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チャイナ・アルプス

チベットの空気

 チベットと聞いて、みなさんはどのエリアを思い浮かべるでしょうか? ラサ(拉薩)とその周辺、もしくはチベット(西蔵)自治区という中国の行政単位を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?
 私はもっと広い範囲を想定します。東は四川省・雲南省の一部を含み、北は青海省の一部を含み、西はインド北部のヒマラヤ山脈のさらに北側(インド領)を含むエリアです。つまり、標高でいうとおよそ3,000m以上で、チベット人が住むチベット仏教圏がチベットだと私は思っています。
 その広い意味でのチベットの中で、私のお薦めは南側と東側です。南側のインド領のエリアは ラダック と呼ばれています。東側の四川省・雲南省の辺りを私は勝手に チャイナ・アルプス と呼んでいます。
 ラダックには、中国のチベット自治区(独立運動を抑えるために弾圧もあり、漢民族も多く移り住んでいる)より昔ながらのチベット文化が残っています。しかもそのエリアは隣国パキスタン・中国と領土問題を抱えているために軍用道路が整備されていて、へき地の割に旅行しやすい。デリーから飛行機または(頑張れば)バスで行けます。
 チャイナ・アルプスの良さは、何といっても日本から近いことです。四川省の省都・成都から西・北・南方向にバスで5時間も走れば、そこはもうチベットです。あるいは雲南省の省都・昆明から大理→ 麗江 → 香格裏拉(シャングリラと読む。中国政府が正式に命名した)と観光地を辿りながらチベットに行き着きます。

 ところで、最近ずっと標高の低いところにいて、空気が濃い。はね退けようにも、重い空気がべったりとまとわりついてきて逃げ場がない。久しぶりにチベットの空気を吸いたいな。軽やかで爽やかで澄んだ空気。

チャイナ・アルプス

 中国の南西部、雲南省・四川省の標高 2000mから 3500mあたりのエリアが面白い。地理的にはヒマラヤの東の端っこに位置し、メコン川・揚子江の上流域にあたる。5000m~6000m級の山々がそびえ、渓谷には独特の景観が広がっている。旅行シーズンは夏がベストだろうけれど、新緑・紅葉・雪景色などそれぞれ楽しめそう。最近では空港も道路も整備され、ホテルもたくさんできて、今や立派なリゾート・エリアである。

    《雲南省》
・大理(標高 2000m)… 湖のほとりにあって、周囲を城壁に囲まれた街。
・麗江(標高 2400m)… 雪解け水が街中を縦横に流れる古い街。
・玉龍雪山(標高 3000m~)… ロープウェーの到達地点は、最高 4500m。
・香格裏拉(標高 3300m)… 「シャングリラ」、中国政府が正式に命名。

    《四川省》
・九寨溝 (標高 2000m~)… 川と湖と滝が連なるカルスト地形。
・黄龍  (標高 3200m~)… 石灰水が作った真っ白い棚田状の地形。
・稲城亜丁(標高 3500m~)… 最寄りの空港は、標高 4411m 。
・峨眉山 (標高 3100m) … 仏教の聖地。仙人が住んでいるらしい。

 このエリアをボクは(勝手に)「チャイナ・アルプス」とネーミングした。このあたりは少数民族(チベット族・ナシ族・ペー族など)が住んでいるエリアで、民族的には中国というより東南アジアのイメージの方が近いかもしれない(漢民族を中国人と呼び、彼らが住んでいるエリア(北京から香港までの低地)を中国と呼ぶなら、そこは中国でないとも言える)。景色に加えて、人と文化も観光ポイントである。
 チャイナ・アルプスは、ヨーロッパ・アルプスやカナディアン・ロッキーより近くて安くてお気軽です。日本アルプス(北・中央・南アルプス)より新鮮でエキゾチックで刺激的です。ちょくちょく訪れていい場所です。

◇      ◇      ◇

チベットの風 〜 
▷ ラダック    (北インド)
▷ チャイナ・アルプス     
▷ 九寨溝・黄龍(中国・四川省)
▷ 稲城・亜丁 (中国・四川省)
▷ 香格裏拉  (中国・雲南省)
▷ シェア・タクシーの割り勘定 

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