元理容室から、みのり台の新しい拠点「しるばあ」へ。各店のオープン経緯から、このまちの魅力についてをお聞きしました。
みのり台に新しい拠点「しるばあ」がオープンしました
omusubi不動産の松戸事務所から徒歩1分の場所に、みのり台の新たな拠点ができました。名前は「しるばあ」。ここはもともと、地元の人に親しまれる「理容シルバー」が営まれていた場所でした。
元々近隣には20年以上続くオーガニックレストラン「CAMOO」をはじめ、素材を活かしたジェラート屋さん、天然酵母のパン屋さんなどこだわったお店がある地域。
特にみのり台は、この数年で新しいお店の出店も重なり、コーヒー豆の焙煎にこだわったカフェ「Tokoa coffee」、素敵な雑貨とともに新刊も古書も扱う「smokebooks」、蕎麦屋さんやサロン、靴工房が集まる好月、自分たちで育てた野菜を提供するレストラン「亀吉農園」など個人経営のお店が増えてきています。
そんなみのり台に魅力を感じ、しるばあに入居してくださったのがスペシャルティコーヒーとベーグルを提供する「LIVING Coffee and Bagels」さん、古着屋の「ME:YOU」さん、本のある場所「甲羅文庫」さんの3店です。
今回は、しるばあ各店のオーナーさんに、数あるまちの中でこのエリアを選んでくださった理由や、実際営業してみての印象、今後みのり台に期待することなどについてお聞きしてきました。
それぞれのお店が開店するまで
甲羅文庫さん(ことばのある場所)
――いちばん最初にオープンされていたのが甲羅文庫さんでしたよね。吉田さんは市川で「kame books」も運営されていますが、新たに甲羅文庫をつくろう、と思ったのはどうしてでしょうか。
吉田さん:kame booksは123ビルヂングの中にあるのですが、ここよりもこじんまりしたスペースの本屋なんです。なので、読書会を開催したり、来てくださった方がゆっくりくつろげる場所を持ちたいなと思い、甲羅文庫を始めました。
――入った瞬間に落ち着く空間だなと感じました。営業日は「4」と「7」がつく日なのですよね。
吉田さん:そうですね。4日、7日、14日、17日、24日、27日は開けています。インターホンを押してもらってもいいですが、基本的に扉を開けているのでふらっと来てもらえたらなと。
――吉田さんは普段別のお仕事をされていらっしゃるそうですが、ことばのある場所を運営しようと思ったのはなにかきっかけがあったのでしょうか。
吉田さん:純粋に自分が本を読むのが好きだったので、自分の好きなものがある場所を持ちたいなと思ったんです。基本的には自分が読みたいと思う本を置いていますが、そのときどきによって読みたいものは変わるんですよね。なので、選書の基準としては「日々の彩りがひとつかふたつ増えるような本」を選ぶようにしています。
ME:YOUさん(古着とセレクト)
――ME:YOUさんはもともと金沢で古着屋さんをやられていたのですよね。
金田さん:そうなんです。東京に住んでいる彼と遠距離だったのですが、結婚を機に私がこっちへ来ることになって。ただ、都内で物件を探してみるものの、なかなか条件に合うところが見つからなかったんです。それで「関東 テナント」で検索していたら偶然omusubiさんのサイトを見つけて、ここの募集を知りました。
――金田さんは地元が金沢ですか?
金田さん:いえ、地元は大阪で、そのあと仕事の都合で東京に住んでいました。東京にいるときに金沢へ旅行に行ったらものすごく気に入って、お店をやるなら「ここだ」って直感的に感じたんです(笑)。金沢のまちはコンパクトなんですが、都市部と自然のバランスがとれているんですよね。川が近いので水の音が聞こえたり、店の裏で鶯の鳴き声が聞こえるような環境でした。
――古着屋さんをはじめようと考えるようになったのはいつごろからでしょうか。
金田さん:中学生の頃ファッションに目覚めて、大阪でもたくさん古着屋さんをめぐったりしていたので、いつかは自分のお店を持ちたいなと思っていましたね。高校卒業後に就職したアパレルの会社でも「いつか自分のお店をやりたいので、店長をやらせてください」ってお願いしたり……(笑)。店長や販売企画の経験と、古着屋でのバイヤー業務を経て、長年の夢だった自分のお店を開業しました。
LIVING Coffee and Bagelsさん(スペシャルティコーヒーとベーグル)
――LIVINGのおふたりには、以前「One Table」の卒業生としてもご取材をさせていただきました。尚幸さんがスペシャルティコーヒーのお店で働かれている際に、同僚の方からポップアップ出店に誘われてLIVINGの活動がはじまったのですよね。
尚幸さん:そうですね。コーヒーだけだと物足りないなと思っていたら、偶然彼女が趣味でベーグルを作っていたので「一緒にやろうよ」と声をかけて、ベーグルとスペシャルティコーヒーを提供する活動をはじめました。
あゆみさん:でも実はわたし、コーヒーは全然飲めなくて。どちらかと言うと苦手だったんです。でも、飲んでいくうちにスペシャルティコーヒーの魅力に気づいて、「美味しい!」と思えるようになりました。
――東京と松戸の2拠点で間借り営業をされながら、物件を探されるようになったのですよね。
尚幸さん:去年の春ぐらいから探し始めていたんですが、理想の物件があっても費用面で折り合いがつかなかったり、希望の条件が合わなかったりと、なかなか決めきれずにいました。
あゆみさん:実は、しるばあは結構前からご提案いただいていて。でも当初隣にコーヒー屋さんが入ると聞いていたので、難しいかもなと。そしたら物件選びに苦戦していた頃に「隣は古着屋さんが入ることになりました」と教えてもらったんです。時間が経ち、物件に求める条件も変わっていたので、改めて見たときにここが良さそうだね、と二人で意見が一致して、入居することを決めました。
みのり台ってどんなまち?
――実際営業されてみて、どんなお客さんがいらっしゃいますか?
ME:YOU・金田さん:思っていた以上に、幅広い年代の方が来てくださっています。オープンして二ヶ月ほどですが、すでに何回も足を運んでくださるお客さまもいらっしゃいますね。また、「なんでこんなところにお店を出したの?」と聞かれることが多いです(笑)。
LIVING・尚幸さん:僕たちもめちゃめちゃ聞かれます(笑)。この地域に住んでいる方が来てくださっているので、常連の方も多く、すぐ仲良くなれる気がします。
LIVING・あゆみさん:優しい方が多いよね。「誰々さんから紹介してもらって来ました」というお客さんがすごく多くて、間借りで出店していたときよりも人と人とのつながりを感じることが増えました。
甲羅文庫・吉田さん:甲羅文庫を開くまで、みのり台にはあまり来たことがなかったんですが、活気のあるまちですよね。
――みなさんが普段よく行くごはん屋さんはありますか?
LIVING・あゆみさん:「成都担担面」です!週に2〜3回は行ってますね。LIVINGの内装をお願いした「MADE BY...」さんに教えていただいて。お店でばったり会うこともあります(笑)。
LIVING・尚幸さん:種類がたくさんあるんですが、おすすめは「ジャンソン」ですね。
甲羅文庫・吉田さん:坦々麺なら、八百屋の前にある町中華によく行きます。あとその斜めの焼き鳥屋さんにも行ってますね。
ME:YOU・金田さん:わたしは店を開けながら行けるのでいちばんよく行くのはLIVINGさんですね(笑)。あとは大通り沿いのタイ料理屋さんには何度か行きました。ガパオライスがおいしかったです。
LIVING・あゆみさん:みのり台は素敵な個人経営のお店が多くておもしろいですよね。
ME:YOU・金田さん:そうですよね。私自身しるばあを内見したとき、近くにsmokebooksさんがあって、こういう魅力的なお店があるエリアっていいなと感じたのが決め手になりました。都心よりも、みのり台のゆったりとした空気が流れるこの雰囲気の方が個人的にも合っているなと感じています。
みのり台は、魅力的な個人経営のお店が集まる“「千葉」の下北”
――しるばあができて間もないですが、これからどんな場所にしていきたいですか?
金田さん:地域密着型のお店として、ここに住んでる人たちがふらっと立ち寄れて、じんわりと心が満たされるような場所にしていきたいなと考えています。
なおゆきさん:このエリアで形成されているコミュニティがあるので、知らない人であっても繋がりやすいんですよね。LIVINGは地域の人が集う場として、人と人を繋げていけたらおもしろいなと思っています。
あゆみさん:あとはLIVINGだけでなく、ME:YOUさん、甲羅文庫さんも含めたこの建物一体を楽しんでいただけると嬉しいですね。
吉田さん:甲羅文庫のお隣は住居なので、お隣さんたちともなにかやれたらいいなと考えています。それこそ、ここで本を読むとか、一緒にお酒を飲むとかでもいいんですけど。
――もともと地域の人に馴染みのあった理容室が、新たな地域の拠点として発展していくのがとてもたのしみです。
尚幸さん:そういえば、僕らふたりでよく「みのり台って千葉の下北なんじゃない?」って話してるんです(笑)。
あゆみさん:先ほどもお話しましたが、個人経営のおいしい飲食店だったり、魅力的なお店が多いんですよね。だからしるばあもそういったお店に続いていきたいですし、もっといろんな種類のお店ができていくと、まちを回るのがさらにたのしくなるだろうなと思います。
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【各店情報】
取材・撮影=ひらいめぐみ
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