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もうあかんわ日記/岸田奈美

#読書感想文の秋に投稿するつもりで買ったけれど、季節は冬になっていた。1冊読んでは5冊買う、積読が溜まっていく毎日。

私は、岸田奈美さんの、真っ直ぐで、誰も傷つけない言葉がとっても大好きだ。人を救う言葉を人に与えるより、人を傷つけないような言葉を話す方が、ずっと大事でやり遂げるには難しいことをこの本で学んだ。他者に傷つけられた記憶は覚えていても、自分が誰かを傷つけた記憶はすぐに忘れてしまうし。

「気持ちを理解しようとする謙虚さは必要だけど、気持ちを理解できるという高慢さは捨てなければ。」本文より。自分の無力さを分かっているからこそ、人に向き合えるのだと思う。

社会の仕組みは複雑で、マイノリティは肩身が狭く、病気は人を選ばない、生きづらい世界。誰かに弱音を吐いて、悲劇を喜劇にして、文章にして、前へ前へと歩み続けていくことの繰り返しに、ほんのちょっと良いことがあり、当たり前に幸福を感じ、その繰り返しで人生が続いていく。私も「もうあかんな」と嘆きながら、明るく生きていきたい。

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