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災害時の人間の心理と行動について(引用)

今回の地震被害の中で、デマ情報を流したり詐欺や犯罪行為に手を染めるクズがいるらしい。

僕にはその心理状態は到底理解できない。上記のような犯罪者の心理ではないが、一般財団法人 消防防災科学センターのページに「災害時の人間の心理と行動」の特集が組まれていたので少し見てみる。

⑴ 「これくらいはふつうだ」の心理
私たちは、少々変わったことが起きてもそれを異常だとは思わない傾向があります。これくらいは普通の範囲内だと思いたいのです。これを「正常性バイアス」(または「正常化の偏見」)と呼びます。

⑵ 「自分だけは大丈夫」の心理
私たちは自分自身の将来に楽観的なところがあります。災害が降りかかってくる恐れがあるときにも、決して自分が被災するとは思わないのです。
たとえ他の人や他の地域が被災したとしても、なぜか自分だけは大丈夫と思っているのです。これを「楽観主義バイアス」と呼びます。

⑶ 「前回大丈夫だったから」の心理
いったん大丈夫だと思ってしまうと、私たちは自分の考えをサポートしてくれる証拠を探そうとします。そして、自分の考えとは異なる証拠は無視しがちになります。これは「確証バイアス」と呼ばれています。

⑷ 「みんなと一緒に」の心理
物事について判断する際に、自分ではどうすべきかわからないことがあります。そんなとき、私たちはしばしば周囲にいる他人に合わせようとすることがあります。自分自身で判断できないために、他人の様子を見て、それを自分が判断するうえでの基準として採り込み、結果的に他の人と合わせた行動をとるわけです。周囲の人の数が多いとき、その傾向は強まります。こうした現象は「集団同調性バイアス」と呼ばれています。

特集災害時の人間の心理と行動□災害時の人間の心理
東北大学災害科学国際研究所教授 邑本 俊亮
https://www.isad.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/02/no139_18p.pdf

デマ発生のメカニズムについて、下記のサイトに記載があった。

こうしたメカニズムは、オルポート・ポストマンが示した「流言の拡散の公式(Rumor(流言・うわさ)=Importance(重要性)×Ambiguity(曖昧さ))」に、人々の不安な心を掛け合わせることで理解できます。そして、決して悪気のない「善意による拡散」が生じることで、流言はさらに広がっていきます。

ぎょうせいオンライン:災害時の流言が生み出されるメカニズムとは?その対策と留意点

災害流言(災害が起きた際に発生する流言・通常においてひろまる災害に関する流言)が、たびたび問題となっている。

流言・うわさ(rumor) は、「主として口から口へと伝わり、社会的広がりをもって伝えられる真偽のはっきりしない非公式な情報で、自然発生的に(意図的ではなく)発生するもの」と定義できる(三上の定義を参考にした。松沢編 1988)。

流言とうわさの違いを明確にすることは難しいが、もし区別するとすれば、流言は「社会的逆機能(世の中にとって、多数の人々にとって、マイナスの働きをすること)」があるもの、うわさは「社会的逆機能」が小さいもの・顕著でないものと言える(廣井 2001)。一方。デマは「情報操作のために、真実でないことを知りながら意図的に流す情報」である。このようにみていった場合、災害に関して広まる話は、ほとんどが流言と言えるだろう。

そして、災害流言の分類であるが、廣井(2001)は、流言が伝播する過程や人々の対応や地域の状況を踏まえて、災害流言を「噴出流言」と「浸透流言」とに分類している(表1)。

噴出流言は、伝播が非常に速く、興奮状態となった人々を極端な行動に駆りたてるもので、浸透流言は、比較的ゆっくりと伝播し、人々の興奮度は高くなく、非合理的な行動を起こす人々も少ないものである。

どんな時代になっても、災害流言を完全に防ぐことはできないだろう。特に実際の災害時には情報の錯綜も多く、伝わっている情報が流言かどうかという見極めも容易ではない。

我々は、「流言発生を防ぐ」というよりは「流言発生を防ぐことは難しい」ということを前提に災害対策をしなければならない。重要なことは「流言の発生を防ぐ」ということよりは「流言による(社会的)混乱を防ぐ」ことである。

特集災害時の人間の心理と行動□災害流言の展開とその特性
日本大学文理学部社会学科教授 中森 広道
https://www.isad.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/02/no139_34p.pdf
https://www.isad.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/02/no139_34p.pdf

このような情報がまとめられていた。

引用文にもあるように災害流言の発生そのものを防ぐことは難しいだろう。善意であっても、発信した情報が正確でない場合、さらに混乱をもたらしてしまう。発信元が第三者からの可能性もある。

流言自体も自分の頭である程度考えられる人間であれば、多少は伝播すを抑制できるかもしれないが、世の中そういった人ばかりではないし、パニック状態なので冷静な判断ができないと思う。実際に自然災害以外の人的被害も生じてしまっている。

僕も今、快適な空間からこんな記事を書いているが、災害時にはどのような行動をとるか正直わからない部分もある。

少しでも冷静さを失わないように、予めある程度の情報を取り入れて準備をしておきたいところだ。平時において流言の対策はそんなにできないと思うので割り切って放っておく。

それよりも、防災グッズや備蓄食料を用意しておき、災害時の避難場所の確認や家族との連絡手段・集合場所、災害用伝言ダイヤルの番号などを把握しておく方が重要だ。

地震以外にも水害などの自然災害もあるので、自分が住んでいる地域のハザードマップを見て情報を取り入れておくのも良いと思う。

今回地震被害が無い地域でも、今後どのような事態になるかわからないので、他人事ではなく自分事だと思って、備えあれば憂いなしの状態にしておこうと、毎度大きめの地震が起きる度に考えるのだが、中々実行できていない。

とりあえずもう一度言うが、災害時にデマを流して不安を煽ったり、状況に便乗して犯罪や犯罪まがいのことをしている連中はクズだ。これも災害時に毎度思うのだが、無くすのは無理だよなと感じている。



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