オリーブの島を味わい尽くしてみた〈小豆島の記録〉
「日本の地中海」とも呼ばれる瀬戸内海。その穏やかさと多島美が魅力的ですが、中でもひときわ「地中海感」を味わえる場所があります。それは、瀬戸内海に浮かぶ島のうち2番目に大きな島、小豆島です(ちなみに最大は淡路島)。
小豆島といえば、地中海沿岸が主な産地であるオリーブを栽培している島として有名。またギリシャのミロス島とは、姉妹都市ならぬ「姉妹島」提携を結んでおり、小豆島にはアテナ像が出迎えてくれる場所もあります。
そんな異国情緒の香りに誘われて、私も小豆島に踏み入れてみました。先に言っておきますが、小豆島の旅はとってもおすすめ。なぜならこの島は「オリーブの島」だけでなく、実に多様な味わい深さがあるからです。
そしておすすめできるもう一つの理由が、アクセスしやすい離島であるということ。島の玄関口・土庄港まで、岡山からはフェリーで片道70分、高松からはフェリーで片道60分と気軽に足を運べます。瀬戸内海は基本的に凪いでおり、船酔いが気になる方も安心です。
小豆島フェリーの時刻表・運賃はこちら↓
〈グルメ〉小豆島を食べ尽くそう!
①オリーブ
小豆島に来たら、やっぱり「オリーブを味わう」という体験は外せません。そこで訪れてほしいのが、道の駅小豆島オリーブ公園。メインの建物であるオリーブ記念館に足を踏み入れると、その一角にテイクアウト用のカウンターがあります。
ここで注文してほしいのが、オリーブソフトです。
このオリーブソフト、なんと小豆島のオリーブオイルがたっぷりかかっています。このオリーブオイルが驚くほどフルーティー。オリーブ特有の酸味がちょうどよく、甘味も爽やかです。
ご紹介したソフトクリーム「小豆島のオリーブオイルかけてみました。」は期間限定のようなので、もしあったらぜひ食べてみてください。私はとても感動しました。
もう一つ味わってほしいのが、オリーブ塩ラーメン。道の駅にあるレストラン「サン・オリーブ」で食べられます。
そのお洒落な見た目の通り、とても風味豊かで上品なラーメンです。麺にはオリーブオイルが練り込まれており、チャーシューの代わりには旨みたっぷりの地鶏・オリーブ鶏。極めつけは輪切りのレモンで、さっぱり感だけでなく瀬戸内感も堪能できます。
②小豆島ラーメン
小豆島にはオリーブ以外にも名産品があり、その一つが「醬」と呼ばれる醬油です。この醬を使ったラーメンは、小豆島随一の観光地・エンジェルロード近くにある「小豆島ラーメンhishio」で食べられます。
ここでは看板メニューとなっている醬そばを食べました。まず、スープがとってもまろやかで旨みもたっぷり。そこにもろみの酸味、炙り焼豚の香ばしさも加わり、箸が止まりません。
そしてシメには炙り海苔めし。白米をスープに入れ、香りを引き出した炙り海苔を乗せれば、全具材の旨みが染み込んだご飯の完成です。
ちなみにこのエンジェルロード店はテラス席があります。目の前が海なので、開放感は抜群です。
③小豆島そうめん
小豆島のもう一つの名産品が小豆島そうめん。「うどん県」こと香川県に属する小豆島ですが、麺は麺でもそうめんがこの島の特産です。
小豆島そうめんは、道の駅小豆島ふるさと村で食べることができます。
ここで食べられるのが生そうめん。つるつるなのはもちろんのこと、もちもち食感が最大の特徴です。これこそ生そうめんの魅力だと思うので、ぜひお試しを。
〈自然〉小豆島を歩き尽くそう!
①エンジェルロード
瀬戸内海に囲まれた小豆島は、どこを取っても風光明媚な場所。その中でも、特にエンジェルロードは有名な観光スポットではないでしょうか。
エンジェルロードは干潮の前後3時間だけ現れる砂の道。こうした砂の道はトンボロ(陸繋砂州)とも呼ばれ、エンジェルロードが陸上にある間は離れ小島に歩いて渡ることができます。
干潮の時間を外して行くと、観光客は減って静かになり、確かにトンボロも消えています。潮の満ち引きを実感できるスポットなので、2回訪れてみるのもおもしろいと思います。
エンジェルロード潮見表はこちら↓
②寒霞渓
小豆島の見所は海だけではありません。実は島の東部は山がちで、急峻な地形が広がっています。その中でも観光スポットとされるのが寒霞渓です。
寒霞渓にはロープウェイがあるので、まずは麓の紅雲亭駅へ向かいましょう。ロープウェイの道中は、小島とは思えないほど起伏に富んだ岩肌が見られます。
そして山頂駅に到着したあと、展望所から見渡せばこんな風景が一望できます。
手前に見える険しい岩山と、奥に見える穏やかな瀬戸内海のコントラストが絵になる絶景です。海沿いに集落が広がる生活感も、絵に彩りを与えてくれます。
体力にある程度自信のある方は、片道1時間のハイキングコースを歩くのもおすすめ。巨岩「画帖石」など、道中に様々な見所があるので飽きません。行きはハイキング、帰りはロープウェイという合わせ技なら、それぞれ異なる風景を楽しめると思います。
寒霞渓の映像はこちら↓
③土渕海峡
実は小豆島には、ある「世界一」が存在します。それは「迷路のまち」の程近くにある土渕海峡です。
どんな世界一なのかは、海峡に架かる橋の上に行けばわかります。答えは「世界一狭い海峡」です。
その幅は海峡というより、もはや小川。しかしこの海峡が、小豆島の本島と前島を隔てているのだそうです。地理オタクには堪らないスポットですね。
〈建築〉小豆島を可愛がり尽くそう!
①アート
草間彌生の「赤かぼちゃ」で有名な直島など、瀬戸内海の島々には現代アートの公開展示が数多く存在しています。もちろん小豆島も例外ではなく、寒霞渓の山頂付近や「醬の郷」といった観光スポットにも、芸術作品が紛れ込んでいます。
特に「オリーブのリーゼント」はとっても可愛らしいので、ぜひ鑑賞してみてください。
また、冒頭で紹介したアテナ像をはじめ、道の駅小豆島オリーブ公園にはギリシャ風の建造物がたくさん。さらに、巨大な本のオブジェやオリーブ色のポストなど、この道の駅には写真撮影が楽しくなるスポットが詰まっています。
②迷路のまち
小豆島には「迷路のまち」と呼ばれる地域が存在します。車で来ている方は、「ザグザグ 土庄店」の向かいにある観光専用駐車場に停めると散策しやすいと思います。
その地域に踏み入れると、「迷路のまち」という名前の通り、細い路地が複雑に入り組んでいます。迷い込んだ先にはコミカルな妖怪が壁に描かれていたり、迷路そのもののオブジェが置かれていたり…長崎や尾道といった「路地のまち」が好きな方にはおすすめの場所です。
ちなみに、かつてこの土庄という町は南北朝時代に合戦場になったそうです。南朝側が敵を攪乱するため街を入り組んだ構造にしたことで、迷路のまちが誕生し、今もその地割が残っています。この町には西光寺の三重塔が聳え立ち、紡がれた歴史も味わえます。
③醬の郷
小豆島東部に位置する「醬の郷」は、約400年前から醬油を作り続けてきた場所。オリーブの栽培が始まったのがおよそ100年前なので、それよりも遥かに長い歴史があります。
醬の郷には今も数多くの醬油醸造所があり、黒い瓦屋根に黒い板壁の外観は、町に根づいた独特の雰囲気を醸し出しています。散策の際、車で来ている方は馬木散策路駐車場に停めるとよいと思います。
「マルキン醤油記念館」の物産館など、お土産を買ったり「しょうゆソフト」を味わったりできる場所もあるので、こちらもどうぞ。
まとめ・アクセスマップ
ここまで小豆島の多面的な魅力を語ってきましたが、実はまだまだ伝えきれていないこともあります。
例えば小豆島は様々な作品の舞台になった島。映画「二十四の瞳」のロケ地は「二十四の瞳映画村」として残されているほか、道の駅小豆島オリーブ公園は実写版「魔女の宅急便」のロケ地に、アニメ作品では小豆島が「からかい上手の高木さん」の舞台になっています。
さらに島の北側にある「道の駅大坂城残石記念公園」には、大坂城修築のために切り出された石が残されていたり…きりがないのでこの辺にしておきましょう。とにかく私が言いたいのはただ一つ。
小豆島は「オリーブの島」だけではないのです。
本記事で取り上げた場所のマップはこちら↓
①土庄港
②道の駅小豆島オリーブ公園
・道の駅小豆島オリーブ公園 公式サイト
③小豆島ラーメンhishio エンジェルロード店
④道の駅小豆島ふるさと村
⑤エンジェルロード
⑥寒霞渓
・寒霞渓ロープウェイ 紅雲亭駅
⑦-1 土渕海峡
⑦-2 迷路のまち
・迷路のまち観光駐車場
⑧醬の郷
・マルキン醤油記念館
・オリーブのリーゼント
・馬木散策路駐車場
⑨二十四の瞳映画村
⑩道の駅大坂城残石記念公園
※写真は全て筆者撮影