セブンスターの香り

記憶の中で最後に残るのは匂い
と、よく風の噂で耳にしますが皆さんどうでしょうか。
高確率であまり香水をつけない人に出会うので、
自分の中で忘れられない最後の匂いというのであれば
それはセブンスターの副流煙の香りです。

多分、彼本人が好んで吸っていた物ではなくて
貰い煙草で吸っている彼があたしの目には悪い男に写っていました。

あたしはそれから2年が経って、20歳の誕生日を迎えた

最初に吸う紙煙草はセブンスターだと決まってた
たしか14mmだったかな、パケがそうだった記憶。
あのときのことをあたしは思い出すのかな、とかいろんなこと考えながら一本の煙草に火をつけた。
大学で昼間の喫煙所で吸ったからなのかもわからないが
思ってた通りの普通の煙草の味で少し残念だった。
一本吸い終えて、ほんのり衣服や髪についた匂いがあのときのあたしが香ったもので懐かしく感じた。

彼の中でもし、仮にでもあたしのことを匂いで
記憶してるのであればその最後の匂い、それは
&honeyのピンクのシャンプーの香り。

酔っ払って横になった彼とその隣で寝そべるあたし。
いい匂いする、シャンプーの匂いかな　と貴方が
あたしに言ったんだよ、覚えてないよね。

その人の香りでで思い出すことがないのに、あたしは
暫くの間その香りのシャンプーを使っていた。
あの日の、あの夜のことを考えながらbacknumberの
世田谷ラブストーリーを聞きながら涙ぐみながら。
いつだってあたしは誰かを思って何かの香りがしては
少し寂しい気持ちになる。

大人になってもずっと、四季それぞれのの匂いが初めて分かったときのような心がじんわりする気持ちを大切にしたい。
喜怒哀楽以外の別の何か特別な感情が心に用意されてるとするのならば、上記のじんわりな感情であると思うし、あたしは少しでもこんな眩しい過去もあったなと
前向きに捉えらるくらい落ち着いてたらいいな。

一箱吸い切るまでの間、一本5分くらいの時間、
あたしは彼のことを考えながら吸うのかな。
大好きな映画を何回も見返すようにあたしは彼との
2週間ちょっとの時間がとてもお気に入りなので、
セブンスターを吸いながら暫く記憶の中で
繰り返し見返すことにしてみようと思う。