考えていた以上の夢を膨らませる、理想の住まいづくり | リノベと暮らそう。
せっかく家を購入するのなら、自分好みの空間にしたい。だけど、リノベーションって初心者には難しそう……。そう感じている方もいらっしゃるかもしれません。
この連載では実際にomusubi不動産で物件を購入され、リノベーションしたお客さまのお部屋に伺います。理想の住まいを完成させたばかりのお客さまに、物件を決めたきっかけや理由、理想の部屋を作るためにやったこと、またこれから購入を検討する方へのアドバイスをお聞きしました。
今回ご紹介するのは、Kさんご夫妻のお宅です。
before
after
「リノベーションって、あれこれ理想を話して、そこから現実的に考えて理想の形を小さくするものだと思っていました」
そう話すのは、結婚8年目に戸建の住居を購入したKさん夫妻。当初の想定をやすやすと越えた家ができたと喜ぶおふたりは、いったいどんな過程を経て、理想の住まいづくりにたどり着いたのでしょうか。
物件探し〜契約までの道のり
「いつか家を買おう」と思っていても、そのきっかけは千差万別。Kさんご夫妻の場合は、もともと住んでいたマンションに併設していたスーパーが再開発のために閉店することが物件探しに本腰を入れるきっかけとなりました。
その知らせを聞いてからの行動の早さ!omusubi不動産での内見1軒目で即決し、約2ヶ月後に物件を契約、2〜3ヶ月におよぶリノベーションを経てお二人の家は完成しました。
結婚8年目を迎えたKさんご夫妻は、理想の住まいがマンションよりも戸建だと気づくまでの変遷をこう話します。
「奥さんと一緒に暮らし始めたとき、賃貸のアパートなのに壁に釘を打とうとしていてびっくりしたんですよ」と旦那さま。
「それまで実家の戸建て暮らしだったから、賃貸ではDIYがあまり認められていないとか、やったとしても現状復帰が求められるというのも知らなくて」と奥さま。
自分にとって心地いい部屋作りを進めたとしても、結局は元通りにしなくてはいけない。そう思うと「ここで頑張ってカスタマイズしても仕方ないなって。あえてやる気を出さないようにしていました」と、ものづくりが趣味だという奥さまが語ります。
はじめはゆかりのある横浜エリアで探してたものの、本格的に物件探しをスタートしたところで疑問が生じ始めたといいます。希望のエリアは坂が多く、車を持っていないと生活が不便であることに加え、不動産会社との巡り合わせがあまりよくなかったとのこと。
「何度かやり取りする中で、営業の圧が強いのもつらくて。相談に対する返信が会社の営業時間外に返ってくるのも、時間外労働を強要しているようでモヤモヤしていました」
こうしてやりとりに疲弊する中で、以前から知ってはいたものの、これまで千葉エリアとは無縁であったために選択肢から外したomusubi不動産のことを思い出したそう。
「実際に『家を買うぞ』っていうタイミングで冷静に考えたら、人生で一番高い買い物をするなら、自分の好きなセレクトショップで買うよね、って腑に落ちたんです」
なんと、おふたりはもともと希望していたエリアでの物件探しよりも、omusubi不動産で物件を探そうと決意したのです。数年前に一度賃貸物件の内見をしたことがあり、いい印象が残っていたとのこと。
そして、「まずはomusubi不動産が扱う物件のなかで探そう」と方針を固めました。こうして物件探しを仕切り直したものの、問い合わせた物件はすでに成約済み。そこで営業の高野が「ここはどうですか?」と提案したのは、おふたりが後ろ髪を引かれつつも候補から外していた物件でした。
「夫の通勤時間を考えると、『ここは厳しいだろうな』と見て見ぬフリをした物件がポンっと現れて驚きました」
「ほかにも新築を含めていろんな戸建物件を見ましたが、なかなかピンとくるものがなくて。物件の写真を見ただけで、『実際に見たら絶対に気に入っちゃうな』とは思っていました」
まるでこの家が、おふたりを引き寄せるかのように呼んでいたのかもしれません。予見していた通り、内見をしたおふたりは即断。こうしてKさん夫妻の理想の住まいづくりが始まりました。
インスピレーションはガウディから
新婚旅行ではスペイン・バルセロナにあるガウディ建築を巡ったというおふたり。
リノベーションのイメージは、世界的に有名なサグラダ・ファミリアを作ったスペインの建築家、アントニ・ガウディから想像を膨らませたと話します。
営業の高野がおふたりのやりたいイメージを聞いてデザイン・設計の相談をしたのが、ハンディハウスさん。担当の須藤さんに出会ったことで、ふたりの理想の住まいづくりが一気に加速しました。
やりたいテイストを詰め込んだリノベーション
「ガウディが好き」というふたりの要望を聞き、気づけばアーチが印象的に使われるようになったKさん夫妻の住まい。自然を師と仰ぐガウディは「自然界に直線は存在しない」という考えに則り、彼の作る建築は曲線が用いられるのが特徴的です。
なめらかな曲線と陰影がうつくしい印象のリビングダイニングは、三面採光で自然光に包まれています。ダイニングの照明部分はアーチになっていてやわらかな印象に。
壁と天井を比べると、塗装もどこかニュアンスの異なる風合いです。
その理由は、同じ色でも塗り方を変えているからとのこと。その自然な陰影がダイニングに温もりを添えています。
そして、テーブルの天板には和紙が使われています。
これはめずらしい仕上げ!和紙の持つ繊維の細やかさによって、透け感のある表情が出ています。もちろん汚れ対策もばっちり。上からウレタンコーティングを複数重ねて施しています。デザインの美しさと実用性を兼ね揃えているのも、イメージソースにガウディがあるからかもしれません。
キッチンは全体的にすっきりとしたデザインに。
作業台やコンロとシンクの間の通路をゆったりと設計したのは、ふたりでの料理を楽しむためでした。
すると、奥さまが突然「ここに仕掛けがあるんです」と、足もとからするりと引き出し式の踏み台を登場させました!
Kさんご夫妻は身長差が大きく、ふたりでキッチンに立つには作業台の高さがちいさなストレスとなります。ふたりが快適に作業できる高さにするために、探して見つけたのがこの踏み台でした。
「いろいろなものが使いにくいなって今まで感じていたのですが、『規格サイズがわたしに合っていなかっただけで、自分が悪かったわけじゃない』と気づけたのは発見でした」と笑顔を見せる奥さま。キッチンに並ぶおふたりの後ろ姿から、仲睦まじい雰囲気が伝わってきます。
そしてダイニングとキッチンの間には、奥さまの作業部屋が。
実はここ、建物の構造上どうしても抜けない部分が出てきたため、須藤さんが提案したのは作業スペースとして活用することでした。イメージしたのは、ファミレスや漫画喫茶の個室のような席。小窓を設けてキッチンとつなげているので、リフレッシュにお茶を飲みたい時にも便利な仕様に。
リビングは旦那さまの希望で掘りごたつスタイルに。
テーブルにはダイニング同様、和紙が張られています。ダイニングテーブルの和紙を施工してもらった後、キッチンの柱やリビングテーブルには自分たちで和紙張りをしたとのこと。そういったひとてまは思い出になりますね。
奥さまのご実家には掘りごたつがあったとのこと、それをこのおうちでも再現したかったそう。「結果的にここにいる時間が長いね」というおふたりの会話からも、心地よさが伝わってくるようです。
ここでKさんご夫妻が戸建にこだわったもうひとつの理由をご紹介しましょう。
「家に階段がある生活っていいな、って憧れがあったんですよね」と話すのは、ご実家がマンション住まいだった旦那さま。
この物件を担当した営業・高野のいちおしポイントだった、玄関から2階へ続く階段の手すり。
風格ある橋の欄干の柱には擬宝珠があるように、ここの階段もクラシックな柱が特徴的です。デザインが気に入ったおふたりは、このままのかたちを残しつつも、小柄な奥さまの歩幅に合うよう、段差を調整する細やかな施工が施されています。
2階に上がると、読書家全員の夢と言っても過言ではない光景が広がっていました。
コの字のように部屋の壁の三面を本棚が埋め尽くしています。
蔵書が多い旦那さまがいちばんやりたかったことは、読書に浸れる本に囲まれた空間を持つこと。「まだまだ本が入るって思えるような、余裕のある本棚を持ちたかったんです。でも、今まで集めた本だけでもういっぱいになりそう」と満足そうに笑顔を見せます。
天井が高く、本に囲まれていても圧迫感のない空間。しっかりと日差しを取り入れるよう設計されているところも、開放感が感じられるポイントです。
本棚の左奥には、おこもりスペースがありました。
秘密基地のようなこちらは旦那さまの作業部屋。
リモートワークの多いおふたり、それぞれが仕事に集中できる部屋を作ることもひとつの願いでした。
寝室は低めのマットレスに合わせて重心も低くデザイン。洗練されたホテルライクなベッドルームです。
その隣にはまだ未完成の部屋が。
おふたりが結婚する前に縁日で買ったミシシッピアカミミガメ(その名もアントニ・ガウディ)が生活するスペースでもあります。
水槽の水換えができるよう、そばに水場も造られています。また、手を動かすことが好きな奥さまのための作業スペースとしても活用するとのこと。ベニヤが貼られた空間は、まだまだこれからの進化が楽しみな空間です。
ベッドルームとこの部屋の窓辺は繋がっていてサンルームとしても使えるようにつくられています。
部屋によってがらりと雰囲気が変わるのが特徴のKさん夫妻のおうち。「おもちゃ箱のように、やりたいことを全部やろう」と、ひとつのテイストにこだわらずにお部屋ごとにイメージを固めていったとのこと。
もとの物件が持っていたレトロな階段や扉などをいかしつつ、自分たちの好みや暮らしやすさを追求したこだわりのインテリアとリノベーション。
「理想の部屋作りを相談すると、デザインを担当してくださったハンディハウスの須藤さんが『せっかくだからあれもこれもやりましょう』と夢を広げてくれました。結果的に、すごく大変になりそうだったのを、自分からもっと大変にしていってましたね笑」
工事期間中、頻繁に物件に足を運んでくれた須藤さん。工事が終わる頃にはご近所の皆さんがさみしがるほど好かれていたのだとか。自分たちのやりたいテイストを理解してもらえるような、相性の合う人を見つけたことも、理想の住まいづくりに近づくヒントかもしれません。
これからリノベーションをする方へ
今後リノベーションを検討している人に向けて、伝えたいことをお聞きしました。
「物件の購入からリノベーションの計画、それに引っ越しと、考えて決めないといけないことが多いんですよね。いちどに全部を決めようとすると大変なので、譲れない部分はきちんと考えて、任せられるところは任せるか、後回しにしてもいいんだと知れたのが発見でした」と旦那さま。
たとえば照明のセレクトについては、雰囲気に合うものをおまかせで選んでもらったとのこと。
工事が終わるまでにぜんぶ完璧に決めなくても、引っ越して落ち着いてから、そして状況が変わった時に考えて変えていけばいいと気づけたのが発見だったと話します。
「わたしは、身長が低いという自覚があまりなくて。でも、生活しているとなにかと不便を感じることが多い。リノベーションによって自分のサイズに合わせたことで、細かなストレスが取り除けると気づけたのは、大きな発見でした」と奥さま。
実際におうちを見学させていただき、お話を聞くと、おおらかに任せている部分もあれば、キッチンの踏み台や階段の段差を変えるなど、細やかなこだわりも見えました。
それはきっと、今までの生活の中で、気づいていなかったり、言語化していなかったちいさな違和感を洗い出した結果が、心ゆくまで納得のいく住まいづくりとなっているのだと、おふたりのお話を通して感じました。
「リノベーションが完成したからこれでおしまいじゃなくて、まだまだ自分たちで手を加えられる。それをまた相談できる人がいてくれるのも心強いですね」と話します。
お二人は今後、猫を飼うことを検討しているとのこと。
賃貸のマンションに暮らしていた頃には叶わなかった快適な住まいづくり。ですが、これからは生活が変化する中で、気になるところは何度でも、手を加えてその都度変化させていくことができます。
おふたりが新居について語る姿は、その住まいづくりを日々の営みとして生活に組み込んでいけることへの嬉しさに溢れているように見えました。
数年後にはさらに、いまより進化した素敵なおうちになっていることでしょう。
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ひとつひとつ工事の状況や予算と見比べ、最適な選択肢を選び、自分たちで手を加えることも楽しみながら作ることができる、リノベーションのおうち。
omusubi不動産プロデュースのリノベーションにご興味を持ってくださっている方、またリノベ素材の物件購入を検討している方などに向けて、イベントを開催しています。近日のイベント情報は下記のページをご覧ください。
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取材・撮影=チヒロ(かもめと街)