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「当事者意識」を地域に持てる幸せ?

※この文章は小高幻流に掲載している寄稿文に一部加筆修正を加えたものです。

国連の2018年世界幸福度報告書では、日本の主観的幸福度は54位と低位だった。それはなぜなのか?  神戸大学・同志社大学の研究によると、所得や学歴よりも「自己決定」が幸福感に強い影響を与えているそうだ。

自己決定とは、進路や人生の決断を自分の考えで行ったか、それとも周囲のすすめで決めたかということだが、個人的には決定をしてきたかどうかよりも「周囲の環境を自分の決断で変えていくことができる」と思えるかどうかが幸福度にとって重要な影響を与えているように思う。  

小高は震災による外的な力によって避難生活を余儀なくされた。解除後の生活も、自分たちの力ではどうしようもないと思えるような課題が多くあると感じていると思う。その意味で、小高の生活は自己決定の感覚を得にくいと言えるかもしれない。しかし、考えてみてほしい。どうしようもないと思っていることは本当にどうしようもないのだろうか?  

この地で根ざそうとがんばっている地域の商店などに対して、品揃えや品質に厳しい意見を言う声をよく聞く。たしかにそういう側面もあるし、私自身もまだまだ努力しなければならないと思う。

しかし、一方でそう思ったときにその声を当事者や行政にきちんと届けたり、具体的な改善方法を提案したり、より良い仕入先を代わりに開拓した人はどれくらいいるのかというと、せいぜい「言っただけ」の人がほとんどだろうと思う。  

私の前の会社では「他責NG」という行動指針があった。読んだ通り「他人の責任にするのはNG」というのを縮めただけであるが、非常に含蓄のある指針であると思う。これの本質は「他人のせいにしない」ことではなく「他人の責任だと考えていることも、自分の責任領域として考えて、行動してみる」ことにあると私は考えている。

こんな小さな町だ。一人の意見や考えをしっかり行動に移していければ、地域はどんどん変えていくことができる。だから、どうか他人行儀にならずに当事者意識を持って取り組んでいってほしい。 「この街は自分の力で変えていける、良くしていけるんだ」という自信と誇りこそが、環境面でも精神的にも、地域の幸福な暮らしにつながると考えるから。

自分の責任で考えるということは、ときにとてもしんどいことであるし、結果が伴わなかったらどうしようという恐怖もあるから、みんななかなかできないのだ。だから、みんなで取り組み、それを文化として定着し、「挑戦し、失敗することもあるのが当たり前」という風土を作っていくことが大事だと私は思う。「『自助 > 互助 > 共助 > 公助』というこの順序を守っていこう」という声が地域の重鎮たちから聞こえてくるこの地域なら、きっとそれができると思う。

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