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せめて穏やかにボケていたら

父はとにかくイライラしていた。
何か行動をするのにも、時間をかけて考えないと動けなかったらしい。
本人ももどかしかったに違いない。
そしていつも「今日は何曜日だ?」「今日は何かあったっけ?」と何度も何度も私や母に聞いていた。
元々がしっかりしていて通院も一人で行けたし、薬の管理も全て自分でやっていた父だったが、すぐさま薬の管理は私がする羽目になった。
インスリンも打ちましたよ。お腹にね。
何単位だったかすぐ忘れちゃうもんで。
あれだけ几帳面で頭の良かった父が・・・。
目の前のことが大変すぎて、ショックなんて言ってる暇はなかった。

せめて穏やかにボケていたら本人も幸せだったろうに。
便通、排便。
起立性低血圧。
食事が取れない。
嘔吐。
脱水。

問題だらけ。
しかし一貫して「病院へは行きたくない」の一点ばり。

数回救急車を呼び病院へ行ったものの、病院では「来なくていい」と言われたり「すぐに入院しろ」と言われたり「誰も頼れない」そんな気持ちになった。

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