神がいる場所
バンコクの神は辻にいて、ミャンマーの神は丘にいて、ラオスの神は森にいて、東京の神は岬にいる。
バンコクの神は辻にいる
バンコク中心地、ショッピングセンターが集まるラーマⅠ世通りとラーチャダムリ通りの交差点には、昔からエラワンの祠があって外国人にとっての観光ポイントにもなっている。 交差点を挟んで反対側の伊勢丹デパートの前にも祠があって、恋愛にご利益があるということで地元の若者でにぎわっている。
下の写真は地下鉄フアイクワン駅の真上にある祠。 ここも幹線道路の交差点、正真正銘の辻である。夜中1時過ぎにもかかわらず、多くの人がお祈りしていた。ここに祀られている神は象や蛇の姿をしていて、仏教というにしては土着っぽい。
なにはともあれ、バンコクの神は辻にいるようなのである。バンコク観光するなら、仏教の寺院を巡るより、辻の祠を巡るのがおもしろそう。
ミャンマーの神は丘にいる
ミャンマーじゅういたるところにパゴダ(仏塔)があるが、丘の上に特に集中していて、信仰の対象になっている。
辻にいるバンコクの神は動物の姿をしていて、ラオスの神は目に見えなくて、岬にいる東京の神はどちらかというとお化けだが、それらに比べて丘にいるミャンマーの神は仏そのもののように見える。
ポッパ山(バガン郊外) ザガイン・ヒル(マンダレー郊外)
ラオスの神は森にいる
左写真の鳥居の奥に明らかに人が掘った丸い穴が6個あった。村の子供達が案内してくれた。上はともにアカ族の村。でも、だいぶ離れている。
東京の神は岬にいる
東京タワーは岬の先端にあるのである。今は海岸線から離れているが、かつてそこは岬の先端だった。そういうところには魔物が住んでいる。そして、聖なる場所なのである。
だから、人を引き寄せるのだ。それが、東京タワーの人気の秘密である。
東京タワーの北側は東京タワーの敷地と同じ高さだが、東と西と南側は土地が下がっている。東京タワーを挟んで南北に走る日比谷通りと桜田通りが今ある場所は、かつて入り江だった。
東京タワーのすぐ南隣に小さな祠がある。その昔、そこが岬の突端だった。だから、今でも祠があるのだ。
その裏は崖だ。その昔、そこに波が打ち寄せていた。その先に東京湾が広がっていた。東京タワーの近くを歩いてみると、わかる。
そういう場所だから、東京タワーは今でも一種独特な空間なのである。東京タワーに行くなら、展望台に登るよりタワーの足元に立つ建物の中を散策する方が面白い。そこに魔物が生きているからである。そして、今どきこんな場所は他のどこにも残っていないからである。
土産物売場(左上)、屋上遊園地(右上)、ろう人形館(左下)、似顔絵師(右下)、現代的な感覚では、なぜこういうものが東京のど真ん中にあるのか、不思議なものばかりである。
これが東京タワーの魅力である。あの場所が持つ魔力である。我々の中に息づく縄文の記憶を呼び起こしているのである。
東京スカイツリーにこの力は無い。ありえない。あそこは海の底だったからである。
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