投稿マンガ『恋とはこういうものなのか』最終回が〈仮〉のワケ その2
その1の続きです。ご覧になっていない方はこちらです。でも忙しい方はその3だけ読めば結果は分かります。時短。
いい年してコソコソ隠れて描いていたライトBLマンガ『恋とはこういうものなのか』が家族にバレまして、心身ともに疲れ果て、失意の中わずかな光明を探し求めている場面でございます。では続きをどうぞ。
『世界のイラスト』
・海外のサイト
もうマンガは辞めよう。いくらライトでも、耽美やアートを主とする目線で見ていても、世間じゃBLは、まだまだ変態のジャンルです。
やっぱりそろそろ働くか‥とハローワークの検索をかけた頃‥‥。
またコロナです。感染者数が増加して、とても仕事なんか探せない情勢になったのです。
どうしてだろう‥働こうとするとコロナが増える‥。
またしばらくは専業主婦か。BLマンガは辞めたけどせっかく慣れてきたCLIP STUDIOの使い方は忘れたくないな、と、またほそぼそイラストの練習をし始めたんです。
が、やはり一人ぼっちで描いていると、寂しいんです。
「ここにいるよ」誰かに気付いてもらいたい。
そうだ、海外のイラスト投稿サイト!ここならこっそりと絵を描いて出しても、さすがにバレないし、誰かと繋がっていられる!よし!
まぁ閲覧件数は低かった、てかほぼ無かったんですけど、それよりも海外のイラストレベルの高い事!プロの方も多く、映画の背景やCGを手掛けている方々も多数投稿されていて、世界レベルの違いを知ったのです。
すごいなぁ世界は。そこでむくむくと湧き上がってきた思いがありました。
「やっぱりマンガってアートだ!」
海外って本物の大人が本気で描いてる、気迫と芸術性の高いイラストが多かったんです。若い層もそれに憧れて習っていく、みたいな。それ見ちゃうと、マンガなんて‥って一瞬思うけど、違う!違います!マンガだってアートなんです!
日本の美大生諸君!君たちはいったいどこで絵を描いているんだ?マンガは描かないのか?イラストはどこに出してるんだ?
もっともっとマンガってアートになっていいはず!
世界にもっともっと芸術性の高いマンガが広がっていいはず!
君たちの画力を世界に見せてくれ!マンガ大国の底力を見せてくれ!
私がドキドキして読んでいたのは人間の感情のさざ波の部分を絵で見せてくれるそんなBLマンガだったじゃないか!それってアートだ!恥じることはない!日本のライトBLよ!もっと世界へ!‥‥あれ?話の着地点おかしい?まぁ、気にしないで。
とにかく少し元気が出てきました!
・追い風
そんな時、神風って吹くもの。海外サイトからのBL情報です。
様々な人種や宗教がある中でオブラートにくるんだような上品な同性愛のドラマ達に出会ったのです。
ぶっちゃけて言うとタイの『SOTUS』と中国の『山河令』。どちらもHシーンはほぼないのですが、おそらく原作者が素晴らしいのでしょう(読んでないけど)。主人公たちの感情の繊細さがストーリーに表れていて、見事にドキドキさせてくれます。
そして!なんと!我が家の!あの!泥のような目で母を見ていた、あの、あの、子がその海外BLドラマにハマったんです!なんという事でしょう!こちらの世界へようこそ!ウエルカムです!私は百万の味方を得ました!
そうなると一気に私の言動が好転します。世界の俳優さん方の演じるBLは美しく、時に爽やか、時にコミカル、全くいやらしくありません(いや、あるな)。
そうなんです、BLっていやらしいだけの物じゃないんです!
「私もこんな尊いマンガが描きたいんだよ!」
家族に自分の描いたマンガを見せる勇気はないけど(家族も見る覚悟はないらしい)、少しずつライトBLに免疫をつけてもらい、拒否反応を起こさせないようにしていこう!神様仏様ありがとう!入れる賽銭は5円だけどね。
と、なると気になるのが途中で止まっていた『恋とは~』です。続き待ってる人いるかなぁ。コメントくれていた方いたよなぁ。
怖さとフラッシュバックで今までの原稿も見れなかったけど少しずつ、続き描こうかな‥。
9か月。そのくらいの時間が経っていました。描けるかな?絵のタッチも変わっちゃったし、見てくれる人まだいるかな?
『ガイドライン』
・またLINEマンガさん
うわ!絵が濃い!久しぶりに描いたカラーマンガは嬉しさが画面に溢れ出ていました。濃い!〈※『恋とは~』25話参照〉まるでミスターしげる松崎か、たいめいけんの漆黒シェフようだが気にするもんか!
もっと描きたいもっと塗りたい!レイヤーって何枚まで使っていいんだ~い?
今までは隠れてクローゼットや布団の中で描くことが多かった執筆環境ですが、今度からは子の机をお借りできます。ありがとうありがとう。
待っててくれた神読者様もいらっしゃって、嬉しくてますます塗りに厚みが増します。
発光レイヤーも大盤振る舞いです。
光れ光れもっと輝け!キラキラキラ~ン!
‥‥察しのいい方ならそろそろお気づきでしょう。私が調子ぶっこくと、次の穴が来るんですよね。はい、今回もご多分に漏れずやってきましたよ、お次の大穴が。
ある日、一通のメールがきました。投稿先のLINEマンガ様からです。
『ガイドラインに違反しています』
えっ????
オリジナル作品だし、ダンナが厳しいので、執筆時の注意点を著作権の弁理士さんに相談して色々教えてもらった身です。そんなガイドラインに違反する行為なんてあるわけ‥‥ありました。
好きな物、描きこみたいんです。人でも物でも、その時好きなのマンガの中に描き込んでいたんです。しかも大量に!そっちがメイン?て位に!
アニメやマンガのキャラは犯罪者バーを目に付けたり、黒目を描かなかったりしていたので大丈夫かと思ってたが‥?あっ、俳優さん!しかもタイの俳優さんの似てない似顔絵、大量に登場させた!しかもネームプレート付けさせて!こりゃヤバいね。国際犯罪者になっちまう!失礼いたしました。消し消し。これでどうだ!行け!
『ガイドラインに違反しています』
‥‥え?あれ?違う?タイじゃなかった?更にメールはやってきます。
『ガイドラインに違反しています』
さらにメールは続きます。
『ガイドラインに違反しています』
一話だけじゃなく、他の数話もバンされてしまいました。
よく見ると後ろのキャラ人形に黒目が入っていたり、あ、これかな?って所があって、そこは直せたんですけど、どこをどう直すかってのは教えてもらえないんですよ。インディーズ投稿者は自分で探さなきゃいけないんです。
あれ?私が相手にされていないだけ?いや、そんなことはない!はず!
直してはバン、直してはバン。これではイタチごっこです。
更に次に投稿しようとしていた38話、アニメキャラのオンパレードだったんです。ビックリですよ。これでもか!ってくらい描き込んでいたんですから。神の啓示ですね、こりゃ。
どれがダメか教えてもらえないなら、全部消すしかない。
しかし消すには多すぎる‥。
ふー、ダメか。二度目の挫折です。
LINEマンガさんお世話になりました。今度こそさよならです。
心優しかった読者の皆様ごめんなさい。しょぼぼんぼん。
最後まで、最後まで描きたい!コロナが終わる前に描き切りたい!
他に投稿できる出版社やサイトに問い合わせてもみたのですが、どこもガイドラインの個人への返答はできないと。返信すらしてもらえない所もあったし‥。
その時の心情をお伝えするなら、着てはもらえぬセーターを寒さこらえて編んでいる‥そんな所でしょうか。
負けるもんか!じゃあ持ち込みで直接聞こう!と、しましたら「持ち込みはプロを目指す方のみ対象です」と、おむすびスズメの名前で問い合わせだけで門前払いされてしまいました。プロは無理って前提で言われた‥?。
いい年こいてマンガ描いて持ち込み希望‥なんてただでさえ恥ずかしさで死にそうなのに、優しくしてくれよぅ‥。夢くらい見させてくれよぅ‥。いいよぅ、もう分かったよ‥‥。しくしく。泣いちゃうぞ。
・アルファポリスさん
くっそぅ、せっかく家族の理解を得て、描けるようになったんだから描くぞ!そうだ!アルファポリスさん!正面から問い合わせたらやはり個別返答はできない、と断られたけど「中の人」がいるではないか!
アルファポリスさんに投稿して、また違反箇所があっても教えてはもらえないが、Twitteで呟いているアルパカのようなキャラの「中の人」がいるではないか!
前作『つかれたら、ここにおいで。』を投稿させていただいた時、「中の人」にTwitterで質問に答えていただいた事があったのです。
よし、またガイドラインに引っかかった時は彼?に個人攻撃を仕掛ければいい!ひひひ、追い詰められた崖っぷちBBAの恐ろしさを味わってもらおうじゃないか!
そしてまたTwitterと、Instagramと、アルファポリスさんへのマンガ投稿を始めたんです。
結果、ガイドラインに引っかかる事はありませんでしたので(たぶんね)、「中の人」は私の質問攻撃を受けることも無く、幸せに暮らしているでしょう。めでたしめでたし。
・フォロワーゼロ
さぁ、後は最終回まで描くだけだぞ!今まで描いた分を週一で投稿すれば何か月かはかかるから、それまでにゆっくり描けばいい。
それから少しした頃です。ちょっと余裕が出て、朝ドラのイラストを描き始めたのは。
私の絵はとにかく、濃い!これでもか!ってくらい塗る!紙なら間違いなく穴があくくらいね。なので、薄いイラストの練習がしたくて、毎朝1時間で描けるイラストを描いてみよう。と、ふっと始めたのです。
実際はその時間内じゃ描けなくて苦労することになるんですが。
あと、TwitterやInstagramへの投稿する練習もしたかったし、ね。
♪フォロワー居ねぇ、イイネも来ねぇ、ハッシュのタグって何者だぁ??
って吉幾三さん風に歌えるくらいSNSできなかったのです。
正直に言うと自分の絵を人様に見られるのが最大級に恥ずかしい。もらえるコメントなんて悪口に違いない。どこか間違ってたらどうしよう。また失敗したらどうしよう。私の絵なんて見たい人なんて居ないのにいい気になって晒すなんて~~~!!考えただけで脇汗ダラダラ&手のひらジットリです。
その時、気付いたのです。
あ、フォロワー居ないや。
ゼロ!フォロワーさんが居ないってことは誰も見ないんだ!
ぞうだ、誰も見てないなら間違ってもいいんだ。誰もいない教室の後ろで一人踊っていても誰にも迷惑かからないんだ!
調べたら、そんなあなたに『おだやか機能』ってのもあって、数字を見えなく出来るんです。よし、これだ。これで私は永遠のフォロワーゼロ。間違っていい。間違ってもいい。失敗してもいいんだ。やってみよう。
「下手」「キモ」「古」「その年でTwitterやってる人居ないからね」たまに描いてる絵を覗かれて、家族に言われる言葉はそんなもんです。はい。
一条ゆかり先生で産湯につかり、大和和紀先生で開眼した生まれも育ちも生粋の昭和の女でございます。絵が古くたっていいんです。
(※心の声なので大先生方の敬称を略させて頂きました)
でもネットにも絶対にいる。私の年代でSNSをしている人たち!
iPhoneイマイチ使いこなせない世代の人たち!
土曜日の午前はドリフを楽しみに勉強頑張ってた人たち!
私のようにお茶飲みながら朝ドラにひとりごと言ってる人たち!
好きなことしていいんだよって言ってくれる人たち!
大丈夫。
きっと誰かが見つけてくれる。「ここにいるよ」声は出し続けていこう。
一人ぼっちは寂しすぎるから。
・最後の大穴
さぁ、コロナも落ち着いてきました。いろいろ失敗も多かったけど、やっと終わります。私のマンガ『恋とはこういうものなのか』が。
‥って、はい!賢い皆さん、もう、お分かりですね。
来ましたよ。次の穴。ぽっこりとね。
もう驚きませんけど。ふー。
『恋とはこういうものなのか』最終回が〈仮〉のワケ その3へ続きます。
Fliptoonマンガはこちらで公開しております。長いので休日にでも。