見出し画像

やるべき事をやる事が紳士だ

ノルウェイの森の登場人物の一人である永沢さんはハルキストにとってはあまりにも有名だし、人気の登場人物の一人であろう。

自分はハルキストを名乗れる程読み込んでいないのだが、冒頭のセリフは初めて出会ってから10年経た今でも覚えている。

東京大学法学部に在籍で実家は金持ち、外務省への就職も決めてエリート街道まっしぐらな一方で、夜の街で女の子を引っかけるのもプロ級。先輩からも寮監からも一目を置かれる存在であり、作中でも魅力的に描かれている永沢さん。

そんな彼に対して主人公のワタナベは問いかける。永沢さんの人生規範は何ですか?と


答えは「紳士であること」



紳士であること?とは?






「自分がやりたい事をやるのではなく、やるべき事をやるのが紳士だ」





以来このセリフは私の心の奥底にしまい込まれ、定期的に顔を出して自分を抑制してくれた。



大学の単位を落とさない様に、、人との待ち合わせに遅れない様に、間違ったことをしたら謝る様に。。。



かっこいい永沢さんに少しでもあやかれる様に、自分を言葉で磨いていた。



あれから10年経て自分は社会人としてそして既婚者としても生活をしてきた。



まあ想像通りであるが、学生の時よりは圧倒的に自由な時間は減ったし、公私ともに仕事は増えるばかりで減る気配はない。



日々、体力と精神力の消費~回復を繰り返してそれでも、気持ちのいい人間でいられる様に必死で水面下で足をばたつかせている感じである。



このコロナによって、数多くの制限を世界中の人が強いられていると思う。
難しいのは人によってコロナへのスタンスが違うという事だ。


①非常に気にしており、外にでるのは極力控え、うがい手洗い消毒も、都度行って手を荒らしている人もいれば、コロナはどこ吹く風。②全く気にせずに平気で飲みにいって感染リスクに身をさらす人もいる。


私はというと根本的な考え方としては②よりであり気にしない人間である。




致死率の高い病例であれば気にしたと思うが、最近の事例であれば1週間程寝れば回復しているし無症状の方もいる中で、正直そこまで気にすることはないというのが心の中の感想である。と幼少期に発展途上国に居た事もあり伝染病のニュースは日常茶飯事であった。



さて一方で私自身が取っている行動は何かというと①である。
というのも自分の奥さんがかなりの①よりの方であり、そちらに合わせた行動を取っている。


アルコール消毒液は毎日持ち歩いているし、外出をしたら洋服は全て玄関で脱ぎ捨て、全裸のまま風呂場へ直行。なお、その間およそ5秒であるが、この5秒間は一呼吸もしてはいけないというルールもある。※一度ため息をしてしまい、隣室でそば耳を立てていた奥様がそれをキャッチ。烈火のごとく怒られて、部屋中を消毒する結果となった。
スーパーでの買い物は当分の間できなかった。人ゴミに行きたくないというのもあるが陳列された商品には不特定多数の唾液が噴霧されている可能性がゼロではないという理由から購入を禁止されていた。→当該期間はやや高級なネット通販を使っていた。おかげで食費が15万円/月となった。

現在は緩和されて、スーパーでの買い物は許可されたが、買ってきたものは
全て風呂場で石鹸で洗うことが冷蔵庫への持ち込み条件となっている。

上記はほんの一部で語りだせば、一升瓶の飲料用アルコールが必要になるのであるが自粛期間の為割愛。

又、途中までしか見なかったが、Netflixで「全裸監督」を拝見した。ある女の子の幼少期の回想シーンであったが、友人を支度に招いた際に、靴下のまま自宅に上がるのを母親が許さず。友人共に風呂場で素足を石鹸で磨きあげるのを強いられていた。自分の身に於いても全く起こりうるであろうシーンとして今も記憶に新しい。


1対1の最小の人員でも成り立つのが家族であり、閉鎖的なその環境に於いては、世間離れしたルールが発生し運用が続けられることもままあるであろう。


要するに、大学生という何の責任も負う必要のない立場から、会社に勤め、所帯を持つとそれなりの行動指針を求められる事になるのだ。ましてや家庭での行動指針は様々であり、パートナーから到底納得し得ない指針を突きつけられ、それに従わないとなると様々な困難が降りかかるというわけである。やれやれ


はて、こんな時あの永沢さんはどの様に過ごすであろうか。コロナに於ける永沢さんの理念がどこにあるのかはわからないが、彼は自分の都合を通すべく全てを上手くやるのだと思う。


ガールズハントに行くときに事前に寮監に暗黙の了解を得ていた様に、怒れる上級生を鎮める為になめくじを3匹丸のみした様に。自分の知力・体力・才力をフルに使って自身の希望に近づけるべく邁進していくと想像する。

自分が納得し得ないルールに立ち会った際には、相手を説得するかそれが叶わないのであれば、避ける抜け道を華麗に見つけ出す。そういう人だと私は想像する。


別に政府の方針を否定する気も、様々なコロナへの考え方がある中で誰かを批判する気持ちは全くないが、臨機応変な対応が求められているなと感じるのである。辻褄さえ合わして誰も傷つけないのであればグレーゾーンは堂々と歩いてよいと思っている。


そもそも、この世の中に於いて自分は真っ白な道しか歩きたくないんだ!!という人には少しうーんと思ってしまう。


自分にはそれがわがままに聞こえてしまうのだ。


清廉潔白、360度365日誰から見られても恥じない人生を送るのは事実上無理ではないかと思っている。


無知の知という言葉がある。この世の中に於いては清廉潔白でい続けることもできないというのがあるものかと思った次第である。


理不尽を受けた時に私の心の中で永沢さんが現れる。イメージ上の後ろ姿しか想像しえないが華麗に理不尽をかわす永沢さんの背中を道しるべとする時がたまにある。


そんな永沢さんが最後にどうなるか。自分の人生とも照らし合わせてしまうのである。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?