現代サッカーにおける両サイドバックの重要性とNZ戦、ハイチ戦に見る日本代表の現状

 3−3に終わったハイチ戦後、「私は監督を長くやってきましたが、こんなに内容が悪い試合を見たことはない」と吐き捨てたハリルホジッチ。だが、その4日前のニュージーランド戦(2−1)も、かなりひどい内容だった。2得点のうち1点はPK。相手DFの手に、山口蛍のミドルシュートが当たって得たものだが、そのシュートが向かった先は、GKの正面だった。

 相手の力、そしてニュージーランド戦を従来のスタメン組で、ハイチ戦をサブ組で戦った事実を考慮すれば、むしろ引き分けたハイチ戦の方に救いはある。「こんな試合は初めてだ」と、ハイチ戦の不出来を強調すれば、苦戦したニュージーランド戦の悪い印象は、ともすれば薄れがちだ。ハイチ戦に気を取られすぎていては本質を見誤る。

 ハイチ戦。相手の守備がガタガタだったので褒めすぎは禁物だが、その前半の戦いに限れば、むしろニュージーランド戦を上回っていた。

「サッカーはサイドバックが活躍した方が勝つ」

「現代サッカーのキープレーヤーはサイドバック」

 これは、欧州取材を通して多くの監督、評論家から聞かされた見解だ。最近の顕著な例は、パリSG対バイエルン戦(チャンピオンズリーグ第2週)におけるダニ・アウベスだ。パリSGの3ゴールすべてに絡む大活躍。パリSGの勝利は、彼の存在なしには語れなかった。

 ハイチ戦に臨んだ日本代表では、前半、長友佑都、酒井高徳が活躍するシーンがよく目についた。

 ニュージーランド戦に右サイドバックとして先発した酒井宏樹は、倉田秋の決勝ゴールにアシストとして関わったが、左の長友に比べ、味方選手と高い位置で絡むシーンが少なかった。基本ポジションの低い、いわば専守防衛的なスタイルを取った。一方の酒井高徳は、浅野拓磨、小林祐希らとよく絡み、自らも、際どく外れる惜しいシュートを放っていた。

 左で乾貴士、倉田秋とよく絡んだ長友も上々のデキだった。倉田の先制点を生んだ、ゴールライン際からのマイナスの折り返しに限った話ではない。2試合続けて先発を飾るに相応しいキレのあるプレーをした。

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