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「故郷(ふるさと)」は歌えない

文部省唱歌「故郷」、高校の部活でも、その後の人生でも何度も歌った。Z世代を含めおそらく生粋の日本人なら誰もが耳にしたこともまた歌詞はうろ覚えでもメロディをハミングできるだろう、もはや国民歌と呼んでもよいような名曲。

しかしながら先日、この曲の、特に歌詞の持つ別の一面に気がついてしまった。

タイミングを逸して、機会に恵まれず、故郷を後にすることができなかった人たち。

一旦は故郷を離れ都会や海外で活躍したけれど、さまざまな事情から戻らざるを得なくなり、志半ば、あるいはさらなる出世や成功を捨てて戻ってきた人たち。

こういった人たち(私も含まれるだろう)にとって、故郷の歌詞は胸を貫いてくる。そしてそれは深い抒情と相まって心を締め付ける。

牧歌的なメロディが醸し出す美しさゆえの残酷性。

まさに

「故郷は遠きにありて思うもの」だったんだなと実感させられたのだった。

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