「いいものを作れば売れる」の隠された真実 〜あの炎上事件から学ぶ「ブランドが壊れる時」(その3)〜
こんにちは。
8millionsの阿部です。
とある老舗和菓子屋社長の炎上事案から学ぶブランディングのコツ。
お伝えしてきました。
今回は第二回の最後に書いたことについて考えてみようと思います。
今回も経営者やマネージャーの方向けに書いていますが、特に「ものづくり」に携わっている方は、今回の話は読んで損はないと思います。
よろしければ、お付き合いくださいませ。
W氏の事件に関するコメントを見ていたら…
W氏の事件に関して、こんな内容のコメントをしている方がいました。
「今回の事件は残念だったけど、商品は良いものなんだからこれからも頑張ってほしい」
あなたはこれを見て、どう感じるでしょうか。
僕はこのコメントに対して第一回の記事と同様の感覚を覚えました。
つまり
「人間としての観点からは賛成だが、ブランディングの観点からは賛成できない」
ということです。
このコメントをしていたのは一般の方のようでしたが、万が一、経営者やマネージャーの人がこれと同じことを考えていたら、第二・第三のW氏を生み出しかねないような、ある意味危険な誤解とも言えるものだと個人的には感じています。
どこに誤解の元があるのか、これから説明しましょう。
問題の根っこにあるもの
このコメントに関して、僕が気になったのは以下の点です。
1.今回の事件は残念だった。
2.でも、商品はいいものだ
という2つの主張。
一体何が問題なのでしょうか?
別にこの2つの内容が問題なのではありません。
問題なのはこの2つ、つまり
「今回の事件」と「商品」を分けて考えていること
なのです。
「いいもの」ってなんだろう??
事件と商品を分けて、つまり「別物として」考えている。
もちろん人としては全く問題ありません。
しかし、経営者としては問題です。
その理由をお伝えするにあたって、あなたに考えて頂きたいある「問い」があります。
それは
「いいもの」とは何か?
という問いです。
もしよければ、ここで一旦画面のスクロールを止めて頂き、自分なりに考えてみてください。
どんな答えが出たとしても「自分なりに考える」という経験はあなたを確実に成長させてくれますから。
二つの考えの違い
さて、どうでしょう?
自分なりに考えてみましたか?
では、僕の考えをお伝えします。
事件と商品を分けて、つまり「別物として」考えている人は
「いいもの=商品やサービスそのもの”だけ”が持つ価値」
と捉えがちです。
例えば、
・安全な材料を使っているかどうか
・有名かどうか
・価格がお手頃かどうか
といったような要素です。
これに対して僕は
「いいもの=商品やサービスそのものが持つ価値×商品やサービスの背景にあるもの全て」
と捉えています。
そしてこの考え方をする時に必ず見るべき要素が
・誰がその商品に関わっているか。
というものです。
前者の考えを持つ人は、今回のW氏の事件について
「今回の事件は残念だったけど、商品は良いものなんだからこれからも頑張ってほしい」
と二つの要素を分けて考えるでしょう。
しかし後者の考えを持つ人は
「今回の事件で、商品の価値が下がってしまった」
と二つの要素を一緒にして考えます。
この両者の違いの具体的な内容、そして違いの根本に関しては次回またお伝えします。
このまま続けると長くなりすぎて誰も読んでくれなくなりそうなのでw
しつこい男は嫌われる…?
しつこくて申し訳ありませんが、前者の考えが間違っていると言いたい訳ではありません。
もしあなたのお客様が前者の考え方をする方なら、その方はあなたにとって素晴らしい方です。絶対に離すべきではないでしょう。
ただ、経営者やマネージャーの立場の人は、後者の考えができないとW氏のようになってしまいかねない。
「商品そのものの質が良ければそれでいい」
という発想は、言い換えれば
「商品以外はどうでもいい」
という発想と表裏一体なのです。
そうなってしまうといつの間にか、あなたの大切な人、スタッフやお客様の心を傷つけ、あなたの会社に傷をつけることになりかねません。
そ う な っ て か ら で は、 も う 遅 い ん で す よ。
何度でも言いますが、前者の考えが間違っているのではありません。
ただ、前者の考え方だけでは取り返しのつかないことに陥る可能性があります。
今回のW氏のように。
人間は弱い存在です。
時に過ちを犯してしまうこともあるかもしれない。
でも、取り返しのつかないことになるその前に、その過ちを修正できればいい。
そのためには後者の考え方も必要なのだということです。
そこを理解して頂けると、あなたのブランディングの成果は確実に変わってくるでしょう。
それではまた次回。
ここまでお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
8millions 阿部 龍太
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