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Vol.14 不妊治療の一環としての「良質な睡眠」

東京都港区北青山にあります不妊治療クリニック「表参道ARTクリニック」です。(ホームページ:https://omotesando-art.jp/

こちらのnoteで生殖補助医療(ART: Assisted Reproductive Technology)やその周辺の分野をご説明する中で不妊について疑問、不安、お悩みをお持ちの方が「そうなんだ!」と理解できる機会をご提供できればと思っています。

※こちらのnoteに記載の内容は一部ですので、詳細はクリニックにてお尋ねください。


不妊治療を始めるもしくはすでに取り組まれている中で、「赤ちゃんを授かるために日ごろから出来ることはやっていきたいけれど、何から始めたら良いのか分からない」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
日ごろから取り組める、反対に言えば通院だけではなかなか変えられない点として重要なのが皆さん自身の健康です。

健康が大事ということは理解できるものの、不妊治療と結びつかない、何をすればよいかわからないという方も多いかと思います。
こちらのnoteでは健康的な生活が妊娠とどのように結びついているのか、それを踏まえてどのようなことから始めると良いのかをご説明させていただきます。

こちらでご説明している内容をやらないと妊娠しないというわけではありませんし、絶対に健康的な生活をしなければならないという気持ちがストレスになってしまうと、結果として健康にもマイナスの影響が出てしまうかもしれません。
ご自身のライフスタイルに合わせながら出来ることから徐々に始めてみてください。

健康のために必要な要素はたくさんありますが、簡単に説明すれば、良質な睡眠を十分取り、バランスの良い食事をしながら、適度に運動するということになります。不妊治療に取り組まれている方に限らずいえることです。
今回は特に【睡眠】についてお話させていただきます。

●睡眠の重要性

不妊治療に取り組まれている方に限らず、睡眠は健康のために非常に重要です。慢性的な睡眠不足はホルモンバランスや自律神経の乱れにつながり、それらが肥満、高血圧、脂質異常などの生活習慣病のリスクを高めることになります。
さらに不妊治療に取り組まれている方に関して言えば、妊娠に関わる女性ホルモンが深い睡眠をしている時に分泌されるため、深い眠りを日常的に取れているかどうかは、さらに重要性が増します。
女性ホルモンが体にどのような影響を与え、それがどのように妊娠につながるかは下記noteをご参照ください。

https://note.com/omotesando_art/n/n75facb525c85


また、睡眠不足による悪影響は女性だけでなく男性にも起こると言われています。
睡眠不足が精子の数・質に悪影響を与えている可能性があるため、妊娠を目指される場合は男女共に睡眠が重要な要素になります。

睡眠と妊娠の両方に関係する要素としてメラトニンというホルモンがあります。
メラトニンは体内時計に影響を与えて、正常な場合は夜になると分泌され、睡眠に導く働きがあります。
反対に、日中は分泌が止まり体を覚醒状態にします。
このメラトニンは抗酸化作用があると言われており、卵子を保護して、受精率や妊娠率の上昇に寄与する報告があります。
規則正しい生活を取ることでメラトニンが正常に分泌され、それ自体が卵子の質の向上や、スムーズな入眠につながります。
そして速やかに入眠して質の高い睡眠を十分とることで、ホルモンバランスが整うことにつながります。

●良い睡眠とは

それでは健康的な生活を目指すうえで取るべき睡眠とはどんなものでしょうか。
睡眠の要素としては量(=睡眠時間)と質(=睡眠の深さ)があります。
量については一般的には7-8時間の睡眠が推奨されていますが、個人差があります。
また、仕事やライフスタイルの関係で常に十分な量を確保することはどうしても難しいという方も多いかと思います。

その中で重要になってくるのが、睡眠の「質」です。
単純に睡眠の効果を上げるためにも重要なことですが、前述のとおり、深い睡眠時に女性ホルモンは分泌されるので、不妊治療に取り組まれている方にとってはさらに重要な要素となります。
深い睡眠に入れている=良質な睡眠ということになりますが、なかなか定量的に測る機会はないと思うので、まずは朝起きた時にすっきりと目覚めることが出来ているかから確認してみてください。

●良質な睡眠をとるためには

それでは良質な睡眠を取るためには何をすれば良いのでしょうか。
睡眠の量を増やすことは、夜早めにベッドに入ることで解決できますが、質を高めるといっても何をすれば良いかわからないという方が多いかと思います。

睡眠に関してはまだ様々な研究が行われている段階で、一概にこれが万人に共通した睡眠対策であると言えるものはありませんが、以下のような要素が現状では重要と言われています。

・日中は体を覚醒させ、夜になるとともに刺激を減らす
・日常的に体内時計のリズムを保つ(=規則正しい生活をする)など

●覚醒のスイッチを切り替える

ヒトは日中は覚醒状態で活動し、夜になるとともにリラックスした状態になり、入眠に向かっていきます。
この流れをきちんと作るためには、日中は覚醒した状態を保つことと、夜は可能な限り覚醒を促す刺激を避けて、リラックスした状態を作ることが重要です。

刺激には様々なものがありますが、代表的なものとしては光があります。
光は体の覚醒のスイッチを切り替える大きな要因です。一般的な睡眠の質を上げる方法として、朝は起きたらすぐ日光を浴び、夜寝る前はスマートフォン等の液晶画面を近くで見るのを避けることが推奨されているのはこのためです。
メラトニンの分泌も光によって調整されるため、日中は暗い部屋でダラダラせずに日光を浴びるようにして、夜寝る前は可能な限り、暗めの空間で過ごすことが推奨されます。
いきなりスマートフォンやパソコンを見ないのは難しいという方もまずは画面の明るさを調整するなどから始めてみてはいかがでしょうか。

光のほかにも、カフェインや激しい運動などは覚醒につながるため、寝る前は避けるべきものになります。反対に朝はその後の活動に影響を与えない範囲で組み込むと、速やかな覚醒につながります。

●規則正しい生活

日中は体を覚醒させ、夜中はリラックスした状態に持っていくということは、始めた瞬間に効果が出る方は中々いらっしゃらないと思います。
しかしながら毎日できる範囲で取り組んでいくことで、体が夜中は寝るモードに入り、日中は活動するモードに入ることを覚えていくので、可能な限り規則正しい生活を送りながら、夜中は入眠・睡眠の刺激になるようなことは避けるよう取り組んでみてください。

●最後に

妊娠と睡眠の関係性および睡眠の質の向上のために出来ることを簡単に説明させていただきましたがいかがだったでしょうか。
睡眠自体も、睡眠と妊娠との関係性もまだ研究段階の部分も多いですが、睡眠の質と量を向上させることが、体にとってマイナスの影響をもたらす可能性は低いです。
睡眠は毎日行う行為なので、まずは出来るところから改善を図り、妊娠につながる健康的な体作りを目指してみるのはいかがでしょうか。

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『不妊治療』と検索すると様々な情報であふれかえっていて、何が正しいのか?何が自分に合うのか?と不安になってしまいますよね。
まずはどのような治療方法があるか、ご自身にどのような治療が必要なのか、それにはどの程度の経済的な負担が見込まれるのかを正しく認識するうえでも、妊娠を希望されている方には医療機関への受診をお勧めします。
専門医に相談することで今まで抱えていた不安も少しずつ解消されることと思います。
その上で妊娠に向けて適切な検査や治療を医師や家族と相談しながら安心して進めてきましょう。

表参道ARTクリニックでは、30年以上不妊治療に携わってきた二村院長が今までの経験を踏まえ患者様一人ひとりに合わせた治療を行っております。
検査や治療に対しての必要性や費用の説明を医師が行いますので、患者様にとって安心して通えるクリニックであると思います。
様々な治療方法を提案し、患者様にも納得いただいた上での治療を行い、少しでも早く妊娠していただけることを目指しております。
「自分には不妊治療が必要かな?」と考えたら、まずは気軽にご相談にお越しください。


表参道ARTクリニック
表参道駅徒歩1分の不妊治療クリニック。
30年以上の経験を持つ院長が必ず診察いたします。
人工授精、体外授精、顕微授精などの治療に幅広く対応し、患者さん一人ひとりが納得できる治療法をご相談、ご提案します。

■こちらのnote
不妊治療を検討されている方、現在不妊治療を進めていらっしゃる方々の不安、疑問が少しでも解消するように、不妊治療にかかわる情報を発信しています。
こちらのnoteに記載の内容は一部ですので、詳細はクリニックにてお尋ねください。

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