【書評】『ミシェル・フーコー講義集成 ~ 安全・領土・人口 』
「哲学すること」を一度知ってしまうと、もはやそれ以前の自分には後戻りできない。それは、新しい「情報」や「知識」を得ることではない。また、何かについての「やり方」(to do) を変えることでもない。では、何が変わるのか。
「哲学すること」によって、自分が慣れ親しんでよく知っていたはずの世界は、ガラガラと音を立てて崩れ去り、まったく新しい姿に変容してしまう。もちろん現実の世界が変わるわけではない。世界に対する「ものの見方」、もっといえば自分自身の「あり方」(to be) が、