嘘をつく人: 9

 彼の知人たちは信頼できる人たちのはずでした。
 みんないじめに遭ってきた。彼側の知人たちのディテイルは夢を追っているということしかしりませんでしたが、彼自身は幼少期からどこに行っても最終的には嫌われるかいじめに遭うか、だったそうです。

 だから。

 大人になったら人に労られたいと思ったそうです。

 お小遣いに困っていたらお金を融通してくれる、休日の朝に観たいテレビ番組の時間に合わせてもモーニングコールをしてくれる、無料で家をセカンドハウスにさせてくれる。。。など。

 わたくしには理解の難しいものでした。

 男女に関係なく、一人暮らしをしている人たちの何人かはわたしも含め、彼の職場に『転居した』と住所を登録されて。彼はそれを理由に交通費(通勤定期代)の変更で、実家に毎日帰ると自分の金銭的な負担が大きくなるのでなるので
週の半分は住まわせろ、合鍵を渡せ、と。

 知り合って2,3回目までの飲み会代は払ってもそれ以降は「今日は持ち合わせが。。。」、「全額払うと帰りの交通費が」と言って自分の支払いもしないからみんなから避けられたのに。

 夢を追っている彼の知人たちはそのことを疑問にも思わなかったようなので、彼らといればいいのでは? と思いましたが、彼らからも見限られたとのことでした。

 なぜか。
 
 女優志望の知人の舞台のチケット(アマチュアなのでチケット代が自己負担になる)を捌いてやる! と20枚ほど引き受けたものの、日頃の素行のため、ほとんどの知人から着信拒否を受けたりはっきりと断られてしまい、結果、鞄にそのまま入れておいてクタクタになったチケットをその彼女に返して罵倒されてしまったり、作家志望の人からも同人誌すら買ってくれないと突き放されたり、とあったようで。


 それらをすべて総括して最後に連絡のついたわたしに。

 
「キミのせいだよ」

と言いたかったようです。

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