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サービスデザイナーの仕事|NEWhのサービスデザイナーの仕事内容

こんにちは、はじめまして、お久しぶりです。 NEWhでサービスデザイナーをしている北村です。
今回はそもそもさまざまなデザイン職がある中でも、私の仕事の実体験に基づいて「現場ではこのような仕事をしている」という話ができればと思います。
サービスデザインという職業に関して興味を持っている人の参考になれば幸いです。


サービスデザイナーに決まった定義はない(んじゃないかな)

私はNEWhという会社でサービスデザイナーをしています。
そもそもサービスデザイナーという職業は、会社によって定義や担当領域が異なっており、世の中において共通の「サービスデザイナー定義」「サービスデザインスキル」みたいなものは今のところないと思っています。
(誰かが決めていたとしても、浸透していないんじゃないかなって思っています)

そもそも私はもともとサービスデザイナーとしてのキャリアを歩んでいるのはここ4年くらいの話で、それ以前は肩書きがデザイナーですらありませんでした。
経験としてあったのは下記のようなものです。

・大学でプロダクトデザインを学ぶ(デジタルのプロダクトではなく、ガチガチのものづくり)
・業務冊子の編集担当者としてたくさんの情報を編集して、さまざまな事柄をわかりやすくした状態で出力する
・デジタルマーケティングプロデューサーとして、webコンテンツやプロモーション、SNSの運用などを行う

別に全然サービスなんかデザインしそうにない経歴だということがよくわかると思います。
しかし、サービスデザインを今現在やっている上でこれらの経験が全く生きていないということではありません。
ではこんな経歴の人が、サービスデザイナーとしてどんな風に仕事をしているのか簡単ではありますが紹介したいと思います。

サービスデザインはどんなことをやるのか | 現場デザイナー編

ざっくりですが、私が仕事をするときどういうことをしているかを事例に書いていければと思います。

例えば新規事業開発をするぞ、というお題目があり、現状だと下記のようなことを考えていけないぞ、とわかっているプロジェクトがあったとします。

  • 誰が

  • どんな課題を持っており

  • その課題はなぜ現在満たされておらず

  • 現在代替手段として何が使われており

  • 新たにどのような手法を提供し

  • どんなふうに収益を得るか

これらに対してサービスデザイナーは、まず下記の2点を考えます。

1.どのような手順で明らかにしていくか

これはいわゆるプロセス設計を行いましょうということです。
そもそも「誰が」というところから考えなければならないのか、実はもっと前なのか。
プロジェクトの基礎に現状どのような要素があるのかを見ながら、何を先に明らかにし、何はしなくていいのか。それはどのくらいの期間で行われるべきなのかを手法を加味して考えていきます。

2.どのような手法で明らかにしていくか

私の場合、答えを作るというより、答えの導き方を考えるという仕事が最も多いのではないかなと思います。
というのも、特に新規事業などは関わる人間が多く、何より大切なのが「メンバーの総意をどのように作るか?」ということだからです。
必要なメンバーの叡智をどのようなフレームワークで集め、その中で必要なエッセンスをどのように抜き取り、「これが良い」という意思決定を何をもとに行うのか。

この2つは順番論というより、同時に行うことが多いです。

次に行うこととしては、計画したプロセスを実行していく、ということになります。

3.設計した手法をどのように実現し、作業分担し、どんな成果物にするか

例えばですが、2の段階で、ユーザーニーズを明らかにするために、顧客定性調査をしましょうという手法を選んでいたとします。
じゃあ顧客定性調査を実現するぞ!となった時、下記のようなことを考える必要が出てきます。

  • どんな人に聞くべきなのか

  • その人をどうやってリクルートするのか

  • 確認すべき仮説は何か

  • それをどんな質問で明らかにするのか

  • インタビューをした後、どんなフレームで分析するのか

これら一つ一つを考え、自分で行う場合もあれば他メンバーと連携しながら実現をしていきます。
インタビューをしましょう〜ということだけであればデザイナーじゃなくてもできるかもしれないのですが、
そもそもどんな結果を導き出すための定性調査を設計し、「明らかになったことはこれだ」というインサイトを見つけていくのはデザイナーとして他メンバーからも頼られる部分かなと思います。

4.フェーズの成果物を踏まえ、どのような意思決定を行い、何があれば次に進めるかを考える

このフェーズでやりたかった調査が終わり、何かが明らかになってきた、という状況になればデザイナーの仕事が終わりというわけではありません。
あくまで調査やコンセプト設計など、各タスクは基本的に「事業を実現・運営する」という目的の1要素に過ぎません
本来的な目的を達成するために、得た材料を使ってどのようなコミュニケーションを誰と取れば、前に進めるのか。
これはもちろんデザイナーだけの仕事ではなく、フロントのメンバーやプロマネの人、POの人など、すべてのメンバーで前に進めるために何が必要かを考え、突破していく必要があります。
特に大手企業の方と進めるプロジェクトであったり、複数の会社を巻き込むプロジェクトであれば「上長承認を得る」などがわかりやすい「前に進めるために突破しなければならないもの」としてイメージしやすいかもしれません。

あくまで一例ではありますが、こんな感じで一つ一つのプロセスを考える、実行する、ということを繰り返していく仕事が割とスタンダードなのではないかなと思います。
一つ一つをよくみると、「顧客調査」「コンセプト設計」「ビジネス設計」「プロダクト開発」など、スキルとしてはよくあるものだったりします。
題目にある通り「サービスデザインなんてやったことない!」と思うかもしれませんが、サービスデザインとはこれらの複合スキルであって、何か一つができることを指すわけではないのです。(多分)

さまざまな求められるスキルの中で、自分のプロフェッショナルを中心に担当する

前項で大きな流れを説明しましたが、「え、じゃあこの流れをすべて1人で担うってことがサービスデザイナーなの…?!」という恐怖を覚えた人もいるかもしれません。
もちろん、これらをすべて1人でやる必要はありません。
全部ができるに越したことはないのですが、誰しも経験の差や得意不得意があるものです。
例えば「コンセプト設計はやったことがあるけど、マネタイズのモデルはやったことがないぞ」とか、「コンセプトから実際のアプリケーションに落とすところはやったことあるけど、事業戦略と市場環境を見てコンセプトを作るってのは無理だな…」とか、カバーしている領域が足りない、ということがあります。
そういう場合は、実際にその部分を得意とする他のデザイナーや、ビジネスデザイナーやUIデザイナーなど別のプロフェッショナルと組んでいけば問題ないわけです。

じゃあ何をもってしてサービスデザイナーと言えるのか?
これは人により見解が異なるかと思いますが、私はサービスデザイナーを「顧客視点を起点にしたロジック設計ができるプロフェッショナル」だと思っています。(これはそれぞれ意見があると思うのであくまで私の意見です…)
プロセスの中で「これは本当に顧客が欲しいと思うのか」「それはなぜ欲しいと言えるのか」を突き詰めて考えることができ、その考えを論理的に表現して個人でなくチームの意思に昇華することができる、そんな能力がどのプロセス、どのフェーズにおいてもサービスデザイナーに求められる資質なんじゃないかなと思っています。

サービスデザインと親和性の高いキャリア

ここまでの話を踏まえ、「ではどのような人がサービスデザインのキャリアを歩みやすいか?」という話をします。
私の所属するNEWhという組織の観点で見るとこんな人が親和性高いんじゃないかなあという個人の見解を書いておきます。

UXデザイナー出身者は多い

UXデザイナーはわかりやすく親和性が高いキャリアかなと思います。
「顧客視点を考える」と言った時、いわゆるユーザー体験を考えるスキルや、何が求められているかを明らかにする際、使うフレームワークやスキルは重なる部分はかなり多いです。
ただし、完全なイコールではありません。サービスデザインという観点で事業を作っていくには、体験設計を一部として考えながらサービス全体を作っていくスキルが求められます。

UIデザイナーやプロダクトデザイナー出身もいる、ただしやりたいことと合っているかは要確認

UIデザイナーやプロダクトデザイナーという、いわゆるサービスの中身の設計をやってきている方々も親和性があると言えるでしょう。
実際のプロダクトを作るときに自分で作ることができる、どう作ればいいのかわかるという実際のプロダクトの概要が決まってきてからは超強いです。この辺をやってきた人たちには実際やったことない私のようなデザイナーは敵わないなと思います。
ただし、あくまで弊社の話にはなりますが、しっかりと造形やUIに向き合って、どんなデザインや意匠がいいか、美しく使いやすい特質性のあるデザインは何かという「意匠と向き合う作業をする」という時間は全体の一部になります。
さまざまなものを作ってきた上で、サービスの中での表現を考えるだけでなくもっと上流をやりたい、と思った時に、UX(体験設計)の部分なのか、それともサービスや事業をそもそも考えたいということなのかを一度考えてみるのも良いでしょう。

事業開発経験者や事業担当者がサービスデザイナーになる

大手企業の中で実際に一つの事業を手掛け、担当として責任をもってやってきた人は、サービスデザインという分野でも経験を活かしやすいと思います。
事業立ち上げの経験があれば、実際に事業を前に進めていくためにはどのようなプロセスが必要で、意思決定を行うべきかという勘所があるはずですし、そのままそれを別のプロジェクトに転用していくことができます。もちろんデザイナーとして顧客視点をどのように入れていくか、どんな手法・視点で実現を行うべきかというスキルを獲得する必要はありますが、そういったスキルは世の中の本を読んだり誰かとプロジェクトをやりながら身につけていくことも可能でしょう。
事業運営に関しても上記と同じことが言えて、事業活動を行なっていくためにどんなことが必要かということが一通り体系的に経験できているというのは他に代え難い強みになると思います。

上記に3つほど例を挙げましたが、決してこれらだけが親和性が高いというわけではありません。
特にサービスデザインというのは、結構どんな経験も活きやすい領域だとは思います。少しでも親和性がありそうだなと思ったら選択肢に入れてみてもいいのではないかな、と思います。

NEWhのサービスデザイナーってどんなことしてるの

さて、私はNEWhの中ではリードデザイナーという役割を担っており、仕事としては「プロジェクトをメインで進めていく役割」という感じの立場です。
一つのプロジェクトに対してアサインされるメンバーイメージとしては

  • ディレクター(品質管理者)

  • プロジェクトデザイナー(進行管理、顧客管理、顧客の期待値管理)

  • サービスデザイナー(顧客価値担保)

  • ビジネスデザイナー(ビジネスとしての持続性担保)

みたいな感じでチームが組まれることが多いです。
多いだけで別パターンもありますし、サービスデザイナー2人の場合もあれば、エンジニアやUIデザイナーも一緒になって開発チームの意見も聞きながら上流設計をすることもあります。

NEWhに限った話で言いますと、リードデザイナーに求められるスキルとしては

  • MVP定義顧客体験の機会発見からプロダクトリリースまで

  • 各フェーズで市場機会の調査と顧客体験の「機会発見」「体験設計」「サービス全体像設計」をメンバーの中でも中心人物して推進できる

  • それをちゃんと顧客を含めたチームメンバーが共通認識として理解できるように説明できる

って感じだそうです。

基本的にはディレクターやプロジェクトデザイナーと話をしながら、大きなプロセスを組んでみて、各プロセスにおいて自分で考え方や適したフレームを作ったり、その中で分析をしてインサイトをコツコツ見つけていく、みたいな仕事の仕方が多いです。
ディレクターにレビューをもらってブラッシュアップをしながら、調査結果などに向き合って結論を作っていく、まさに正面向いてメンバーの一員としてプロジェクトの中身を作る、という役割ですね。

顧客調査をするときは自分でインタビューの設計からインタビュアーまでやりますし、事業コンセプトを作るときもプロジェクトメンバーとの議論や今まで作ったロジックををまとめながら上申資料を作ることもあります。

私は大学時代にデザインを学んでいたり、編集の経験があったりすることから自らの手でビジュアルを作ったりすることもできなくはないので、定量調査で使うUIのサンプル画像を自分でFigmaを使って作ったりすることもありますし、
一方で考えるべき事業の中心価値がどこにあるのかなど、現在ある情報を構造化し、情報を整理しながら議論したいポイントを抽出・編集していくということもあります。
この辺は、冒頭に書いていた「全然サービスデザインじゃない」経歴が活かされているなと思います。

まとめ:サービスデザイナーに向いている考え方

長々と書いてきましたが、言いたいこととしましては下記かなと思います。

  • サービスデザインはいろんなことの複合スキルなので、「サービスデザイン経験」なんてものがなくてもサービスデザイナーはできる

  • サービスや事業に今まで深く触れてきた経験があったりして、「顧客にとって本当にいいものがどういうものか」を突き詰めて考えたいと思っている人が向いてる

  • 経験は正直問わないけど、「これは本当に顧客が欲しいと思うのか」「それはなぜ欲しいと言えるのか」を突き詰めて考えることができ、その考えを論理的に表現できるスキルがあるとGOOD

  • その上で、いろんなプロジェクトに関わりながら、自身の携わったサービスを世に出して持続させていくことを喜びだと感じられる人は、サービスデザイナー合ってると思う

サービスデザイナーという職業に関して「自分こういうキャリアもありかも」と思ったら考えてみてね、というお話でした。
気になった方は是非NEWhの募集もご覧ください↓


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