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多行形式句集『龠』


多行形式/多行俳句

 多行。それには多行形式、多行俳句、多行形式俳句などさまざまな呼び方があるけれどここでは単に多行と呼ぶ。多行とは二行以上で書かれた句だ。詩かもしれない。高柳重信や林桂や上田玄などの多行作者がいる。
 多行は、一行の文字数制限に達したからなど紙面や印刷上の都合により二行で書かれるのではなく、二行以上を志して書かれた句だ。季語は入っているかもしれないし入っていないかもしれない。拍数は約十七音だろうか。特に決められた改行法はない。切れは切れ字や意味の切れかもしれないけれど、ことばの速度がこころの速度を置いてけぼりにしても切れが生じる。そして、多行は俳句ではないかもしれない。

多行句

 多行は、書くにも読むにも平面における構成力と言語空間への把握力を駆使する。多行は、心の幾何学である。

多行形式句集『龠』

 『龠』は最近の多行句37句と初期句片19句を収録した多行形式句集だ。つくりからしてzineと呼んでもいいかもしれない。家庭用プリンターでA4の用紙に印字され、A5へ折られ、ホッチキスで綴じられ、背を空色の製本テープで補強されている。

『龠』の表紙

 句集名の龠はヤクと読む。「管楽器の一種。ふえ」「単位名。容量の単位」(『全訳 漢辞海』三省堂)を意味する。三孔の竹笛を表す字形の多行感や容量の単位名という何も示していない感が多行の句集にふさわしいと考え、句集名に採用した。

プスプス市秋の陣2023

 プスプスbyZINGは静岡県浜松市中区成子町56ハトビル101号室(一階奥)にあるリソグラフの印刷アトリエだ。新幹線も停まる浜松駅から15分くらい歩けば辿り着く。そこで2023年11月18日(土)・19日(日)にzine market、プスプス市秋の陣が開催され、多くのzineが販売される。そこへ多行形式句集『龠』を委託販売する。


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