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よんない遠州森町/歴史探訪④

はじめに

免許を手に入れたので、なかなか足を伸ばせなかった森町の寺社巡りに。もちろん町営バスや天竜浜名湖鉄道を使えば、公共交通機関を利用して行くこともできますが、車移動をおすすめします。遠州の小京都とも呼ばれる森町について実際に行った寺社、城跡を中心に書き綴っていきたいと思います。

名所紹介

①小國神社(おぐにじんじゃ)

 1月には初詣で賑わう小國神社。境内周りは森林に囲まれ、静かなひと時を過ごせます。御祭神は因幡の白兎で有名な「大己貴命(おおなむちのみこと)」、開山時期は定かではないものの、欽明天皇の御代16年(555)2月18日に御神霊が鎮斎されたと伝えられています。その際は裏手にある本宮山(標高511m)に鎮斎され、麓の社殿は後に作られたものとのことです。

本宮山山頂

ご利益は縁結び、厄除け、心願成就。縁結びの神木「ひょうの木」、願い待の池「事待池」などが。春の桜、初夏の菖蒲、秋の紅葉、初春の梅に加え、月ごとに各種、祭がありますのでどの季節に行っても楽しいと思います。

②大洞院(だいとういん)

 小國神社の先、さらに車で進むこと約10分。遠州三十三観音二番札所の大洞院があります。1411年、観音菩薩の教示を受けた恕仲禅師が場所を選定、禅師の徳に感じ入った室町幕府将軍足利義持が荘園を寄進したと伝えられています。

また、幕末期に活躍した侠客森の石松の墓がある寺としても知られています。

しかしながら、こちらは後に再建されたものです。昭和18年にここ大洞院に移転されたのですが、昭和30年頃から彼の墓の石を持っていると「勝負強くなる」「商売繁盛」とのうわさが広まり、彼の墓とわからないほどに削られてしまったためです。売店では勝運守などが売られており、受験生らにも人気なようです。

③天宮神社(あめのみやじんじゃ)

 大通りに面し、森町中心部近くに位置する天宮神社。欽明天皇の時代に宗像の三女神、田心姫命(たごりひめのみこと)湍津姫命(たぎつひめのみこと)、市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)を鎮斎したことがはじまりとされています。彼女たちは2017年、世界遺産登録された沖ノ島にも祀られています。

ご利益は交通安全、縁結び、子育て、長寿などさまざまです。境内には国文学者佐々木信綱


天の宮 神のみ前を かしこみと 千歳さふらふ なぎの大樹は

と詠んだ、ご神木「なぎの木」があります。


④極楽寺

712年頃、行基によって開山された極楽寺。遠州三十三観音の三十三番札所で

極楽の ゆく人の乗る 紫の 雲の色なる あじさいの花

と行基が読んだように、通称あじさい寺と呼ばれるほどあじさいが有名です。参道脇にはあじさいの株が数多くあり、シーズンに来たらきれいだろうなと感じました。参道脇には真っ赤な金剛力士像。

当時の彩色を再現した極彩色のものは見たことがありましたが、このような色は初めて見ました。

⑤天方城址

森町中心部からやや外れ、車が1台なんとか通れるほどの細い山道を登った先に天方城址があります。城址といっても石垣など往時をしのぶものは何も残っていません。ただ堀跡であろうと思われる地形があるのみです。


また、この城がいつ築城されたのかもはっきりしていません。応永年代にはこの地に存在し、今川方で徳川家康に対して抵抗を試み、後に徳川家康の支配下に入ったと伝えられています。

⑥蔵雲院

天方城跡から歩いて2.7㎞、下山して車で走ること約10分。天方氏の菩提寺であり、天方城主三代(誰の墓であるかは不明)の墓が残る蔵雲院です。普段でしたら本堂に入ることもできるのですが、折悪く法事を執り行っており中に入ることはできませんでした。虚空蔵菩薩、虎絵が有名だと聞いていたのですが、こればかりは時の運、仕方ないことですね。

あとがき

「よんない」とは森町の方言で「ようこそ」でしょうか。私も遠州の出身ではあるものの、このような言葉は初めて目にしました。私の出身地の言葉で同じ意味を表す方言を挙げるならば、「おいでん」でしょうか。
 およそ二か月ぶりのノート執筆、投稿。当時は一週間に一本書こうと息巻いていましたが、書きたいタイミングでこれからはのんびりと書いていこうと思います。今回は森町の魅力を多くの人に伝えたいと記事を執筆しました。
 森町に限らず、遠州地域は今川氏、武田氏、徳川氏の三氏が争った地でもあるために歴史と伝統ある地域です。寺社、城跡、豊かな自然。都会の喧騒から離れ、リフレッシュするには最適な地域だと思います(地元ひいき)。ぜひぜひ足を運んでみてください。


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