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コラッツ予想解明への新解析手法の紹介4ー 問題の意味が小学生でもわかる数学の高額懸賞金歴史的未解決問題



Collatz Conjecture New Method

第3章 奇数の分類

 
 今回の記事(4回目)をご覧になる前に「第1章 新手法の紹介の前に」をご覧ください。

 また第1章には各章へのリンクが貼ってあります。

 新手法の要約動画

 今回の記事(4回目)は他の章とは独立しており、既にコラッツ予想の解明に取り組んでいる読者には馴染みのある内容で、知識の再確認として目を通していただければと思います。また解明に取り組み始めた読者には必ず身につけておきたい知識です。

 第4章以降の説明のためにはコラッツルールに従った奇数分類を説明する必要があります。この奇数分類を表す式はネット上でも論文でもよく見ますが、見た目は異なっても類似式です(もしくは見た目も同じ式もあるはずです)。

3.1 奇数の分類(Nc型とNs型)

 奇数なら3倍して1を足す操作を3C+1変換と呼ぶことにします(第2章2.3)。また、この変換で偶数になりますが、2で割るだけ割ってある奇数に到達するまでの操作を3S+1変換と呼ぶことにします。
 ステップは奇数のみ追跡します($${13 \to 5 \to 1}$$は2ステップ:第1章)。

 正奇数$${No}$$は3C+1変換により偶数となりますが、偶数は正奇数$${m_{o}}$$と2のべき乗、$${2^{n}}$$の積として表すことができます。$${n}$$は正整数。

     $${(3.1)          3No+1=m_{o} \cdot 2^n }$$

 合同式は高校数学では習いませんが、この記事では以下で十分です。
 $${m_{o}}$$において、3で割って2余る数であれば$${m_{c}}$$とおき、
$${m_{c}\equiv 2 (mod 3)}$$、または略して、$${m_{c}\equiv 2}$$と表すことにします。
 $${m_{o}}$$において、3で割って1余る数であれば$${m_{s}}$$とおき、
$${m_{s}\equiv 1 (mod 3)}$$、または略して、$${m_{s}\equiv 1}$$と表すことにします。
 また、
$${1\cdot 1\equiv 1  2\cdot 2\equiv 1  2\cdot 1 \equiv 2  1\cdot 2\equiv 2 }$$ 
$${p}$$を正整数として、$${2^{2p} \equiv 1}$$、$${2^{2p-1} \equiv 2}$$

 (3.1)で$${3No+1 \equiv 1}$$なので、右辺は$${1\cdot 1}$$か$${2\cdot 2}$$の組み合わせしかありません。$${m_{o}}$$は3の倍数にはなりえません。
 $${m_{c}}$$、$${m_{s}}$$に応じて$${No}$$を$${Nc}$$、$${Ns}$$に分類し

     $${(3.2)          3Nc+1=m_{c} \cdot 2^{2p-1} }$$
     $${(3.3)          3Ns+1=m_{s} \cdot 2^{2p}}$$

 また、$${m_{c}(\equiv 2)}$$、$${m_{s}(\equiv 1)}$$は、0以上の整数$${t_{c}}$$、$${t_{s}}$$を用いて

     $${(3.4)          m_{c}=6t_{c}+5}$$
     $${(3.5)          m_{s}=6t_{s}+1}$$

とおきます。(3.4)、(3.5)をそれぞれ(3.2)、(3.3)に代入して、

     $${(3.6)          3Nc+1=(6t_{c}+5) \cdot 2^{2p-1} }$$
     $${(3.7)          3Ns+1=(6t_{s}+1) \cdot 2^{2p}}$$

 $${Nc}$$、$${Ns}$$について整理して

     $${(3.8)          Nc(t_{c},p)=t_{c}2^{2p}+\cfrac{5 \cdot 2^{2p}-2}{6}}$$

     $${(3.9)          Ns(t_{s},p)=t_{s}2^{2p+1}+\cfrac{2^{2p}-1}{3}}$$

 正奇数$${No}$$を$${(t,p)}$$をパラメータとした2種の奇数$${Nc}$$型と$${Ns}$$型に分類できました($${t_{c}}$$、$${t_{s}}$$は0以上の整数で単に$${t}$$とおくこともあります)。

3.2 Nc型とNs型の特性

 (3.8)、(3.9)で$${p=4}$$まで表してみると

    $${(3.10)          Nc=4t_c+3,\ 16t_c+13, \ 64t_c+53, \ 256t_c+213, \cdots}$$
    $${(3.11)          Ns=8t_s+1,\ 32t_s+5, \ 128t_s+21, \ 512t_s+85, \cdots}$$

 右辺の要素は場合に応じて、$${4t+3}$$型、$${16t+13}$$型、$${8t+1}$$型、等とよぶこともあります。
 (3.6)、(3.7)から、(3.10)、(3.11)は
   $${Nc}$$は1ステップで$${6t_{c}+5}$$に到達する奇数列、
   $${Ns}$$は1ステップで$${6t_{s}+1}$$に到達する奇数列です。

 正奇数$${m_o}$$に1ステップで到達する奇数列を$${\bm{cs(m_o)}}$$とおくことにします。(3.10)、(3.11)は

$${(3.12)          cs(6t_c+5)=\{4t_c+3,\ 16t_c+13, \ 64t_c+53, \ 256t_c+213, \cdots\}}$$
$${(3.13)          cs(6t_s+1)=\{8t_s+1,\ 32t_s+5, \ 128t_s+21, \ 512t_s+85, \cdots\}}$$

 (3.12)、(3.13)の簡単な例として$${t_{c}=t_{s}=0}$$とおいてみると
   $${cs(5)=\{3,\ 13, \ 53, \ 213, \cdots\}}$$
   $${cs(1)=\{1,\ 5, \ 21, \ 85, \cdots\}}$$
1ステップで1や5に到達する(馴染みのある)奇数列が現れました。要素の数は無数にあります。

 $${6t+1}$$と$${6t+5}$$で3の倍数を除く全ての奇数が表示でき、これ等の奇数に到達する無限の要素をもつ奇数列があることがわかります。

 見方を変えて、(3.12)の右辺の奇数列において、これ等は$${p}$$の異なる奇数列ですが同じ$${t_{c}}$$を持つ奇数列で、これ等は全て1ステップで$${t_{c}}$$のみに依存する奇数$${6t_c+5}$$に到達します。$${p}$$は関係なく$${t_{c}}$$の値が同じであれば、同じ値、$${6t_c+5}$$に1ステップで到達するわけです。$${t_{s}}$$についても同様です。

 (3.12)と(3.13)の右辺の奇数列で全ての正奇数を表せるわけですが、
$${4t+3}$$型の奇数のみ3S+1変換で$${6t+5}$$となり値が大きくなります。そのほかの奇数は全て3S+1変換で値が小さくなります。全ての奇数は$${4t+3}$$型か$${4t+1}$$型なので、奇数の半分は3S+1変換で値が大きくなり、残り半分は3S+1変換で値が小さくなるわけです。

1ステップで元の奇数に戻る数は1しかないことは以下の通りです。

   (3.1)で$${m_{o}=No}$$とおいて
   $${3No+1=No \cdot 2^n }$$
   $${(2^n-3)No=1}$$
   左辺で掛けて1になるためには$${2^n-3=1}$$かつ$${No=1}$$
   つまり$${n=2}$$かつ$${No=1}$$のみです。

 (3.12)、(3.13)を詳しく見てみることにします。
 (3.12)(3.13)の2式でコラッツルール(奇数なら3倍して1を足す。偶数ならば2を足す)に従う数字配列(正奇数配列)の全てを表しています(偶数は考慮しなくてもよい)。

 上述したように(3.12)、(3.13)の2式の右辺の要素合わせて全ての奇数を表しています。全ての奇数はこの要素のいづれかに相当しています。

 $${t}$$をいろいろ変えて2式の右辺に代入して、1ステップで到達する左辺の奇数を求めます。この時点で3の倍数は取り除かれます。1ステップで到達する数は$${6t+5}$$型か$${6t+1}$$型の奇数です。奇数なので(3.12)、(3.13)の2式の右辺の要素のいずれかになります(再び戻ります)。ただし最初の$${t}$$とは異なります。これを繰り返すと奇数のツリー(樹形図)が出来上がります。これを(一般)コラッツ空間の数字配列とよぶことにします。一般、は4章以降でもう一つの空間と区別する時に入れることもあります。

 一例で説明します。初期値として17を取ります。
 $${17}$$は$${17=8\cdot 2+1}$$なので$${8t+1}$$型で$${t=2}$$です。これは$${6t+1}$$に1ステップで移り、値は$${13}$$です。ところが$${13}$$に移る奇数は同じ$${t}$$を持つ(3.13)式の右辺の全ての奇数で、$${t=2}$$を代入して$${17, 69, 277,\cdots}$$です。これらは全て同じ$${13}$$に移ります。
 次に$${13}$$は$${13=16\cdot 0+13}$$なので$${16t+13}$$型に属し、$${t=0}$$です。$${t=0}$$である(3.12)式の右辺は$${3,13,53,\cdots}$$で、これ等は全て$${6\cdot 0+5=5}$$に移ります。これを繰り返します。

 こうしてコラッツ空間での全ての奇数のツリーが出来上がるわけですが、
最終的に1に到達するかどうかは別問題なわけです。ある1つの奇数から出発したら、どこか遠くの彼方までいってしまうかもしれませんし、逆にその奇数に戻ってしまうかもしれません。そうならないで全ての正奇数が1に到達するであろう、がコラッツ予想なわけです。(偶数はコラッツルールに従えば必ず奇数になりますので、全ての正奇数が1に到達するならば、全ての正整数が1に到達することになります)

 奇数の分類とその特性をまとめてみました。さらにコラッツ予想に取り組み始めた読者の為に、追加特性などありましたらコメント欄にお願いします。


第3章までの変数・定義語・関数
$${N}$$、$${No}$$、総ステップ数、ステップ番号、
CS振動、C変換、CSプロット、CS直線式、3C+1変換、3S+1変換、(一般)コラッツ空間、
$${6t+5}$$型、$${6t+1}$$型、$${4t+3}$$型、$${8t+1}$$型、など
$${c(No)}$$、$${z_{s}}$$、$${f_{c}(x)}$$、$${f_{s}(x)}$$、距離$${D}$$、$${Nc}$$、$${Ns}$$、$${m_{o}}$$、$${m_{c}}$$、$${m_{s}}$$、$${t_{c}}$$、$${t_{s}}$$、$${t}$$、$${cs(m_o)}$$


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