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《記事》市場規模1兆円!中国の有料知識コンテンツ市場(“知识付费“)とは?

はじめに

 中国では、個人がお金を支払って実用的な知識を学ぶためのコンテンツを購入する、「有料知識コンテンツ("知识付费")」市場が拡大しています。市場規模は2021年に1兆円を超えると言われており、比較的裕福で学歴の高い消費者が購入者の中心です。コンテンツ事業者のみならず、メーカーやサービス事業者にとっても投資リスクを抑え、濃いユーザーを獲得するための有力なプロモーション手段として注目を浴びています。

1. 有料知識コンテンツ市場とは

 有料知識コンテンツ市場とは、実用的な知識コンテンツを、 動画や音声、文章、ライブストリーミングといった形式でユーザーに販売する市場を指します。基本的に、ユーザーは有料コンテンツを販売するプラットフォームのアプリをスマートフォンにダウンロードし、そこから好きな有料コンテンツ購入します。販売形態の例としては、10分程度の音声や動画コンテンツ30本を1コースとして提供し、1コースを2,000円から3,000円程度で販売することが多いです。以下は、Onedotが自社で運営している育児メディア「Babily」の有料知識コンテンツの販売画面です。子供の食育に関するこのコースは、21本のコンテンツから構成されており、およそ1,000円で販売しています。
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 iiMedia Researchが2020年2月に出した報告によれば、2019年における中国の有料知識コンテンツの市場規模は既に4,200億円(278億元)に達し、2020年にはおよそ6,000億円(392億元)、2021年には1兆円(675億元)に達することが予想されていることから、中国のオンライン市場の中でも、有望な市場の一つです。画像2

 また、新型コロナウイルスの流行は、有料知識コンテンツの市場成長を加速させています。人々が家の中で過ごす時間が増えたため、有料知識コンテンツの購入が増え、iiMedia Researchの報告によると、期間中に有料知識コンテンツを買ったユーザーは、6割を超えるといいます。特に多く消費されたコンテンツジャンルとしては、ビジネス関連であり、有料知識コンテンツを買ったユーザーの45.7%が購入しました。ウイルスが蔓延している期間中に、時間を有効に使って、スキルを向上させたいと考えたユーザーが多かったという見方があります。ちなみに、有料知識コンテンツを配信する各プラットフォームは、学校に行くことが出来ない学生をターゲットとしたライブストリーミング授業やコンテンツの無料配信をしており、有料知識コンテンツのいわゆるZ世代への浸透も進んでいくと考えられます。

2. 購入者層とコンテンツジャンル

 iiMedia Researchによると、2019年に有料知識コンテンツのユーザー規模は3.6億人に到達しました。その中でも主要な購入者層は、一二線都市に住む比較的に収入が高い1980年代、1990年代生まれです。彼らは競争が激しい職場を生き抜くため、隙間時間を利用してスキルを向上させる目的で、有料知識コンテンツを購入している、という理由が指摘されています。したがって、知識コンテンツとして人気なジャンルは職場で活かせるスキルに関するものが多い傾向にあります。ブログ

 具体的には、医療・健康や歴史、語学、学術、金融、料理、農業、子育てなどのコンテンツがよく購入されています。また、各ジャンルに特化したバーティカル(領域特化)のプラットフォームも存在します。
 最近では、世間の関心の高さを反映し、新型コロナウイルスをテーマとした有料コンテンツも数多く見られます。また、今まではオフラインが中心だった学習塾や語学教室、ジムなどが、新型コロナウイルスを契機に、オンラインにコンテンツプロバイダーとして参入するケースも見られます。

3.販売プラットフォーム

 ジャンルを超えた有料コンテンツを提供する総合型プラットフォーマーとしては、中国最大音声プラットフォームの喜馬拉雅や、中国版Quoraとも呼ばれる知識共有プラットフォームの知乎、ライブストリーミング形式で専門家の講義を聞くことが出来る千聊などが上げられます。特に最大手の喜馬拉雅は、2019年10月時点において、6億人以上のユーザーと700万人以上の配信者を抱え、アクティブユーザー一人当たりの平均視聴時間が一日170分を超えることから、非常に大きなプラットフォームであることが分かります。
 一方、近年の傾向として、プラットフォームの専門化、細分化が見られます。総合型プラットフォームでは特定の分野を深く学ぶことが出来ないというユーザーの不満を背景に、これらのバーティカル型プラットフォームは支持を得ていると言われています。例として、料理に関する有料コンテンツを販売している下厨房や、医療健康に関する有料コンテンツを販売している丁香医生を挙げることができます。下厨房は、もともとレシピ共有サイトであり、プラットフォーム内広告とECが主な事業でしたが、濃いユーザーの保持と新しい成長ドライバーとして有料コンテンツ販売を始めたと考えられています。
 また、総合型バーティカル型を問わず、これらのプレイヤーは基本的にはコンテンツ自体は作らず、サードパーティのコンテンツをプラットフォーム上で販売しています。

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4. 企業が取り組む意義とは

 この巨大な有料知識コンテンツ市場ですが、コンテンツ事業や教育事業を提供する企業様はもちろん、特定分野に関する知識が蓄積されたメーカー様にとっても取り組む大きな意義があります。
 1点目は、お金を払う意思のある 「濃いユーザー」が獲得できることです。有料コンテンツを購入するユーザーは、ソーシャルメディアのフォロワー等に比べると、絶対数は落ちますが、確実にその販売したコンテンツに高い関心を持つユーザー層です。彼らを社群(WeChatベースの自社運営コミュニティ)といった形で囲い込むことにより、企業へのロイヤリティーを高め、物販などのクロスセルやさらなる有料コンテンツ販売を通して、LTV向上につなげることが可能になります。
 2点目は、有料コンテンツ自体が投資リスクの低いプロモーションとなることです。提供した有料コンテンツに関する満足度が高ければ、その購入者は企業のファンになります。購入者からお金を受け取りながらファンを獲得することで、広告宣伝費としては負担の少ないプロモーションに出来る可能性があります。
 3点目は、有料コンテンツ自体が、継続的に収益を上げる単一事業にもなり得ることです。その場合は、継続的な魅力のあるコンテンツ制作や、有力な販売プラットフォームとの効果的な提携、また並行して販売プラットフォームに依存しすぎないための自社チャネルの構築などについて検討していく必要があります。

5. Onedotの支援事例

 Onedotでは、自社の育児メディア「Babily」にて有料知識コンテンツを制作・販売し、事業を継続的に拡大しています。その事業知見を活用し、企業様と有料知識コンテンツ事業立ち上げや運営支援も行っています。
 製菓や料理関連の商材を扱うA社様の事例を紹介します。A社として中国展開に取り組むことを決めた際、その第一弾として、彼らが持つプロのパティシエによる料理レッスン動画を有料知識コンテンツとして販売開始することを決めました。物販からではなく、コンテンツ事業から中国進出に着手するという点が、非常に先進的であったと言えます。
 この過程でOnedotは、A社様の中国事業戦略の構築から、実際の事業立ち上げ、コンテンツのローカライズ、販売プラットフォームとの交渉や運営などを包括的に支援させて頂きました。
 結果として、立ち上げから1年間で10万本近く販売することに成功。また、動画を購入した数万人のユーザーとの接点も活かし、今後も、さらなるコンテンツの販売や、物販・有料イベントなどにより収益拡大を目指しています。

本稿の執筆メンバー
 邵鴻成 アカウント・エグゼクティブ
 毛莉敏 コンテンツ&オペレーションディレクター
 鳥巣知得 CEO

中国市場における有料知識コンテンツの展開にご興味のある方は、以下より詳細をお問い合わせ下さい。

お問い合わせはこちら、もしくは以下のメールアドレスにご連絡ください
info@onedot-inc.com


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