第3回たにゆめ杯 サーベルタイガー賞『素晴らしき昼休み』

   素晴らしき昼休み
              音忘信

 足元を見る人の足元を見てどこの靴ですかと訊いている
 その気になれば家じゅうの皿を割れるけどその気になったことなんてない
 国道をゆくレッカー車 生きているだけではなにか足りないのです
 コロッセオの響きなんだか可愛くて友が入っている留ッ置場
 服を着ている犬がいて着ていない犬が裸ということになる
 上司には文字のフォントを褒められて文字のフォントで食べる牛丼
 電気屋で空を見上げるオオタニが映るテレビを見上げる俺だ
 令和生まれの鳩だろうこの街の空を超えられない恰幅の
 とんでもない見積書なんて作れない俺の素晴らしき昼休み
 風が吹くからたくましい風見鶏 ビルの林をゆっくり歩く

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