見出し画像

お別れの挨拶は「私今ホテルにいるの」

当てつけのような極端な行動を起こすに至った過程はなんだったのだろうか、と振り返るお話です。
やや長い回です。


新しい環境での新しい出会い

ズブズブの共依存関係が出来上がった頃に、私は新しく雑貨屋でアルバイトをすることにしました。
その雑貨屋さんでとある年上の女性と出会いました。ケタケタと明るく笑う素敵な方でした。

他愛ない雑談の一環で彼女がいるかどうかを聞かれた時に、今まであった自分の中でちょっと引っかかっていることを含めた相談をその方にしました。
真剣に話を聞いてくれて、一言。
「それはおかしいよ。」

今までだったら周りの人に何を言われても気にならなかったのが、その人に言われた言葉がずっと残るようになり、元彼女とデートをしていても些細なことが気になるようになりました。

  • 元彼女との関係性に窮屈さを感じている

  • 時折発言内容が怖い

  • このまま元彼女と関係を継続していっても将来が考えられない

こんな思いを抱えながら、その雑貨屋の先輩と1対1で食事に行く回数が増えていきました。

ある日その先輩に「もし私と付き合ったらまた違う選択も色々あるのかもね。」と言われたことがきっかけで、私の気持ちがその先輩に傾いていきました。
なんというチョロさ。

共依存状態からの一時的な脱却

ただ結果的に、この先輩への好意が共依存状態からの脱却のための一歩となります。
嫌われたくない、とこだわっていたもの以外にも世界は存在していると理解できた瞬間でした。

こうなってくると元彼女とデートをしていても、どこかちぐはぐと噛み合わなくなってきてしまい、元彼女もその点を不審がっていました。
そして意を決してある日に私から別れを告げました。

元彼女は納得せず理由を聞きだしてきたので、「バイト先に他に気になる先輩ができた。」と告げました。
そこで引き下がってくれ、それぞれが別の道に進む……とはならなかったんですね。これが共依存の恐ろしさ。

誰が為の優しさか

私から別れを告げ、その後バイト先の先輩にきちんと好意を伝えましたが「ごめんね、そういう相手としては見れないんだ。」と振られてしまいます。
女心って難しっっ!!!!と思いつつ、3年ぶりくらいのフリーな期間を満喫しようと思っていました。

1週間くらいが経ったある日、元彼女から「先輩とはうまくいった?」と突然メールがきました。
驚きつつも「いや、振られちゃった。」と返信をしてしまいます。無視すれば良かったものの…
そしてその後すぐに「私はまだアナタのことが好き。次の彼女ができるまでの繋ぎでも良いからそばにいさせて。」と連絡が来ます。

3年近くも共に過ごしたかつての共依存相手からのダイレクトな好意によってフリーの期間を楽しもうと意気込んでいた私は消え去り、依存相手に優しく抱きしめられることになります。
はい、これにて共依存状態が再度完成するわけです。

ほつれは直ったように見えてもほつれた事実は変えられない

しかし一度別れた関係が完璧に上手くいくことはないのが世の常です。
元彼女も以前ほど私に色々なものをオープンにしないようになっていました。
それがきっかけで喧嘩が増えていきます。

あるとき、私が元彼女へ電話をかけたところ保留にされ「今電話出られない。」とだけメールがきました。
今まででしたら何か出掛ける予定がある場合には事前に知らせてくれていたんですが、この日の予定を私は知らされていませんでした。

嫌な予感に襲われ再度電話を試みますが、当然のように出てもらえません。「私、今花火大会に来てるの。アナタの知らない人とだよ。だから電話には出られない。」というメールだけが返ってきました。

元彼女が他の男とデートしている、という事実だけを突き付けられ呆然としつつも、色々とはっきりさせたかったのでメールを送ります。
「何それ、男と行ってるってこと?別れるってこと?」
かつて自分から好きな人が他にできたと振っておいて、いざ自分が振られそうになったらこのザマである。情けなし。

追い打ちをかけるように元彼女からメールが届きます。

  • 「アナタ以外でちゃんと好きになれる人と出会えた。」

  • 「他の人に好意を寄せたのが許せなかった。」

  • 「いっときは本当に許そうと思っていた。」

  • 「多分、今日キスもすると思う。さっき手も繋いだ。」

もはやここまでくるとNTRの実況中継ですね。
そしてとどめのダメ押しメールでこのやり取りは終わりを迎えます。

「私、今ホテルにいるの」

復讐の果てに残るもの

さて、長々と回想をしてまいりました。この出来事がもう15年近く前のことだと思うと時の流れの速さを感じます。
勿論そんなに年月が経っているので、メールのやり取りは細部までは覚えていませんし、本当はもっと長々とやり取りをしていた記憶があります。
人間の素晴らしさは忘れることができることですね。

この別れを告げられた結果、よく利用していた駅に降りると吐き気に襲われるようになった時期もありました。
割と深めの傷が心についたわけですが、恐らく元彼女はそれを狙って行動を起こしたのだと思います。
私が最も嫌がる方法でもって復讐を成し遂げた元彼女が何を得たのかは、今や知る術はありません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?