【Audible本の紹介9】参謀の思考法 トップに信頼されるプロフェッショナルの条件(荒川詔四)
今回紹介する本は、2020年に出版(配信)された、企業トップの参謀(秘書課長など)をつとめた方が自ら書かれたビジネス本です。
どんな本?
ブリヂストンの社長を務めた著者が企業における参謀のあるべき姿を描いた本。自らの秘書課長時代などをベースに書かれているので、臨場感があり、説得力があります。
(ストーリー)
新入社員の頃から鋭い観察力と洞察力を発揮し、上司に対しても事実を曲げずにストレートにものを言ってきた。
この点を評価されて40代で社長直属の秘書課長に抜擢され、参謀として全力で社長を支えた。
著者は、のちには同社の社長になっていますが、本書では、参謀(直属の部下)時代の仕事について、どんなことをしてきたか?どんなことに気をつけていたか?、がわかりやすく書かれています。
実は、このような内容の本は、意外に類似のものが少ないかもしれない、と思います。
主な章立てを記し、個人的に印象を受けた個所をピックアップします。
上司は「機関」と考える
上司を「人」ではなく、「機関」と考える。その機関が機能としてより良く動くことができるよう、リーダーの「先」を行き、考える。従順であることは「美徳」ではない。
(感想)
全体として、上司・部下関係は「情」に基づくより、ドライにあるべき、と言っているのが印象的でした。
すべては「合目的的」に考える
上司とは異なる「自律性」を堅持する。意思決定が「合目的」かどうかを自分なりの基準で判断した上で、上司に進言する。
「トラブル」は順調に起きるので、その処理にあたって、上司を守ろうとして貶める「愚者」になるな。
(感想)
トラブル対応を含め、上司から意見を求められる際、あるいは、自分から進言する際の考え方として、「客観的な判断力」や「冷静さ」が大事と感じました。
「原理原則」を思考の軸とする
トップと「ビジョン」を共有する。参謀は一人で仕事はできないので、仲間と力を合わせる「楽しさ」を知る。その際、 参謀は常に「自分の言葉」で語る。個々の判断にあたっては、 「原理原則」を思考の軸とする。
(感想)
これらは意思決定された事項を実行に移す際の考え方についての記述です。トップの言うことを「そのまま伝えるだけ」ではダメで、自分で考えて伝えること、また、自分で判断するときは「原理原則」に立ち戻り考える、との言葉が印象に残りました。
本書は、ビジネスマンが自ら書いた本です。「企業人としての心構え」について知るために読む(聴く)ならば、コンサルの方が書いたマニュアル的な本よりも、印象的な記述が多く、たくさん心に残るものがあったな、という読後感を持ちました。
最後に、自分のまとめ方のせいか、著者は「原理原則」を重視する冷たい感じの人かと思われたかもしれませんが、全体に熱いトーンで語っています。その点、補足します。
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