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英語を覚えたくてオーストラリア男子と友達になった日本女子

私は英語が苦手だった。
もう学生の頃から苦手で受験から卒業単位に至るまで英語は私を苦しめた。
晴れて学生生活からの卒業となって就職しても英語は私に蛇のごとく巻ついて締め付ける。

私が就職したアパレル会社。
東京のもろ観光地に配属になったその店舗は"インバウンド"というものに助けられ全国展開中の支店の中でもトップに入る売上を誇っていた。

そうインバウンド。

今はなき..ね。

ナチュラルに英語を話すスタッフが大半をしめる我が店舗。
なんなら中国からの留学生までおり中国語対応も出来るようになっていた。
..本部は本気である。
それなのに、なにゆえに英語を喋れない私をこの店に配属としたのか。

初めは"単語"と"身振り"で何とかしてた。
でもやはり英語でコミュニケーションが取れる子は強い。
私も英語を学びたい!
そう思い海外ドラマを見ることにした。

▲好き過ぎてエンドレスしたジェーン


結果、聞き取る事に関しては多少上達したと思う。
でもダメだ。
とっさに話すことがほぼ出来ないのだ。

..外国人のリア友を作ろうと決意した。

やたら外国人の友人が多い友達に私は英語を覚えたいという下心があるんだ!
君はどうやって外国人の友人を作っているんだい?と聞いてみた。

..すると国際交流パーティーというものがあるので一緒に行こうと。

彼曰く相手は日本に来ている海外の方なのである程度日本語が話せる人が多いからriranの英語教師になってくれる人に出会えるよ!と。

あと日本人女性は軽くみられる傾向があるからそういう感じの人には気を付けなさいと。

友人万歳である。

こうして数年前のある夜、六本木の貸し切りbarで行われた国際交流パーティーへ出向いた私。

薄暗いbar。
この英語ペラペラ男、高校からの友人。
モールス信号を読み取ったりやたら星座に詳しかったりラジオを自作したりと何とも興味深い特技を持っているバリバリの理系男子。
ゲストは同性同士かお一人様が多かったので男女でパーティーへ挑む私たちは珍しい組み合わせだったけれど隣の理系男子のおかげで沢山の人と仲良くなれた。

この理系男子は海外女子を惹き付ける。
180cmで海外女子よりも高い身長、塩顔の日本人らしい顔つき。
んで英語でコミュニケーションもとれる。
そら、モテるわ!
女の子が寄ってくるので男子も寄ってくる。
自然に輪が出来た。

理系男子のおかげで楽しくお話が出来て韓国女子とポルトガル女子。
アメリカ男子にイタリア男子、そしてオーストラリア男子と連絡先を交換した。

今も仲良しなのが韓国女子とオーストラリア男子だ。

韓国女子は理系男子と仲良くなりたかったようで恋の話で頻繁に連絡した。
オーストラリア男子は気さくでやらしい感じもせず、日本語も話せるうえに年齢も近かったので沢山ラインした。
私の英語が変だったら直して欲しいとお願いして英語と日本語の両方を送って日常会話をラインで教えてもらった。

そんなやり取りをしていたらピクニックへ行こうよ!!と誘われた。
おお、ご飯でもお茶でもランチでもなくピクニック。
ちょっと海外風?と思いつつ週末にピクニックへ行く事になった。

指定された待ち合わせ場所は渋谷ハチ公前。
待ち合わせの人々がごった返すお昼少し前。

時間ギリギリでハチ公前へ行くと...。
いた。一目瞭然である。
金色の髪の毛にピンクのシャツを第3ボタンくらいまで空けハチ公の前で立っているデカい彼。

待ち合わせ早々、「そんなにボタンが空いてたら恥ずかしいから1つボタンを閉めて」とお願いしてみた。
すると彼はハチ公前で大笑いしながら「日本の服は高いし小さいよ」みたいなこと言ったと思う。
...ボタンは閉めてくれなかった。

当時、渋谷初心者の私を彼は代々木公園までエスコートしてくれた。
歩いている時や公園について座って話している時も彼は陽気に話しかけてきてくれた。

彼はイタリア系のオーストラリア人。
海の近くで育ったから小麦色のナイスガイだっけど日本に来てこんなに白くなっちゃった!でもこんな白い俺もカッコイイでしょ!って笑ってた。

海外の人の自信に溢れるユーモアはとても好きだ。

他にも家族のことや日本に来てからのこと。
これからどうしていきたいか。などを話していた。
英語と日本語を交えながらゆっくり話してくれる。
普段の会話の3倍は時間が掛かったと思う。
でも楽しかった。
普段使わない言語でコミュニケーションを取れる事が。

ひとしきり公園で話してカフェへ移動する。
すると外国語で書かれたメニューを渡され私が焦るという現象も発生したりして今までと違うデートはとても楽しいものだった。

そんなお出掛けを何回か繰り返していたら

I have a crush on you

何回かの帰りに唐突に言われた。
???だった。

crash..壊す..??潰す..?
私はあなたを壊したい??潰したい..?

そんなの答えはNo, thank you.だ。

オージー風ジョークってやつか?と思い笑いながら言った。

NO.thank you!と。キッパリと潔く!

その後、彼とバイバイし、いつものお礼ラインを送っても返ってこなかった。

おかしいぞ?と思い理系男子に一連の流れを報告する。
するとそれは“告白”だったという事を教えてくれた。

告白ってloveとかlikeとかじゃないの?

調べたところ、告白だった。
それも凄く一般的でストレートな。

そうか、告白だったのか。
私のno.thank youは告白の答えになってしまっている。

彼はとても魅力的な人だけどグローバルで活躍したい彼と一生日本でいい私の未来が重なる可能性はとても低い。
そもそもカップルのスタートである“告白”の時点でこけてしまっている私に国際的な恋愛は難しそうである。
だから結局ごめんなさい。という事を言うのになんて声をかけていいかなんて分からなかった。

それきりになってしまい数カ月後、アメリカへ行く彼のお別れ会みたいなものに参加して勘違いしていたことを謝った。
彼はサラリと気にするな!といって背中を叩いてくれた。

最後はさわやかに。

今はお互いにSNSで細く付き合いがある程度だけど彼とのデートは楽しかった思い出として大事にしまってある。

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