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必然は最適なタイミングで

森有正さんの本を高校時代はずいぶん読みましたが、最近また読もうかと考えています。

彼に教えていただいたことはたくさんありますが、
「必要な出会いは遅すぎず早すぎず最適なタイミングで訪れる」
という言葉を痛感しているのはこの数年のこと。

環境の変化
環境が変わることで人との関わりがガラリと変わってしまうことがございますね。そういう経験は何度も重ねていることで、お友達と呼べる人や昔からの付き合いの人はガックリと減ってしまいました。
お茶をするも一人、ウィンドウショッピングするもひとり。私は一人が得意ので、支障を感じることもなく数年を過ごしておりましたが、数年前から少し事情が変わってまいりました。

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帰国して始めたことのひとつが踊りのお稽古。最初に踊れるようになった一曲目でおさらい会に出させていただくことになりました。

皆様お着物も美しく、踊りもお上手で何年も通っていらっしゃるので皆さんお知り合い。そんな中、初心者の私は末席でおとなしくしておりました。そこで偶然お隣になった白髪の素敵なおば様が話しかけてくださいました。そこから自然におしゃべりが弾んで、帰り際にほとんど使ったことのないLINEのIDだけ頂戴してお別れいたしましたが、どうやっても彼女を見つけることができなくて、残念ねと思っておりました。

偶然の再会
一年ぐらい経った時でしょうか。お着物の道具が必要になって普段行かない着物のお店に行きましたところ、彼女がアドバイザーとして働いていました。偶然の再会。手に手を取って、女学生のように再会を喜び合いました。聞けば彼女は私が訪れる数週間前にこの店舗に異動になったばかりで以前は全く私の生活圏外でお勤めだったとのこと。私は数日の滞在。本当に驚きました。今回は無事に連絡先を交換して、折に触れて連絡を取り合っています。

必要な人が必要なときに
必要というのは、自分にとってかもしれませんし、相手にとってそうかもしれませんが、それはさほど大切ではないと思っています。何より共感することや共通のバックグラウンドがたくさんあることも面白いところなのです。

彼女は私にいろいろな話をすることで心の重荷を解き放ってくれていますし、私は久しぶりにできたお友達の存在が気づきを与え、心を暖かにしてくれています。歳は彼女の方が20ほど上ですが、姉さんと呼んでいただいて、お話くださっています。10年ぶりぐらいに、お仕事も何も関係ない、お友達と一緒に街を歩いてウィンドーショッピングしたときにはしみじみとした感慨が胸に込み上げました。このような世情で一緒にお茶ができなくても、お元気ですかというメッセージが送りあえる仲と言うのは幸せだなぁと思います。

感謝して待つ
そういえば、今年の叶えたいことのリストの中にも女性のお友達ができますようにと書いていました。オフラインでは人と知り合うことなど元々少ない環境でしたが、この社会情勢で通っていたお稽古もオンラインにしたりお休みを続けているので一層難しい。
でもお友達って、なろうと思ってなるのではないでしょう?いろいろな講座に出ますと「お友達になってね」なんて講師の先生や一緒に講義を受けた方に仰っていただきますが、お友達になれた試しがありません。
オンラインでビジネスのマッチングや問い合わせも仕事に結びつくことは本当に稀有なことです。

それでも、あるがままに礼を尽くしていれば同じようなエネルギーの方が集まると感じております。ブログの読者さんとも何度かメッセージをいただいて、ご本人の必要な時期に必要なことをお伝えできたかなと思うこともあります。人と人とのつながりは、必要な時期、タイミングにさっと現れて、助けてくれて去っていく人が一定数います。私はそういうのが好きなタイプなのも事実ですが、それだけではない、細やかな気持ちの機微を思い合うことができれば、それはやはり現代における手紙のような文章の一つのあり方もしれない、と思っています。

細やかに感性の合うお方とオンラインでのやりとりでしみじみと心が潤います。お目にかかったことはなくとも、わたくしにとっては本当に大切なお友達、そんな気分でやりとりさせていただいています。思いを伝え合いながら、同じものに近しい視座で共感する。オンラインという離れたやりとりが醸す情緒としては一級のものだと感じます。

求め、探すことなく、待つ
求めよ、さらば与えられん。というのは真理で、自身が必要だ、求めているという自覚なしに与えられるほど神様も気前がいつも良いとは限りません。不思議な話なのですが、私のパートナーは私もよく通う神社で、このような女性を自分のそばに送ってくださいと、詳しいスペックもつけてお願いしたそうです。たまたま私はその神社に彼がいった1ヶ月後に参拝しており、その数ヶ月後、私たちは出会うはずのない場所で出会います。

付き合い出してしばらくしてから教えられたのですが、私は彼がお願いしていたスペックの項目全てが当てはまっているそうです。笑 単なる偶然かもしれませんが、そうではないかもしれません。結果論として彼は具体的に求め、待っていたら思い通りのものを手に入れたということになります。

待ちの美学
彼と初めて会った時、仕事場に隣接しているプールサイドで自分の入れたエスプレッソを飲みながら、「思ったより遅かったね」とにっこり笑いながら言いました。遅かったね、というのはもちろん飛行機の到着時間から考えると、という意味なのですが、本人は覚えていないそうです。神様がもっと早く送ってくることを期待していたのかもしれませんね。笑 まぁ、その時は初対面でお互いパートナーとなるとは知る由もありませんでしたが。

今の世界は、自分から発掘、発見していくことをよしとしますが、その時を待つというのも一つの選択です。探すという行為は自分の固定したイメージに当てはまるものを見つけるという作業ですから、間口が狭くなります。多くの選択肢から、心の声をよく聞いて、自分の感性と一致した「これは」というものを握ってみてはいかがでしょうか。今までとは違う世界が広がっているかもしれません。


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