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サピエンス全史から妄想あれこれ(2)

ご本家の人類学者の方はこの本がベストセラーになったことをどう思っているかな?

 「サピエンス全史」はある意味大衆向けの著作、どこからどこまでが著者のオリジナルの主張か?は問題ではない。出典の原文の紹介引用のような記述をしていない。ただし、参考文献の記載はありルールを外しているわけではない。研究論文ではないのだからこれで十分ではある。引用を文中に入れればこむつかしい表現になるところ、読み易さが重視されており、ベストセラーの秘訣かもしれない。

 山極先生の本を読むとご本家の人類学者たちも人類の進化の研究成果の現代的意義を数多く語ってきていたことが判った。ハラリ氏によってそれらに日が当たったとも言えそうだ。ハラリ氏の情報収集力、まとめる力が凄い(そこにオリジナルの主張はなくても)。

 前から人類学者が主張していたことを紹介しただけと言うと身も蓋もないが、私などは、ご本家の大先生も少しぐらい「ここは自分達の研究成果だ」と主張したらいいのにとも思ってしまう。もちろん、巨人、山極先生がそのようなハシタナイことを言うはずもない。(注2)
 もっともハラリ先生の方は自分のオリジナルと言うつもりもなく、より大きな歴史観を形作る材料程度に使ったと言いそうであるので、突込みも入れづらいところではある。

 ならば、このど素人が人類学の聞きかじり、巨人たちの業績をnoteで紹介でもしようかとご本家の書籍を真剣に読み始めた。さすがご本家、読めば読むほど面白く、分かり易い。根拠となる観察結果も書いてある。当然ながら「サピエンス全史」に書いてあることはかなり重なっており、人類学者の研究成果が生かされたと判る(注3)。
 サピエンス全史では端折られていて疑問に思ったこともあったが、それも解消されてうれしくなった(注4)。「へぇー」連続で、だんだんご本家の話の方がおもしろくなってきた。

 これぞハラリ効果と人類学者の先生も言うかもと。
次回以後、さらに広がった妄想を書いてみよう。


(注1) サピエンス全史は2011年にヘブライ語で出版され、英語版は2016年に出版されると全世界で翻訳され、日本語版は2018年に翻訳された。
(注2) 最近の出版物等でご本家の学者たちが人類学者としてのご本家の研究成果を別の形で積極的に紹介し始めたのかも知れない?巻き返している節がある。それはハシタナイタイプの主張でなく、最近の社会問題の解決の処方箋としての主張で、さすがご本家という内容だ。
(注3) 以下の本の標題だけでも、ご本家の人類学者が現代社会との関係を長く研究対象としてきたことが判る。
(注4) サピエンス全史では、人類の祖先たちだけがサバンナに進出するという困難な道を選んだ経緯(それを選択できた経緯)は書かれていないが、この辺もおもしろい。

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