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75年目の終戦の日を米英はどう報じたか_週刊 表の雑記帳 第二十頁

 日々のことはtwitter参照。

 さて、終戦の日から一週間が経ち、少し落ち着いたところで、この日が米英でどのように報じられていたかをまとめておきたい。

米Fox「日本は悪、原爆で戦争終結」

 まずは米国のFox Newsから。"UK, Japan, President Trump mark 75th anniversary of V-J Day"と題した記事を掲載していた。V-J DayというのはVictory over Japan Dayのことで、つまり米英から見れば日本に勝利した日、我々から見れば敗戦の日だ。記事の内容としては、基本的に各国の元首が声明を発表したことを報じるもので、英国のエリザベス女王、日本の天皇陛下、米国のトランプ大統領が取り上げられている。概ね抑制的なトーンで書かれているが、やはりところどころ米英側の主張を織り交ぜている。

 例えば天皇陛下が全国戦没者追悼式にて述べられたお言葉について。記事では天皇陛下が「戦時中の日本の行動に深い反省を述べた」ように書かれているが、実際の陛下のお言葉の該当部分は以下の通り(こちら)。

ここに、戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります

 どちらかと言うと、戦争に至ってしまったことそのものに対する反省と捉える方が正確であるように思える。先の大戦で日本軍は悪いことをしたと印象付けたい意図が透けて見えるようだ。

 又、安倍総理が追悼式にて謝罪の言葉を述べなかったことを特筆すべきことだとし、不満そうに触れている(安倍総理の式辞はこちら)。チャイナや韓国を代弁しているつもりなのかもしれないが、謝罪と言うならば米国こそ我が國への大規模空襲や原爆投下により市民を大量虐殺した自国の戦争犯罪について謝罪するべきであろう。しかしこの記事ではそれどころか、広島と長崎への原爆投下がきっかけで日本が降伏したと相変わらず原爆投下を正当化している始末。

英BBC「靖國についての誤認、原爆の正当化」

 次はBBCの "VJ Day: Japan marks 75 years since end of WWII"と題した記事。こちらもFox Newsの記事と同様に、天皇陛下が全国戦没者追悼式にて戦時中の日本の行動に深い反省を述べたと書く。更に四名の閣僚が靖國神社に参拝したこと、安倍総理が玉串料を納めたことに触れ、チャイナ・韓国との摩擦を強調。それだけに留まらず、これらのことが、日本の指導者たちは反省していないというチャイナ・韓国の立場をより強化すると彼らの立場を代弁。

 しかしここで一番問題なのは、靖國神社について、A級戦犯にも触れながら、さも問題があるかのように記述している点。"war criminals" 戦争犯罪者という表現の仕方をしているが、そもそもそのように判決した東京裁判が正当な司法手続きであったのかという議論は置き去りのままだ。そこに触れないことにより、自分たちが行った不当な裁きを半ば隠蔽している。そしてこの記事もFox Newsのそれと同じく、広島と長崎への原爆投下が戦争を終わらせたかのような印象を作り原爆投下を正当化している。

BBC東京特派員、偏った日本観

 BBCからはもう一報取り上げる。"VJ Day: A WW2 hero and a reckoning with Japan's past"と題されたこの記事は、小野田寛郎を例えとして使いながら、安倍総理率いる日本は異常な国であるという論調の、控えめに言って悪意のあるものになっている。祖父の岸信介と似た考えの安倍総理は平和憲法を破壊しようとしている、と日本の左翼と同じような論調だ。日本会議まで持ち出して、安倍総理、麻生副総理、小池都知事も会員だ、と書いているが、正確には三名とも日本会議国会議員懇談会の会員であり、小池都知事に至っては既に国会議員ですらないので現在は会員でもないであろう。これは虚偽の記載と言っても過言ではないのではなかろうか。

 又、その他にもこの記事では、例えば昭和天皇を米国の傀儡と表現したり、全く文脈と関係ないところで朝香宮鳩彦王を突如として登場させいまだ論争が続き史実とは言えない南京の話を挿入したり、東京裁判を正義のように描写する一方で連合側の戦争責任・戦争犯罪については一切触れなかったり、チャイナや韓国へ日本が繰り返してきた謝罪に誠意がこもっていないと、まさにチャイナや韓国が使う論法そのままで彼らの立場を代弁したりと、とにかく日本を侮辱し貶めたい気持ちが伝わってくるものになっている。

 この記事を書いたRupert Wingfield-HayesというBBCの東京特派員、どのような人物なのかと思って名前を検索してみると、8月15日に以下のtweetをしていた。

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 戦争で命を落とした先人たちの犠牲の上に今日の平和と繁栄がある。これの何がそんなに気に食わないのだろうか。これが何故日本が戦争に負けたことを無視していることになるのだろうか。もしかしたら、これが戦争を美化しているようにでも聞こえているのだろうか。そうだとしたら、随分と穿ったものの見方をなさる方のようだ。BBCも大丈夫なのだろうかと心配になってくる。

日本は日本の立場を世界に伝えよう

 米英が上記のように先の大戦を報じるのは、ある意味では当然で理解可能である。それが彼らの立場であり歴史認識だからだ。それに対して、我が國も己の立場と歴史認識をしっかりと世界に向けて発信するべきであるし、連合側の戦争犯罪については臆せず追及するべきである。米国は現在我が國にとって最も重要な同盟國であり、英国も深く連携すべき重要な國である。何も今になってこれらの件で争おうという話ではなく、公平にお互いの立場を述べ合えるようでないと真の信頼関係は築けないし、そうしたことが寧ろ更に連携を進化・深化させることに繋がると信じるためである。責任と誇りのある国際社会の一員として、しっかりと立ちたい。

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