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輪読をアップデートすると「企業内司書」が欲しくなる

こんにちは!
「ややこしい産業をとっつき易くする」株式会社anveil 代表の音田です。

このnoteでは、ぼくの日常のささいな気付きから、
これは社外の人でも試してもらう価値はありそうだな
ということを気軽にアウトプットし、皆さんにシェアできたらと思います。



自己紹介がてら、はじめにanveilの事業のことを簡単にご紹介します。
anveilでは、現在2種類の事業を運営しています。

  • スマホから、誰でも簡単に看板が作れるブランド「PIECE OF SIGN」

  • 漢方を現代的にわかりやすくリ・デザインした漢方入門薬店「LAOSI」

前者は、誰でも簡単に看板が作れる = “集客に貢献する看板の民主化”というミッション。

後者は、1包から気軽に購入できる = “漢方入門薬店”というテーマで運営されています。

どちらもはじめての購入者にとって、手間や労力を使わずスムーズに商品を手に入れることができる仕組みを大切にしています。

ぼくはこの会社で3社目の創業となりますが、「ややこしい産業をとっつき易くする」という方針は一貫しています。

2社目に創業した家具のD2Cブランド「kanademono」は、家具のサイズオーダーを誰でも簡単に注文できる “家具の民主化” を実現したブランドでした。

創業期は自分で200台くらいテーブルを作りました。

かつてテーブルやデスクのサイズオーダーは、家具会社に直接オーダーするしかなく、
“長い納期と高い金銭コスト”のほか、”高いコミュニケーションコスト”が必要でした。
kanademonoは、従来の家具のサイズオーダーのややこしいプロセスを消し去り、多くの皆さんに愛されるブランドになりました。

現在anveilが運営する2種類の事業でも、「ややこしい産業をとっつき易くする」というぼくの興味関心は引き継がれています。

anveilに関する創業にまつわるアレコレは、以下にまとまっています。こちらはもしご興味があれば。

anveil 創業から現在までの軌跡とその未来 代表 音田康一郎インタビュー


今回のnote記事が生まれた背景

anveilが3社目の創業ということもあり、事業以外で最も重要視しているのが
HR領域」です。

組織づくりや人材開発などのHRの核となる業務だけでなく、

  • タスク管理やプロジェクト管理

  • knowledgeベース管理

  • web記事や書籍からの情報インプット

上記も幅広く「HR付随業務」として捉え、丁寧にベストプラクティス化を進めていきたいと考えています。

なぜなら、若いベンチャー企業は、先輩から引き継がれる“既存のメソッドやルール”が存在せず、“個々人が独自のやり方”で進めていることが多いからです。
いうなれば、共通言語を持たないまま仕事をしている感覚です。

しかしそのままでは、効率の悪いやり方をしていることに気付き辛く、
そのうえ管理フォーマットが違うことで、他の人の業務をすみやかに理解できない状態が発生してしまいます。

今回のnote記事は、そのような問題意識から生まれた
「対話輪読 = outputと定着を狙った書籍読み合わせ」についてです。


いざ、輪読。まずは、HRチーム内でお試し実施

HR領域は、一度制度を実行すると、後戻りがし辛い領域だと考えています。

よって、ベンチャー企業によくある「試してみて合わなければやめればいい」というリーンスタートアップな的な手法を、少し安全側に倒す必要があると感じていました。

そこで、チームでHR分野を体系的に学習してから制度の充実を図るために、
最初は個別で関連書籍を読み、良著があれば他メンバーに紹介していました。

その後、チーム内で共通して読んでいる本が増えていくにつれ、図らずも
緑の本の、あの箇所
といったハイコンテクストなコミュニケーションが成立するようになり、意思疎通の早さや精度が上がっていると実感する場面が増えました。

ちなみに緑本はこちら。「トランジションモデル」という分類で、
社員の成長段階と基準を明快に示してくれている良書です。

「具体的な書籍を共通のデータベースとしてコミュニケーションが取れるということは、こんなに楽なことなんだ。」

それは、ぼくにとって驚きであり、新鮮な発見でした。


「自己完結読書」は、漫然と行うとコスパが悪い

「読んでフムフムで終わり。覚えていない。本のエッセンスを日常で使えていない。」
こんなこと、よくありませんか?その理由を、軽くまとめてみました。

1.短期記憶が長期記憶化し、定着していない

定着のためには、「エピソード記憶」や「意味記憶」として長期記憶化する必要がある。そのためには以下のアクションが必要

  • 本の内容を、自身の過去の体験と紐づけて考える行為

  • アウトプットをする機会

💡 個人的には、「知識欲を満たすための読書」で、日常のアクションが変わることはあまり多くないと思っています。

2.コンテクストを共有していない相手に伝わりづらい

既に体系化されている分野に関して、その分野の「前提知識=基本」がベースに無いと、相手と「応用」を話すことは難しい

💡 「伝達するコスト」と「伝えて得るベネフィット」は相対的なもの。 後者が前者を上回らないと、コミュニケーションは活発化しないと思います。


anveil流「対話輪読」のやり方とは?

輪読にはさまざまな手法がありますが、anveil流「対話輪読」は、以下のようなバランスをとっています。

「各章ずつ担当を設けて発表する」やり方よりも、内省的かつアウトプット志向
「1章ずつ全員で読み進めていく」やり方よりも、時間コスパ重視

主な流れは、以下のような感じです。

【事前プロセス】

  • チーム内で同一書籍を人数分購入し、読み合わせ日を設定

  • 各自で書籍を読み、気になったページ・気になった箇所・背景や理由をメモしていく

  • 読み合わせ日までに、Googleスプレッドシートに各自で気になったページを記入し、読み合わせ対象ページを特定

【読み合わせ当日】

  • それぞれ気になったページ・箇所について、“なぜ気になったのか”を自由に発言していき認識を共有していく

    • 満遍なく発言が行われるように、自然なファシリテーションが必要

    • 約60分で、100 - 150ページ程度進行することができる

  • 並行して「読み合わせ議事録」を作成していく

    • その書籍に関して、書き留めておきたい重要な知識

    • タスク化したいこと


「対話輪読」のよかったこと

  • 従来より「ただの情報」から「使える知識・知見」になっている感覚が強く、似た場面に遭遇した際、メタ的に気付くことができ、ツールとして使えるようになった

    • 長期記憶にきちんと意味付けされて格納された

    • アウトプットの機会を意識しながら読むので、自らの体験を振り返りながら読む傾向が強まった

💡 自らの読書体験を振り返ると、「自己完結読書」では、そこまでの負荷をかけながら読めていなかったと思います。

  • チームメンバーと課題についてディスカッションする際の「共通言語」ができ、意思疎通が2-3倍早く and 楽になった

💡 書籍をベースにした「緑の本の、あの箇所」というハイコンテクストな会話が成立するようになり、その効果は読み合わせしてないメンバーがやや疎外感を覚えるほど。

  • 読了期限が定まることで、読書をするモチベーションが上がった。結果的に読書をする習慣が喚起された

💡 好きだったけれど時間的コストが高く、及び腰になっていた読書が、少しの仕組み化で再び日常に組み込まれたことが嬉しかったです


「対話輪読」で微妙だったこと

時間コスパを考えると、特にデメリットは無かったかなと思うくらい、僕たちチームにとっての共通認識を得るのに、有益な手法であったと言えます。

  • 100 - 150ページを数人で読み合わせ = 60分程度かかるので、1冊につき2回読み合わせしないといけないことも。 そうであっても、ベネフィットに対するタイムパフォーマンスは素晴らしいという認識

💡 決して手軽ではないですが、投資効果は非常に高いので、時間を惜しむ気持ちはまったくないです。


輪読をアップデートすると、「企業内司書」が欲しくなる

  • 背景

    • 異分野、専門分野問わず、新規で発表される書籍のフォローや既存の名著の網羅的な把握は、日々の仕事を進めながらだと難しい

  • なぜか?

    • フォローするための時間の確保が難しい

    • 実際に読んだ上で、自社の課題感にフィットする本かどうかを見極める必要があるが、そのためのリソースを割きづらい

  • 「企業内司書」という提案

    • 司書が深堀のプロとして最適な書籍を事前に「下調べ」をしてくれるとラク

      • 例:「ダイレクトマーケティングに関して4-5冊読みましたが、コレが一番いいです。これ以外は特に読まなくていいです。」といったイメージ

いわば、社内の「選書のプロ」として書籍選定してくれる人が欲しくなる!

💡 「企業内司書」に求められる資質
1. いろいろな分野に関する純粋な知識欲や、記憶力
2. 読んだ書籍の質を判断する目利き力
3. 相手が抱えている課題の理解力と、特定書籍との紐付け力
この三点を備えたプロフェッショナルがいれば、個人やチームの生産性は、爆上がり間違いないです。たまに社内で上記要素を備えている人がいることもあるでしょう。 そういった人はとても貴重です。


さて、ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
anveilではさらに「対話輪読」を深め、チーム内のコミュニケーションを活発にしていきたいです。

今後も、「これは社外の人にも価値がありそうだな。」と感じた日常のささいな気づきを皆さんにシェアできたらと思います。



anveilで一緒に成長しませんか?

anveilは、今も進化を続けています。
PIECE OF SIGNも、まだまだやらなくてはいけないことだらけです。
僕たちが実現したいことを叶えていくために、まだまだたくさんの人の力が必要です。

anveilでは、一緒に働く仲間を随時募集しています!
少しでも興味をお持ち頂いた方は、ぜひご連絡ください。


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