渡部薫/おとぼけ通信機

ピピー…ガガガッ…。 Xで短歌やコピー、音楽、お笑いの話をしています。 @onborn6

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第3回たにゆめ杯 サーベルタイガー賞『素晴らしき昼休み』

   素晴らしき昼休み               音忘信  足元を見る人の足元を見てどこの靴ですかと訊いている  その気になれば家じゅうの皿を割れるけどその気になったことなんてない  国道をゆくレッカー車 生きているだけではなにか足りないのです  コロッセオの響きなんだか可愛くて友が入っている留ッ置場  服を着ている犬がいて着ていない犬が裸ということになる  上司には文字のフォントを褒められて文字のフォントで食べる牛丼  電気屋で空を見上げるオオタニが映るテレビを見上げる

    • 名は体を表す

       「名は体を表す」という言葉があります。  人やモノの名前は、その本質を的確に表すことが多い、ということわざです。  たしかに、名前に「優」が付く人は優しい気がするし、苗字が「神崎」の人はみんなかっこいい。  気がします。  さて、今回は僕の中学校の頃の友だちの話です。  太(ふとし)という同級生がいました。  太は恰幅の良さそうな名前をしている割に体型は中肉中背。クラスで浮きも沈みもしない、ザ・中学生といった感じの中学生でした。  僕と太は部活が同じで、自転車通学と

      • 第65回短歌研究新人賞 予選通過作『月面日誌』

           月面日誌                 音忘信  膝蹴りでダンボール箱を潰すとき思い浮かべる人がいますか  国からの抽選結果を握りしめ男気じゃんけんみたいに笑う  裕福な家じゃないから月へ行く 防衛大学校のようにね  飲み会の約束の約束をする 未来のことはわからないから  運命は紙に扮して現れて僕をスペースシャトルに乗せる  たとえば面皰 跡にならないようそれは大切そうに切り離される  国境をほどく猥談 海外で敬語が流行る予感がしてる  ふわついた低重力の感覚は恋

      第3回たにゆめ杯 サーベルタイガー賞『素晴らしき昼休み』