本文を引用しています。
プライバシー保護の観点から犬名を◯◯としていますので予めご了承ください。

内容拝読させて頂きました。
ちょっと長くなるかと思うので心してお読み下さい(笑)

今回のご相談、本題は「向き合い方」かと思っています。

まずはじめに、新しく仔犬を迎えるという判断に関しては、これまで愛犬文化村やお教室でも色々と学ばれていますので、リスクも含め十分な知識を得られていると思います。
その点に関しては心配いりませんし、僕も応援したいと思っています。

仔犬というのは、基本柔軟性がありますので、新しい環境でもやっていけます。
先住犬に関しても、多くは時間が解決してくれるものです。

ただし、今回僕が気になったのは、
「9ヶ月もここにいて、心が痛みます」
というママの捉え方です。

ここからはちょっとストレートな表現が多くなりますが、ここはオブラートに隠すべきではないと思うのでご容赦くださいませ。

まず、ママの視点がどこにあるかを考えましょう。

たぶん“〇〇の飼い主である”という視点からその仔犬を見ているはずです。
そうすると、〇〇やお家の環境とお店の環境を比較して”可愛そう”に見えているわけですね。

“このまま売れ残ってここにいるのは可愛そう”

という感情です。
もちろんこの心理は正しいのですが、もう少し話を聞いて下さい。

では、今度は仔犬側からママを見てみましょう。
何十人と現れる来客のひとりがママです。

そもそもその子はお店の環境以外を知りませんね。
〇〇のように家族に愛される環境を知っているのであれば、「アタチは不幸だ」なんて思うかもしれませんが…そもそも知りません。

その中で9ヶ月間、順応してきたわけです。
社会化期も過ぎ、今では自己主張や要求まで表現出来るようになりました。
順応の成果です。

そんな仔犬がはじめての人に連れられ、はじめての環境に置かれ、はじめての犬(しかも先住犬)のテリトリーに連れて行かれるわけですね。
家族はウエルカム!かもしれませんが、一番気になる先住犬までそうとは限りません。

よく分からない社会化期のおチビちゃんならまだしも、人間ならば高校生くらいが即座に順応できるでしょうか。

話はちょっと逸れますが「崖っぷち犬」を覚えていますか?
2006年に徳島県で崖から救出されて有名になったMIX犬(♀)のことです。

その子のその後を知ってますか?
もともと野良犬で暮らしていた子がたまたま崖に落ちて救助され、その後”保護犬”となりました。
その子の行く末を心配した人が引き取ったんですが、当の本人は数回に渡って逃げ出してるんです。

すなわち、社会化期を過ぎて順応した環境が、傍から見て好環境と言えなくても、本人には伝わらない場合があるということです。

話を戻しまして、そう考えると”良かれと思った感情が一概にそうとも言えない”場合もあるわけです。
無論、ともに暮らして行けば”結局は幸せな選択だったよね”となるわけですが、当の本人には理解ができません。

その上でです。

この溝を埋める手立てはひとつ、”ありったけの愛情を注いであげる”ことなのですが、今回ママにはそれができないんです。
なぜなら、愛情に格差を付けなければいけないからです。

すなわち、家族に一番可愛がられているのは先住犬の”〇〇”であり、新参者の仔犬は二の次であることを本人に、そして〇〇にも感じさせないといけないわけですね。

したがって、「9ヶ月もここにいて、心が痛みます」というマインドで迎え入れてしまうと、ついつい優先する感情が”昨日まで可愛そうな環境にいた仔犬”または”はじめての環境に慣れていない仔犬”になってしまいます。

逆に、9ヶ月ですからある程度は”自分”をもっていたりもします。
お家の中での問題行動や〇〇に対してのちょっかいもエスカレートするやもしれません。
その時に”嫌がっている〇〇”や””しつこくされている〇〇”を見て、その子に負の感情を抱いてしまうこともあるでしょう。
しかし、人間社会(家庭犬)のルールとマナーを学んでこなかった仔犬を迎え入れたのはママであり、仔犬が望んだこと(一人っ子ではなく多頭飼いのおウチに行く)ではないことを心しておかなければいけません。

話が長くなりましたが結論です。

仔犬を迎え入れる、新しい家族を迎えるという選択は喜ばしいことです。
飼うからには責任を伴いますが、それでも多頭飼いの魅力は僕もオススメしています。

ただし、それはあくまでご家族(人間)のためであって、犬のためではないということにしなければいけないんだと思います。

〇〇には少なからず苦労をさせてしまうと思います。
新しい子にも辛い思いをさせてしまうと思います。
(辛いと感じるのは人間ですが)
それもいつかは幸せな時間を過ごすための踏ん張り時だと言い聞かせ、ふたりに向き合うことが大切だと思います。

極端に言えば、保健所のような切羽詰まった環境ではないので、人間本位の感情移入は禁物です。
その子には、それでもまだいくつかの進路はあるはずです。
しかし、〇〇にはご家族しかいませんので、あくまで冷静に多頭飼育を検討されるのが良いかと思います。

応援しています。
素敵な出会いになりますように。

今回は「犬のことなんでもリモート相談室」を使ったご相談依頼でした。
販売した本人すら忘れていたサービスでしたし、テレビ電話は恥ずかしいのでとLINEトークを使ったご相談だったため、特にお代はいりませんとお伝えしたのですが、無料だと気が引けてしまうとのことでご利用いただきました。
#同じ理由で購入される方がほとんどなので驚いています

ちなみにその後、お客様から届いたメッセージ(一部抜粋)がこちらです。

“自分の踏ん切りのつかなさとモヤモヤとが何から来ているのか、それをどう理解したらいいのかがすごく整理できました…”
“2匹の多頭飼いの覚悟が今あるかと言うと改めて自分と相談です。人のための多頭飼いということにする、は、目から鱗でした…“

今回、皆さんの役に立つならと了承をいただいたので、プライバシーをふせた状態で記事に使わせて頂きました。
ドッグリテラシーの高い皆さんではありますが、なにかしら今後の参考になれば幸いです。


・・・と、ここで終わる予定だったのですが、後日談が届いたんです。

後日談です。
ちょうど、今日ご連絡しようと思っていたところでした。

気になっていた9ヶ月の子犬は今日売れていきました。

相談のお返事をもらって、今は多頭飼いできる覚悟はないなと区切りをつけていました。
でも、9ヶ月の子犬がそのままお店にいる間は私的終結になれず、毎日店舗ホームページを見る日々でした。

昨日「ご家族が決まりました!」と記載があり、安心と、ほんとに?という気持ちで、今日仕事終わりに店に立ち寄りました。
そうしたら、ちょうどお迎え引き渡しがされていました。

素敵なおねえさんにしおらしく抱っこされて、その方は、「前の犬は15年にあと数日というところだったんです」といい出会いができたような話を店員さんとしていました。
きっと大切にされ楽しく過ごせるだろうなという様子でした。

今回ちょっと判断を誤るような可能性もありましたが、先生に相談したのは正しい判断だったとそこは褒めたいと思います。
今後は不用意に生体販売には近寄らないようにしようとも思いました。笑
ありがとうございました。

これに懲りずに、今後ともよろしくお願い致します!

この結果に僕も胸を撫で下ろしています。
良いご縁があって本当良かったと思います。

かけがえのない伴侶となる犬だからこそ、長い犬生を見据えて冷静な判断をする。
その役割がペットショップだったりするわけですが、上手く機能しないこともあります。

このnoteをお読みになっている中にも、新しい家族を迎え入れる選択に悩まれている方がいるかもしれません。
この記事が少しでも判断の材料になれば幸いです。
素敵な出会いがありますように。

オンラインセミナー

犬と暮らす上で必要となる知識が得られず自己流のまま過ごされてきた方が多いことから講演会を定期的に行っています。今回は会場に足を運べない方をはじめ、もっと手軽に必要な知識が得られるようオンラインセミナーという形でお伝えしていこうと考えました。シリーズ化にしてお届けしますので、家族会議などにお役立てください。

犬のことなんでもリモート相談室

愛犬を迎え入れる前と後・・・飼い主さんにとっては日々何かしらの悩みはつきものです。愛犬の選び方、しつけ、お手入れ、食育、病気、交配、ペットロス、進路・・・One for Dogでは、長年トリミングスクールの講師を務めた犬のプロに、日頃疑問に感じていることを気軽に相談できる機会をご用意しました。

講演会のお知らせ

春日部市在住・在勤・在学者の方が対象の講演会で講師をさせて頂きます。
尚、お申込みは直接公民館までお願いします。

【かすかべカフェ】愛犬と子どものためにパパとママができること
日時:令和4年8月5日(金)13時30分〜15時30分
場所:春日部市中央公民館2階 大会議室
費用:無料
備考:愛犬同伴不可

お問い合わせは中央公民館(048-752-3080)まで

いつもの散歩にエンタメを! 「Ichigei(イチゲイ)」

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無料オンラインサロン「愛犬文化村」

愛犬文化村では無理なメンバー間の交流などは必要とせず、基本的に毎日齋藤が更新する記事を読めるというありがた迷惑なサロンです。あくまで One for Dog に何らかのご縁がある方が対象なので、告知をしておいて誰でもご参加いただけないというツンデレサロンですが、One for Dog の活動を応援していただけるという方は是非一度覗いてみてください!

【今週のサロン記事】
・2022年6月5日(日)note/stand.fm 更新
・2022年6月6日(月)スパイファミリー
・2022年6月7日(火)マイクロチップの義務化について
・2022年6月8日(水)同業者の皆さまへ
・2022年6月9日(木)割引サービス
・2022年6月10日(金)愛犬文化村募金(仮)
・2022年6月11日(土)犬種区分:秋田
※サロン記事の内容をOne for Dog Radioでちょっとだけ触れています

ワクチン未接種の子犬だけを対象としたサロンデビュー参観を行っています

実際にトリマーが行なうグルーミングを間近で見学しながら、お手入れのことやサロンの選び方などトリミングに関する基礎知識を学ぶことができます。毎回一組限定の完全貸切制なので、はじめて愛犬を迎え入れるという新米飼い主さんにオススメです。トリミングサロンがはじめてという愛犬をご家族みんなで知識を得ながら見守ってあげませんか?

ネットショップ「One for Dog BASE店」もオススメです

お手入れ教室に通いたいけど時間がないという方や、そもそも通える距離にないという飼い主さんに向けた「愛犬のお手入れをオンラインで学べる講習会」や、仔犬のうちからきちんと犬のことを理解してあげたいという飼い主さんに向けた「愛犬のしつけがオンラインで学べる講習会」、「プードルのことだけ学ぶ講習会」といったアーカイブ動画を販売しています。加えて、愛犬のお手入れを本格的にはじめようという飼い主さんに必要な道具一式をプロが見繕い、使い方動画をセットにした「はじめてのお手入れパック」やオススメコンテンツをセットにした「新米飼い主さん応援パック」の販売もはじめました。最近では、プロトリマーが実際のモデル犬でお手入れのやり方を実演する「お手本動画」など多数商品を取り揃えています。ご興味のある方は一度覗いてみてください。

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ということで、今回はこの辺で。
それでは皆さま素敵なドッグライフをお過ごしください。

One for Dog 齋藤でした!

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