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問いを通じて人とAIが共に創る未来

 オンライン・イベント「問いを通じて人とAIが共に創る未来」(2024.3.13)を企画・司会して分かったこと・考えたことを「私の視点で」まとめました。AI解説ならびに ChatGPT デモをしてくれたのはこんちゃん(近藤 昇久さん)、心理的安全性アンバサダーのメンバーです。


技術面で気づいたこと

 まず初めに、こんちゃんの解説で気づいたこと、並びにはっきり言葉にしてもらってすっきりしたこと。

人間の顕在意識と潜在意識、それとAIの関係

 人間の意識のうち、顕在意識は5%、潜在意識は95%。つまり、人間の行動において、意識(言語化)されている行動は5%にすぎない。95%は無意識の行動。

(こんちゃんが作った資料を参考にして、私の言葉でまとめた。以下、同じ)

 このことから「だからAIにできることは意外と少ない」と続くのかと思いきや、進む方向は真逆だった。

 AIの進化(機械学習・深層学習)によって人間の無意識領域が扱えるようになってきた。

 そこにAIの強さがある。
 そしてそうなると、人も「意識に上っている部分だけを考慮する」のではなくて、それと同じくらいかあるいはそれ以上に「無意識レベルをも考慮しなければならない」んだろうな、とそんなふうに思った。

ChatGPT は人間の価値観に合うように調整済み

 GPT(Generative Pre-trained Transformer:生成可能な事前学習済み変換器)という機能を Chat(テキスト情報の交換)に特化したものが ChatGPT。
 ChatGPT は人間の価値観に合うように人が介入してチューニングしている。(教師あり学習• Reward Model の学習・人間からのフィードバックを用いた強化学習)

 その2つのこと(Chat に特化、人間の価値観に合う)によって一般の人が使いやすいものになって急速に普及した。
 今のところは ChatGPT が先行しているが、背景には膨大な技術があるわけで、ChatGPT はほんの一部に過ぎない。と言うことはつまり、次に普及しそうなたくさんのものが後ろに控えて、今か今かと待ち構えているということだ。

生成AIを「成果物を作る」ために使おう

 ChatGPTを「情報検索、まとめのツール」として使うより「生成する=自分の代わりに作業してもらって成果物を作る」という使い方の方がフィットする。
 これまで情報収集のために検索エンジンを使ってきたところ、生成AIを使えば「情報収集→情報整理→ドラフト生成」まで進めることができる。

 これがAIの強みである。そしてAIが人にとって有益でもあり同時に脅威でもあるというのは、まさにこの点ゆえと言えそうだ。たとえば「AIが人の仕事を奪う」というのはこの文脈によると言えるのだろう。

対話しながら気づいたこと

 ファシリテーターの私としては、あらかじめ示しておいた次の3つテーマの中から1つを選んで話し合おうと思っていた。

  • AIに対する漠然とした不安の正体は何なのだろう?

  • AI時代にやるべきこと、やめるべきことは何か?

  • AI時代にいかにして心理的安全性を活かすか?

 参加者の中から「どれでも良いよ」と言う声も多かったのだが、少し焦点を絞った方が良いような気がしたので、一応次のもの(↓)に決めて話し合いを進めた。

AI時代にいかにして心理的安全性を活かすか?

▷ AIと対話することは、人と対話するためのトレーニングになる。
▷ 現実社会で実際にやる前に、AIとお試しでやってみることができる。
▷ みんなに一律に対応するばかりでなく、個別対応しやすくなる。

 ところで、上(↑)で挙がったことはいずれも「心理的安全性のため『に』いかにAI『を』使うか」という話である。一方、元々のテーマの文面は「AIに対応するため『に』いかに心理的安全性『を』使うか」だから、よくよく見ると実は手段と目的が逆転している。まぁ細かいことは良しとしよう。

AIに対する漠然とした不安の正体は?

 ところで先ほど上げた3つは、いずれも「AIって使えそうだね、どんどん使いたいね」という方向の肯定的な見解だが、一方で「AIに対する漠然とした不安感不信感違和感」ような発言も出た。
 その正体とまでは言えないだろうけれど、1つの見方として「スマホのマップに慣れる一方で、それ無しでは旅行できないようになりつつある。それと同じようなこと?」、そんな発言が出た。さもありなん。

人間らしさってなんだろう?

 合わせて「人間らしさってなんだろう?」、「人間にとって大事なもの・必要なことってなんだろう?」そんな疑問も出てきて、話題は「人間」に戻ってきた。
 もう一度、このイベントのタイトルを見てみよう。
  ▷ 問いを通じて人とAIが共に創る未来
 人とAIとの対話でも、人どうしの対話でも、鍵になるのが「問い」だ。うまく問えば、うまい答えが返ってくる。
 さて、問うことで求めるものは、大きく言うと「未来」だ。ところで、AIは過去を見る。一方で、人は未来を見る。そして、両者が一緒になって未来を創る。

終わってから気づいたこと

 イベントが終わってから気づいたことだが、Zoom にミーティングの内容を自動で「文字起こし+要約」してくれる機能ができたみたいで、早速こんちゃんが使ってその結果を見せてくれた。

失敗と試行錯誤の積み重ねから何かが生まれる

 その機能、今のところまだまだ使い物にはならなそうなレベルだが、これもこれからどんどん精度が上がっていくんだろう。
 その様子を見て思ったことだが、良いものが出来てから世に出そうとすると、いつまで経っても出せないことになりかねない。それよりも未完成でも精度が低くても世に出して、使いながらより良いものにしていけばいい。現実はその線で動いている。
 失敗と試行錯誤の積み重ねから何かが生まれる。その姿勢を僕らは見習うべきなんだろうな。

 さて、身近なところを見てみると、失敗を許さない姿勢、失敗したくないマインド、そんなものが根強くあるように感じる。試行錯誤は未完成で非効率で、つまり人前に出せないもの、そんなふうに思っている人が多いんだろうな。
 でも、今時の新しいものは、失敗と試行錯誤の積み重ねからしか生まれないんだよ。そこにこそ価値がある。

※ あっそうそう、たった今書いたことがまさにそれ。「今時の新しいものは、失敗と試行錯誤の積み重ねからしか生まれない」なんて、正しい発言じゃ無い。「そこにこそ価値がある」も同じで、間違っている可能性はある。
 その点を持ってして、私の発言を否定する人がいる。「間違ったことを言ってはいけない」だとか「断定してはいけない」だとか「私は・・・と思う」と書くべきだ、などと言うわけだ。
 でもさ、その発想からは新しいものは何も生まれないの。だって、正しいものからは何も生まれないんだもん。もう一度言うよ。失敗と試行錯誤からしか新しいものは生まれないの。

◇      ◇      ◇

〜 哲学対話×AI 〜 
▷ 哲学対話とAIの共通項      
▷ AIに対する漠たる不安の正体は? 
▷ 問いを通じて人とAIが共に創る未来

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