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美味い中華料理屋


松江城の城下町を観光して、勝手に仲間意識が芽生えた旅人と別れ、次は姫路に移動することにした。その前に、どこかでお昼ご飯を食べようと探した。いつも思うのだが、旅行先で美味しいご飯を探すのは難しい。ぼっち旅だから、何でもいいと言えばなんでもいいが、地元にあるようなチェーン店に入るのも気が引ける。

今は、Googleで検索すればすぐにその地域のランキングが出てくる。しかし、その中にチェーン店が上位に入っていることも多いし、その評価だけで決めるのもいいのかわからない。人気店・有名店は家族連れやカップルでいっぱいだし、そこに突っ込む勇気はない。お酒が好きではないので、こじんまりとした飲み屋に入るのも考える。島根旅行もこれまでと同じで、前日の夜はGWということもありほとんどのお店が混んでいた。結局、よくわからない居酒屋に入りあまり美味しくないお刺身を食べていた。

お店を探している時は、天気が怪しく雨が降り出してきた。折り畳み傘は持っていたけれど、ゲリラ豪雨のような降り方だったので雨宿りしていると、12時になった。近くで働いている人なのか何組かのグループがビルから出てきた。そのグループがたまたま雨宿りしていた場所の向かいのお店に入っていく、その次に中学生の親子もお店に吸い込まれた。それから、何組か入っていた。そのお店を見てみると中華料理屋とは思えない外観の中華料理屋だった。これは美味しいに違いないと思い入ってみると、中は外と同じようにおしゃれだった。それに値段もリーズナブルだった。油淋鶏定食を頼んだ。

旅行まで行って中華はちょっとと思う人もいるかもしれないけど、やっぱり地元の人が普段使いしているお店が一番だと思う。

昔、山小屋で働いていた時期があった。そこには、季節労働で稼いで海外に旅に出る人や山が好きで働いている人などさまざまな人がいた。その調理場には、大手ホテルで料理人として働いていた人や定年退職して山に来た夫婦の奥さん(Yさん)がいた。仕事が終わって、ご飯を食べていると元料理人(Mさん)に「どんなご飯が一番美味しいとおもう?」と聞かれた。私はそんなことを考えたこともなく、なんと答えればわからなかった。絞り出した答えは「いい食品を使って、時間をかけているもの」となんとも言えない答えを返した。答えはこう返ってきた。

「確かに、時間をかけていい食材を使って作る料理は美味しい。でもそれは非日常で特別感があるからいいんだ。もし、それを普段から食べるとたぶん美味しさはそんなに感じなくなる。俺が思う美味しい料理は、いつも食べても美味しく感じる料理だと思う。Yさんが作る料理は、特別じゃないしすごい時間をかけて要る訳でもないけれど、いつ食べても安心感がある。」

Mさんが言いたいことは、なんとなくだけれど理解できた気はした。

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