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Vol.9 月経周期の間に何が起こっているの?

東京都港区北青山にあります不妊治療クリニック「表参道ARTクリニック」です。(ホームページ:https://omotesando-art.jp/

こちらのnoteで生殖補助医療(ART: Assisted Reproductive Technology)やその周辺の分野をご説明する中で不妊について疑問、不安、お悩みをお持ちの方が「そうなんだ!」と理解できる機会をご提供できればと思っています。

※こちらのnoteに記載の内容は一部ですので、詳細はクリニックにてお尋ねください。

月経周期における身体の変化

皆さんは女性が月経周期(約1ヶ月間)の間に何が起こっているかご存じでしょうか。
基礎的な知識はお持ちでも何が身体の中で起こっており、それがご自身の体調や妊娠の可能性にどうつながるのかと聞かれると、はっきりと答えられる方ばかりではないと思います。

月経周期における身体の変化を知ることで、妊娠確率が高い時期、低い時期のメカニズムを把握することにつながり、また身体の変化の原因をおぼろげながらも把握することにつながります。

初めに、1回の月経周期の中で4回身体に変化が起きていることはご存知でしょうか。
それらの4つとは卵胞期・排卵期・黄体期・月経期で構成され、約25~38日の間で1周するのが正常範囲といわれています。
上記4つの中で夫婦生活をして妊娠することができるのは2番目の排卵期のみとなります。(約5日間)
それ以外で夫婦生活を行ったとしても精子が子宮の中に入っていくことはありません。

各期で身体の中と外にどのような変化が起きていて、妊娠にどのように繋がるのかをご説明するにあたり、重要な4つのホルモンについて知っていただく必要があります。
月経周期の各期の違いはこれらのホルモンの働きが大きく影響しているためです。

ホルモンの役割

・卵胞ホルモン (エストロゲン)
排卵の準備をするホルモンで、子宮頚管粘液の分泌や子宮内膜の増殖などの働きがあります。また、脳に作用して卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモンの分泌に影響を与えます。

・黄体ホルモン (プロゲステロン)
黄体とは、黄色の顆粒状の色素を含む細胞のことで、排卵後に卵胞が変化したものです。
卵胞から分泌され、子宮内膜を厚くし受精卵が着床しやすい状態を作ります。妊娠を準備するホルモンといわれ、脳に作用すると安静を促します。

・卵胞刺激ホルモン (FSH)
卵巣を刺激することにより卵胞を成熟させます。

・黄体形成ホルモン (LH)
卵巣に働きかけて排卵を誘発し、排卵後の卵子が黄体ホルモンの分泌を促す作用も持ちます。

上記4つのホルモンは妊娠においてとても重要な働きを担っています。

それではホルモンについて理解していただいたうえで月経周期の各期について1つ1つご説明いたします。

★月経期

子宮内膜がはがれ落ち、体外に排出される時期
正常な月経期間は3~7日間です。平均すると期間は5日間とされています。
黄体の寿命は個人差がほぼなく、だいたい2週間です。
そのため着床が完了しなかった場合、排卵の12日前後から退縮し始め、黄体ホルモンも分泌されなくなっていきます。
黄体ホルモンによって維持されていた子宮内膜は、はがれ落ち、血液と共に体外へ排出されます。
これが月経の始まりで、月経周期の1日目となります。

~月経期の身体の変化~
からだ:気分にムラがあり、神経過敏になることも
基礎体温:低温期へ
肌:不安定、水分や栄養素などが不足しがち
ホルモン:黄体ホルモンが消失


★卵胞期 

卵胞が成長する時期
月経が終わるころから1週間程度で、卵子のもととなる卵胞が成熟するための期間になります。
月経周期のはじめに、卵胞刺激ホルモンがわずかに上昇し、それが刺激となって、卵巣でいくつかの卵胞が成長を開始します。
卵胞期後半には、卵胞刺激ホルモンが低下するにつれて、卵胞のうち1つだけが発育を続けて成熟していきます。
成熟卵胞からは卵胞ホルモンが分泌されるため、その影響で子宮内膜が少しずつ厚みを増していきます。

~卵胞期の身体の変化~
からだ:心身ともに安定、活動期
基礎体温:低温期
肌:皮膚の水分量が高まり、肌の状態が安定
ホルモン:卵胞から卵胞ホルモンが分泌
おりもの:徐々に増える

★排卵期 

卵巣から卵子が出ていく時期
月経予定日の16日後を排卵日として、生理周期14~18日目までが排卵予定日です。2~3日のズレを想定して約5日間となります。
卵胞刺激ホルモンにより十分に育った卵胞は、直径約20ミリになります。
このころ、卵胞刺激ホルモンの分泌を抑えさせ、その代わりに大量の黄体ホルモンを分泌し卵胞の成熟を促し、これが排卵のトリガーになります。
これをLHサージ(黄体ホルモンの大放出)といい、この約36時間後に排卵すると言われています。

~排卵期の身体の変化~
からだ:腹痛や不正出血、下痢症状を起こす場合も
基礎体温:低温期から高温期への移行期間
肌:肌荒れを起こすことも
ホルモン:大量の黄体ホルモンが分泌
おりもの:卵胞期よりさらに増える

★黄体期

胚が子宮へ着床していく時期
排卵期の後から次の月経までの2週間程度で基礎体温が低温期に比べて0.3~0.6℃上昇します。
卵子が排卵された後、卵巣に残された卵胞には、まだ仕事が残っています。
卵胞は黄体形成ホルモンによって、黄体ホルモンを分泌するようになります。
この作用により卵胞ホルモンによって厚くなった子宮内膜は、さらに着床しやすい状態に整えられます。
そして妊娠が成立すると、黄体は妊娠黄体となって黄体ホルモンなどのホルモンを分泌し続け、妊娠初期を支えます。

~黄体期の身体の変化~
からだ:腹痛、腰痛や乳房のはり、眠気やイライラ、体重増加、むくみ、便秘などを起こすことも
基礎体温:高温期
肌:不安定で肌荒れを起こす人も
ホルモン:黄体ホルモンが分泌

まとめ

月経周期の身体の中で起きている変化と、自身が感じるからだの変化についてご説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
このように女性のからだは常に妊娠をするための準備をしています。
「妊娠」はごく自然に訪れると思われがちですが、実はいろいろなタイミングが重なり合ってもたらされるものです。
そして、女性とパートナーの人生を大きく変える出来事ともいえます。
そろそろ赤ちゃんが欲しいと思っている方も、「いつかは欲しい」と考えている方も、正しい知識を得ることで、それらのタイミングをある程度コントロールすることにつながります。

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『不妊治療』と検索すると様々な情報であふれかえっていて、何が正しいのか?何が自分に合うのか?と不安になってしまいますよね。
まずはどのような治療方法があるか、ご自身にどのような治療が必要なのか、それにはどの程度の経済的な負担が見込まれるのかを正しく認識するうえでも、妊娠を希望されている方には医療機関への受診をお勧めします。
専門医に相談することで今まで抱えていた不安も少しずつ解消されることと思います。その上で妊娠に向けて適切な検査や治療を医師や家族と相談しながら安心して進めてきましょう。

表参道ARTクリニックでは、30年以上不妊治療に携わってきた二村院長が今までの経験を踏まえ患者様一人ひとりに合わせた治療を行っております。検査や治療に対しての必要性や費用の説明を医師が行いますので、患者様にとって安心して通えるクリニックであると思います。
様々な治療方法を提案し、患者様にも納得いただいた上での治療を行い、少しでも早く妊娠していただけることを目指しております。「自分には不妊治療が必要かな?」と考えたら、まずは気軽にご相談にお越しください。


■表参道ARTクリニック
表参道駅徒歩1分の不妊治療クリニック。
30年以上の経験を持つ院長が必ず診察いたします。
人工授精、体外授精、顕微授精などの治療に幅広く対応し、患者さん一人ひとりが納得できる治療法をご相談、ご提案します。

■こちらのnote
不妊治療を検討されている方、現在不妊治療を進めていらっしゃる方々の不安、疑問が少しでも解消するように、不妊治療にかかわる情報を発信しています。
こちらのnoteに記載の内容は一部ですので、詳細はクリニックにてお尋ねください。

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