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最初のターニングポイント/人気車椅子YouTuberさんとのコラボ動画作成

 起業をする、自身の商品・サービスを売るとなったときに最も大きな課題のひとつとして“広告をどうするか”ということが必ず議題に挙がると思います。ただ普通に大学へ行き、就職し、働いているだけの私はまだ何者でもありません。人は何者かになるために何かを成し遂げる必要があると考えます。どんな有名なスポーツ選手も、とてつもない偉業を成した偉人も、最初はただの子供で、私たちと同じようにその日の晩御飯に心踊らされ、出来かけのおかずに手をだしお母さんに怒られるなんて生活を送っていたかもしれません。

 さて、彼ら彼女らはいつから偉人、スターと言われ始めたのか。言うまでもなく、素晴らしいことを成し遂げたその瞬間もしくはその少し後のことでしょう。そういった方々が売る商品、紡ぐ言葉には必然と力が宿り、その強い発信力をもって“広告”などといった小さな問題は吹き飛ぶでしょう。

 つまり“広告”に必要な前提として自分が何者なのかという、いわば自分の信頼度が必要であると考えています。どんなに素晴らしく綺麗な広告媒体を作ってもそれが世の中の目に触れなければなんの意味ももたらしません。世の中から何かを得るには、同じだけ世の中に何かを還元し、信頼を得る必要があるのです。

 前置きが長くなってしまいましたが、ここからが本編となります。述べさせていただいた広告の方法については私たちも最初にどうしようかと考え、頭を抱えていました。そのなかで先ほどの広告に必要なことは実績と信頼であるということを学び、友人と二人とりあえず自分たちが何者なのかを発信しようという話になりました。ここで新たな問題。私たちが発信することには凄く意味はあるのですが、弱い……。


 そこで我々の取った戦略はすでに発信力の高い方の恩恵にあやかろうというものです。 

 まずは様々なSNSを眺め歩き、お願いしたい人を探しました。SNS発展に伴って障害をもちながら、そのハンディキャップについて世の中へ発信してくださっている方々が多数いました。そして私たちとしては生活の専門家としてさらには医療職としてそういった方々と協力して世の中に発信できるメッセージや知識があると感じました。
 調べていくうちに目についたのは今回コラボして動画を出してくださった”現代のもののけ姫”こと”Maco”さんです。

 Macoさんは車いすYoutuberとして車いす生活の苦労や工夫、どういったことに困って、どのように解決しているか、また、車いすユーザーにとって利用しやすい場所やサービスの紹介などをYoutubeで行っています。この内容は車いすユーザーにとってはもちろん、車いすユーザーでない方々が車いすユーザーへどのように接したら良いのか等幅広いユーザーにみられています。

 私たちはまずMacoさんにコンタクトを取ることにしました。メールの文章を校正し、自分たちが考えているビジョン、Macoさんと一緒にできることなどをできるだけ丁寧に伝わるように文章を考えました。

 結果、Macoさんからコラボを考えてくださるといういいお返事をいただくことが出来ました。内容等については次にZoomで話し合いが行われる予定となりました。
 ここでMacoさんからも質問が出ました。それが、「作業療法と理学療法の違い」についてです。これはPT、OTなら一度は投げかけられる質問ではないでしょうか。実際、働いているとそれぞれの職業アイデンティティにとってこの質問は非常に重大であり、常に向き合っていかないといけないと思っています。簡単に「理学療法は歩行を見る」「作業療法はADLを見る」などと片付けることはできないかなと思っています。

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 Zoomでのプレゼンに向けて準備をしました。今一度作業療法とは何か、理学療法との違いは何かと考えました。そこで一度出した結論として、どちらも対象となる人の健康と幸福の促進を目的としていますが、その導線が違うということをお伝えしました。
 理学療法は筋力や関節可動域などの身体機能の改善により健康と幸福を叶えるのに対して、作業療法は生活行為や趣味活動に没頭することで健康と幸福を叶えるのではないかとお伝えさせていただきました。

 プレゼンは稚拙なものでしたが、熱意をもってお話させていただきました。もしかしたらその熱意も汲んでいただいたのか、プレゼン後はコラボに向けて具体的なお話を進めてくださることになりました。

 

 その後、お話は進み、Macoさんからの希望として車いすのキャスター上げを教えてほしいとありました。

 キャスター上げに関しては昔はOTの大学での授業でもやっており、療法士ならほとんど皆できていたらしいのですが、私たちの世代ではそのような授業はやっておらず、初めて聞く言葉に正直困りました。
 一度、お話を持ち帰らせていただき考えましたが、やっぱりこのコラボのチャンスは逃したくないと思い、知り合いが務める脊髄損傷リハの有名な病院スタッフで協力してくださる方がいないかあたってみました。すると、快く引き受けてくださった方がいてキャスター上げについても教えていただけました。

 キャスター上げを習ったうえで、作業療法の視点のひとつとして作業分析をしなければならないと思いました。簡単な話、自分ができないことを他人に教えることはできないと思ったのです。
 川原は特訓しました……!学校の車いすを借りて1日まるまる練習し、何とか習得し、実際にキャスター上げをやったことがない友人に教えるところまでやりました!

 最終的に当日Macoさんが来て、動画撮影をしたのですが、これらの努力はほとんど役に立たず、Macoさんの車いす駆動が上手すぎて、私などいらなかったのでは?という動画ができました(笑)
 動画自体はMacoさんの撮影や編集技術もありすごく面白く、撮影現場もMacoさんの明るいキャラクターに押され、すごく楽しいものでした。この場をお借りして改めてお礼を申し上げたいです。貴重な経験をありがとうございました!!!!

 最後に蛇足の話になるかもしれませんが、上述ではこの撮影に関してした努力が無駄だったのでは?ということを書きましたが、ほんとは一ミリもそんなことは思っていません。すみません。
 なにより、コラボに至るまでの友人との作戦会議やプレゼン作成、また、Macoさんとの打ち合わせ、当日の撮影、撮影に協力してくれた別の友達と色々できたことが楽しかったし、一つの形を残す過程がこんなに楽しいものだと知ることが出来て本当に良かったです。

 こうやって楽しみながら行動を起こし、何かを世間に還元することで、なにものでもない私が何者かになれる日が来るよう頑張ります。

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(左)撮影協力友人https://instagram.com/koki_taya21?utm_medium=copy_link
(中)Macoさん




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